第55話 早く来て~アラーーーーーーーン
「なあ~。なんかここ暑くない?」
フォックスが言った。
「う~ん、確かになんか熱いぞ」
ピッカーも鎖を引きながら暑そうに手で仰いだ。
「お、おい!! お前ら後ろを見ろ!!」
ロンドがそう叫んで全員が後ろを振り向いた。
するとそこにはなんと燃え盛るリリィがいた。
「こんな鎖なんか私の力で溶かしちゃうよ~」
リリィは炎と電撃を同時に体から放ちながら言った。
「これは特殊な合金でできてるの! いくらエレメンタルジェムの力でも溶かしたりなんかできない。それに、その鎖には力を弱らせる効果もあるから!」
クリスが言ったがリリィはそのまま燃え続けた。
「ふふふ♡ どうかな?」
リリィの炎はどんどんと強くなっていき、辺りは真夏のように熱くなっていった。
リンカ達も陰からその様子を見守っていた。
「お、おい……。本当に大丈夫なのか?」
ロンドがクリスに聞いた。
「大丈夫なはずだけど……」
クリスの自信も少しずつ揺らいできた。
リリィの炎はとどまることを知らずどんどん強く熱くなっていく。
「ん~あっつ~い♡」
「ど、どうして……? おかしい……。エレメンタルジェムにここまでの力はないはず」
クリスが言った。
「う~ん。確かにそう♡ あなたの言ってることは正しいよ。でもね、私が持ってる力はジェムの力だけじゃないの♡ ビビエルちゃんに感謝だね」
リリィはベルトのモニタを操作してギアを上げた。
「ギアチェンジ♡ マックス~!」
リリィは一気に限界の15までギアを上げると、彼女の体を取り囲む炎と電撃が勢いを増して彼女を拘束していた鎖が一気に溶けた。
「な、なに!?」
ロンドたちが驚いたのもつかの間、リリィの炎がロンドたちの周りを取り囲み、彼らは逃げ場を失った。
「ふふふ♡ ふふふ♡」
炎の中からはそんなリリィの笑い声が聞こえてくる。
「ど、どうしよ~~~!!! おしっこ漏らしちゃった……」
フォックスが泣きながら言った。
「うるさい! 黙ってろ……」
ピッカーが怒る。
「シールドを張るんだ! クリス!」
ロンドが叫ぶとクリスはカバンの中から装置を取り出して地面に設置した。
すると彼らの周りをシールドが取り囲って炎から守った。
「おい、お前の狐は火を噴くんだろ? 何とかできないのか?」
ピッカーがフォックスに聞いたが、フォックスは首を振った、
「メープルは火を噴くだけだ! それ以上でもそれ以下でもないんだ!」
フォックスがそう言った次の瞬間、炎の中からリリィが飛び出して来たかと思うと、シールドを破って中に入ってきた。
「わ、わああ!?」
そしてリリィはロンドの首を掴んで吊るし上げた。
「大将の首とったり~♡」
炎と電撃を纏うリリィには誰も近づけない。
「ロンドさん!!」
彼らはただ叫ぶことしかできなかった。
「な……何してんだ、お前達は早く逃げろ」
ロンドが言った。
「人の心配をしてる場合~?」
リリィは言った。
「お前にこいつらは殺させない……」
ロンドはリリィを睨みつけて言った。
「そっかそっか~。うーんそうだなあ……」
リリィは何かを考え始めた。
「そうだ!」
リリィは突然そう言ってロンドから手を離すと炎の中に再び消えていった。
「な、なんだ……?」
ロンドたちが疑問に思っていると、リリィはリンカ、ミル、ビビエル、ニーナの4人を連れて戻ってきた。
「私、良いこと考えたんだ♡ 明日の朝、皆を一緒に国民たちの前で処刑してあげる♡ そしたら誰も寂しくないでしょ?」
「ば、バカ言うな!! 今ここで俺を殺せ!!」
ロンドはリリィに掴みかかったがリリィはロンドの攻撃を片手で弾いた。
「そうはいかないね~。残念♡」
リリィはそう言いながらもう一度炎の中に消えた。
そして次の瞬間、彼らを取り囲っていた炎は一気に鎮火したかと思うと彼らの目の前に洗脳された生徒たちが大勢現れた。
そしてロンド達は彼らに掴まり、そのまま塔の中へと連行された。
「じゃあ、楽しい夜を過ごしてね~♡」
ロンド達全員を部屋に押し込むと、リリィはそう言ってどこかへと消えていった。
「わ~!! 着いてこなきゃよかった~!!」
塔の部屋に入れられたフォックスが叫んだ。
「うるさいな、黙って捕まってろよ~」
ピッカーが文句を言う。
「大丈夫です! きっと、アランさんが助けに来てくれます!!」
リンカが言った。
「お兄ちゃんが?」
クリスが聞いた。
「はい! なんだか、リリィを倒す方法を探して来るって言ってどこかに行っちゃったんです。だから、きっと戻ってきます!」
「あ~あ~、期待するだけ無駄だよ。俺たちは死ぬんだ~!! わ~~~~!! まだ、キスもしたことないのに~!!」
フォックスは叫びながら狐のメープルにキスをした。
「お兄ちゃんどこに居るんだろう」
クリスは呟いた。
「ふふふ♡ 残念だけど、お兄ちゃんはもういないよ?」
部屋の中にいつの間にかリリィが現れて言った。
「ど、どういうことよ!!」
クリスがリリィに近づこうとするが、繋がれた手錠のせいで近くまでは行けない。
「おーい」
リリィが外に向かってそう呼ぶと、生徒たちがアランを連れて入ってきた。
「お兄ちゃん!!」
クリスが叫んだ。
アランは生徒達に抱えられながら気絶していた。
「お兄ちゃんに何をしたの!!」
「ちょっと小突いただけなんだけどね~。あなたのお兄ちゃんってひ弱だね♡」
リリィは笑いながら言った。
クリスは怒って手錠を思い切り引っ張るが、やはり外れることはなかった。
「おい、やめとけ」
ロンドに止められてクリスは座った。
「じゃあ、その辺に置いといて」
リリィがそう指示すると、生徒たちはアランを部屋の中に降ろしてそのまま部屋から出ていった。
「お兄ちゃん! お兄ちゃん!」
クリスはアランに近づいて呼びかけるもアランの返事はなかった。
「どうやら息はしているようだ。大丈夫だ。いずれ起きる」
ロンドはそう言ってクリスを安心させた。
「で、でもこいつがここにいるってことは……」
フォックスが言った。
「もう、助けてくれる人はいませんね……」
リンカが言った。
「そんなああ!!!! もうおしまいだ!! ザ・エンドだああ~~!!」
フォックスは再び叫びだした。
「静かにしろ! 今日はもう遅い。もう寝て明日のために体力を回復させろ。特にリンカ達はな」
ロンドが言った。
「はい……」
リンカは気絶しているニーナとビビエルの様子を見てから横になった。
その隣にミルも横になる。
「掴まって牢屋で寝るってなんか映画みたいだね~」
ミルは笑いながらそう言った。
「え、ええ~……」
リンカはのんきなミルに若干引きながらもそのまま眠りについた。
翌朝、彼らはリリィによって叩き起こされた。
「あっさだよ~。あっさだよ~。ピカピカあかるいあっさだよ~」
リリィは大声で歌いながら部屋の中に入ってきた。
彼女は生徒を8人連れており、リンカ達を1人ずつ外へと連行した。
ニーナとビビエルは目が覚めて初めて状況を知り、動揺していた。
「わ、私達どうなるんだろう……」
ビビエルはいつになく不安そうだ。
だがアランは依然として気絶したままで、何をしても目覚めなかった。
「お兄ちゃん、大丈夫かな……」
クリスが心配そうに言った。
「お前はそいつの心配より自分の心配をしろ」
ロンドが言った。
8人は学園の外まで連れ出され、処刑台の上に立たされた。
処刑台には昔ながらのギロチンが取り付けられており、8人は皆ギロチン台に固定された。
「はーい、はーい。みなさんあつまって~♡」
リリィが声を挙げると、何事かと学園近くの住民たちが集まってきた。
「これから悪い子ちゃん達の処刑をおこないま~す♡ 面白いからぜひ見てってね~」
リリィは言った。
「お、おい! なにやってるんだ!? こんなことやって良いのかよ!」
一人の男が叫んだ。
「わ、私警察に連絡するわ」
一人の女は電話をかけ始めた。
「あ~もう、うるさいうるさいうるさーーい!!」
リリィは電撃を放って彼らを黙らせた。
「いい? これはサイファーの力を示すための見世物でもあるの。私に逆らうならサイファーに逆らったとみなすから。よろしくね♡」
リリィは笑顔で言った。
サイファーという言葉を聞いて住民たちは動揺し始めた。
連休が終わってしまった。
悲しい




