第44話 海賊船着陸!! アンナに立ちはだかるもう一人の味方!!
クリス達はミルと共に魔法陣をつくり始めた。
「本当にロンドさんは無事なんだろうな?」
ピッカーがミルに聞いた。
「大丈夫だよ! 無敗のリンカちゃんが一緒だからね」
「う~ん。確かにあいつは強かったな……」
「も~! なんでこんなに複雑なんだ~? 大変すぎるよ~」
フォックスが早速弱音を吐き始めた。
「うるさいな~、黙ってやりなさいよ!」
クリスが怒った。
「まあまあ~、喧嘩しないで~」
ミルは2人をなだめるように言った。
「でもさ、こんな事やってる間にアンナが追いかけてきちゃったらどうするんだよ~」
「だからこうやってみんなで急いでやってるんだろうが! 喋ってる暇があったらさっさとやれよ!」
ピッカーも怒り始めた。
「大丈夫だよ~、リンカちゃんが今頃頑張って引き止めてくれてるはずだから」
5人が必死に魔法陣を作る中、上空に居るリンカ達はアンナがクリス達の方へと向かわないよう必死に妨害をしていた。
ロンドは鎖をアンナに巻き付けてアンナを引っ張っていた。
「ロンドさん! お腹刺されたのに、安静にしてなきゃダメです!」
リンカが言うがロンドは言う事を聞かない。
「アホ! みんな頑張ってるんだろ? だったらこんな時に俺だけ休んでられるか!」
「……分かりました」
そう言ってリンカも鎖を掴んだ。
「私も手伝います。自慢じゃないですけど、私は力では誰にも負けませんよ?」
「そういうのを自慢って言うんだろうが……」
2人は鎖を引っ張り、アンナを船に引き戻そうとした。
「けっ! こんなものであたしを止められると思うなよ?」
アンナはそう言って鎖を引きちぎろうとしたが鎖はびくともしなかった。
「残念だがその鎖はこの世で最も頑丈な金属で出来てるんだ。お前の力でも壊すのは無理だな」
「へえ~。だったらこうしてやるまでだ!!」
アンナは翼を大きく羽ばたき始めた。
ロンドとリンカはアンナの途轍もない力に引っ張られ、船から落ちそうになってしまう。
「おい、力だけが取り柄のリンカ!! もっと引っ張れよ!」
「失礼な海賊ですね!! 力だけなんかじゃないです! 技だってあるんですから!!」
「綱引きに技も何もあるか!」
2人は必死に踏ん張ったが、アンナの力は船ごと引いてしまう程強力だ。
船はゆっくりと動き出し、ゆらゆらと揺れた。
「や、やばいっ!」
ロンドはいきなり手を放し、舵を取りに戻った。
アンナに引っ張られながら船はどんどんと進んでいき、セントラルシティにまで入ってしまった。
セントラルシティに立ち並ぶ高層ビルに船がぶつかりそうになったが、ロンドの舵取りで間一髪のところで避けた。
リンカは急にロンドが手を離したせいで一気に引っ張られてしまい、船から体の半分以上が乗り出してしまった。
リンカは慌てて鎖を伝って船内に戻る。
「ちょ、ちょっと!! いきなり離さないでくださいよ~!」
「そんな調子でほんとにアンナに勝てるのかよ」
ロンドにそう言われるとリンカは返す言葉がなく、黙ってしまった。
リンカ達が隙を見せたところでアンナが船を勢いよく引っ張り、再びビルにぶつかりそうになる。
「くっそ~~!!!! このままだとぶつかるぞ!!!!」
ロンドが必死に舵を切るがそれでは間に合いそうにない。
船は大きく旋回するが、スピードに乗ってしまいそのまま横向きでビルにぶつかりそうだ。
「リ、リンカパワーーーーーーーーーーーー!!!!」
リンカが叫びながら鎖を思い切り引っ張った。
船はリンカの腕の力だけで前方へと進み始め、ビルの窓ガラスを割りながらも直撃は避けられた。
「ハァハァハァ……」
「おい! 休んでる暇は無いぞ!! 今アンナがあいつらの元へ行ってしまうとまずい!」
船の上からも地上でクリス達が魔法陣を作っているのが見えた。
リンカはどうしたらアンナを止められるかを考えた。
鎖を引いてもアンナの力には勝てない。
「だったら……」
リンカはそう言って甲板の端に立った。
そしてそこから走り出した。
「な、何をするつもりだ!?」
あまりの勢いで走るリンカにロンドは驚く。
それもそのはず、リンカはそのまま走って船から飛び上がったのだ。
リンカは大きく弧を描くように船から飛び出し、空中からアンナに襲い掛かった。
「な、なんだと!?」
流石のアンナもその不意打ちは避けられず、リンカに殴られると下へと落ちていった。
「お、おい!!」
ロンドは心配そうに下をのぞき込むが、しばらくするとアンナと共に上空へ上がってきた。
「あのバカっ!!」
ロンドはリンカを助けるために船内に戻って準備を始めた。
リンカはアンナと空中で殴り合いになり、振り落とされそうになるも必死に掴まって耐える。
「なんなんだお前たちは!! なんで全く関係ない奴を助ける為にあたしの邪魔をする!?」
アンナが聞いた。
「それが人間なんじゃないんですか? アンナさんは知らないかもしれないですけど、人間って意外と優しいんですよ?」
リンカはアンナを殴った。
ロンドはエンジンルームに行き、反重力装置を取り外して腕にはめた。
船は反重力装置を1つ失ったことで轟音と共に大きく傾いた。
「クソッ!! これ以上あたしの邪魔をするなアアアアア!!」
アンナは自らの体から強力なエネルギー波を放った。
リンカはその衝撃で吹っ飛んで、地面に向かって真っ逆さまに落ちていく。
そしてロンドは船から飛び降り、リンカの元へと向かった。
地上で魔法陣を作っていたクリス達はその光景を見て慌て始めた。
アンナが落下する船を引きながら途轍もないスピードでこちらへと向かってくる。
「おい、急げ!! まだ半分も完成してないぞ!?」
ピッカーが叫ぶ。
皆は急いで仕上げにかかるが魔法陣はかなり複雑に作られている為、中々完成する気配はない。
「こ、こんなの無理だよ~!! もうそこまで来てるんじゃんか!! なあ、逃げようぜ? 今からでも遅くないから!!」
フォックスが言った。
「バカ! ロンドを助けるんでしょう? ここで私達が諦めたら終わりだよ」
クリスはそう言いながら作業を続けた。
「そんなぁ~」
フォックスは落胆しながらも再び作業に戻った。
「アハハ。海賊さんって面白いね~」
ミルはその様子を面白そうに見ていた。
「お、おいアレ……」
トラップが空を見て言った。
猛スピードで飛んでいるアンナはもうほとんど近くに来ていた。
どう考えても間に合う様子はない。
「最後まで諦めずにやるんだ! ロンドさんだって、一人になっても俺たちを守ろうとしてくれただろ!?」
ピッカーが叫ぶ。
「で……でも……」
フォックスはそう言って手を止めてしまった。
アンナは砂埃を巻き上げながら地上に降り立った。
反重力装置を失った船はその後ろでフラフラと揺れながら落ちてきて、大きな衝撃音と共に着陸した。
アンナは繋がれたチェーンをようやく解いてクリス達の元へとゆっくり歩いてくる。
クリスやピッカーはそれでも魔法陣を作り続けたが、トラップやフォックスはアンナを見て固まっていた。
「ロンドさんは……? どうなったんだ?」
落下した船を見ながらトラップが言った。
「あ、あれ見て~」
ミルが言う方向をフォックスとトラップが見ると、そこには空からゆっくり降りてくるロンドとリンカが居た。
「ロンドさん!! ロンドさんは無事だ!!」
フォックスは嬉しそうに言った。
「アホのお姉さんもいる!」
クリスはリンカを見て言った。
ロンドに掴まっていたリンカはそのまま手を放して地上に降りると、アンナの元へと走っていき、彼女に殴りかかった。
だがリンカのパンチは片手で簡単に止められてしまい、逆にエネルギー波で吹き飛ばされてしまった。
「お前達、ずいぶんとあたしの事をこけにしてくれたな」
アンナは両手から白い光を放ちながら皆の元へと向かってきた。
ここまでくると流石のクリスやピッカーも攻撃態勢に入った。
立ち上がったリンカとロンドも合流して皆で戦う準備をした。
「わ~みんなかっこいい。カメラ持ってくればよかった~」
ミルが楽しそうに言った。
「ふん、こんな大がかりの魔法陣を作るとはお前たちもなかなかやるな」
アンナは魔法陣の上に立った。
「だが残念ながら未完成だな」
アンナは嘲笑うかのように言った。
「す、すいません、ロンドさん……。俺達完成させられなくて……」
ピッカーが申し訳なさそうに言った。
「あ? 俺はこんな魔法陣を作るようになんて頼んだ覚えはねえぞ? 一体これは何だ?」
ロンドが聞いた。
「それは僕が頼んだんだ。君の部下はよく頑張ってくれたよ」
その声の主はアランだった。アランは拍手をしながら皆の元に現れた。
「お、お兄ちゃん!?」
クリスが驚いた様子でアランを見た。
「クリス、久しぶりだな。もう大丈夫だ。最強の魔術師が今ここに助けに来たからな」
「最強の魔術師だと? 聞いて呆れるな。あたしがお前に魔術を教えたんだ。弟子が師匠に勝てるわけないだろう?」
アンナがアランに言った。




