第43話 空の上から救世主登場!! そしてリンカの前世の記憶が蘇る。
「お前の相手はこの俺だ!!」
ロンドはそう叫んで、アンナに斧で切りかかった。
アンナは咄嗟に光の剣を出して2人は戦い始めた。
「あたしの邪魔をするな!! 大体お前とクリスは関係ないだろう! なぜ守ろうとする?」
アンナが聞いた。
「あいつは俺の仲間だ。仲間は死んでも守るのが船長の役目だろうが!!」
ロンドは叫ぶ。
「あたしはそんな綺麗事が大っ嫌いだ!! あたしは目の前で仲間が大勢死んでいくのを見た。だがどうだ? 自分の事ばかり考えてた奴だけが助かったんだ!!」
ロンドはアンナの攻撃を受け止め、アンナを突き飛ばした。
「だからなんだ? 1人で助かるより仲間と助かったほうがその後の人生が楽しいだろう? 仲間を裏切って自分だけ助かったって苦しいだけだ」
「うるさい! 黙れ!! あたしは間違ってない。これからもそうやって生き残り続けるんだ!!」
アンナはそう言ってロンドに向かって走った。
ロンドは斧でアンナの剣を受け止めたが、アンナはもう一本光の剣を作り出し、ロンドの腹を突き刺した。
「うっ……!!」
ロンドが倒れると光の剣は消えてしまった。
傷口からは血が流れ、ロンドは苦しそうに傷口を抑えた。
「ふんっ。ほらな? こうやってまた綺麗事を言うやつがまた一人死んだ。あたしの方が正しいんだよ」
「ハハハ……」
ロンドは笑った。
「何がおかしいんだ!!」
「いいや。今回は俺の勝ちだ。何故なら今俺は仲間を助けられて最高に気持ちがいい。仲間達には悪いが、こんな死に方ができるなんて俺は幸せ者だ」
「ふ、ふざけるなぁ!!」
アンナがロンドをもう一度剣で刺そうとしたその瞬間、上から何かが降ってくるのが見えた。
ロンドが目を凝らしてよく見るとそれは人間だった。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
その人物は叫びながら遥か上空から船に向かって落ちてきた。
「あいつは……」
その正体は道着に身を包んだリンカだった。
「なにっ!?」
アンナが上を見上げた瞬間、リンカはアンナの後頭部に蹴りを浴びせた。
アンナは吹き飛んで甲板に顔面を叩きつけられた。
「ロンド!!」
リンカが叫んだ。
「お前は確か……」
「木崎リンカです! さあ、早くこっちへ」
リンカは傷ついたロンドを船内へと誘導した。
「お前は味方なのか?」
ロンドが聞いた。
「はいっ。安心してください。私はクリスちゃんを助けに来ました」
ロンドは笑った。
「あいつもいろんな奴に助けられて幸せもんだな」
「笑ってる場合じゃないです! これで止血してください!」
リンカは布切れをロンドに渡して船外へと出た。
「貴様は……木崎源十郎の娘だな……?」
倒れたアンナがゆっくりと立ち上がっていた。
「どうして知ってるんですか?」
「お前を学園に招待させたのはあたしだ。シナプスに勧誘させたのもそうだ」
「どうして私を?」
「お前は相当な戦力だからさ。サイファーを倒すためのな」
「どうしてあなたがサイファーを倒したがってるんですか?」
「あいつがあたしにとっての唯一の脅威だからさ。あいつが居なくなればあたしは最強だ」
「残念ですがそれは違います。私がこの世界で最強の人間ですから」
リンカは拳を握りしめた。
「お前は……。どこかで見たことがあるな。名前は何と言った?」
「私は木崎リンカですっ!」
「リンカ……!? まさか!?」
アンナはリンカに掴みかかった。
「お前は!! お前は私の事を覚えているか……!?」
「あなたを……?」
リンカはアンナの顔をよく見た。
「あなたは……。前世の記憶の中にいた人に似ています。名前も確かアンナでした……」
「……っ!!」
アンナはリンカのその発言を聞き、血相を変えてリンカから離れた。
「どうして……。あなたが……」
その時、リンカの頭の中に前世の記憶が溢れ出るように蘇ってきた。
◇
三島リンカは黒壁アンナに連れられて大学のキャンパスに来ていた。
緑豊かな広大な土地に巨大な建物が並ぶ。
「ここがアンナさんの働いてる大学!? すごーい!!」
隣家はご機嫌で草原の中を走り回る。
「ふっ。まあこんないい所で学びたければもっと勉強することだな。でもお前はちょっと頭が足りないかもな。昨日も結局ゲームしかしなかったからな」
「そ、そんなことない!! 私だって家ではがんばってるもん!」
リンカは不貞腐れてそっぽを向いた。
リンカはアンナに連れられて彼女の研究室へと向かった。
「おおっ」
2人は突然研究室から出てきた他の研究員とぶつかりそうになった。
「うっす。すいませんっす」
眼鏡をかけた彼はそそくさとどこかへと消えていった。
「リンカ、ここがあたしの研究室だ」
「すごーい! ひろーい!」
中は広々としていて、コンピュータが何台も並んでいる。
「おお、アンナ君。そちらはお子さんかい?」
話しかけてきたのは初老の髭の生えた男だった。どうやらアンナの研究室の教授のようだ。
「教授、あたしが子供なんか産むわけないだろ? 姉ちゃんの子だよ」
「こんにちは」
リンカは挨拶をした。
「ふうんなるほどねえ」
「それで教授、私にも新しいプロジェクトの内容を教えてくれよ。大きいプロジェクトみたいなのになんであたしは入れてくれないのさ」
「そ、それはだな……君にはもっと適任の仕事があると思ってるからだ。それに、日野君がよくやってくれてるからもう完成間近なんだよ。残念だが、君の出る幕はない」
教授はそう言うとそそくさとどこかへ逃げていった。
「日野君って?」
「さっきぶつかりそうになった眼鏡の男だよ。なんか怪しいんだよな。あの2人。ずっと陰でこそこそと……。何をやってるんだ?」
「まあいいじゃんっ。私にもコンピュータの扱い方教えてよ!」
リンカははしゃいで研究室の中へ入っていった。
「いいや、絶対にそれより面白いことがある」
アンナが言った。
「面白い事って?」
「あいつらのやってる事が気になるだろ? こっそり見に行くんだよ」
「だめだよそんなの! 私まで怒られたらどうするの? お母さんにバレたら殺されちゃうよ」
「ふ~ん、だったらあたし一人で行ってくるよ。お前はそこでお菓子でも食べてろよ」
「そんな言い方ずるい!! 分かったよ! だったら行くよ!」
◇
「ハァハァハァ……」
リンカは記憶の一部を思い出して息を切らしていた。
「どういうこと……? なんであなたが前世の記憶の中に出てくるんですか?」
「ふっ……。まだ完全には思い出していないようだな。だったらそれでいい。お前はずっとそのままでいろ!!」
アンナはリンカを突き飛ばし、翼を広げて飛び上がった。
「じゃあな。あたしの目的はあくまでクリスだ。お前らなんかに用は無い!!」
アンナはそのまま飛び立ってクリス達が飛ばされた方へと向かってしまった。
一方ロンドによって飛ばされたクリス達はアウトサイドの荒野に落下していた。
「く……クソッ!! 俺たちのせいでロンドさんが……」
ピッカーが地面を殴った。
「もう諦めるの? 今からでもいいからあそこにみんなで戻ろうよ!」
クリスは遥か彼方の上空に浮かぶ船を指さして言った。
「そんなの無理に決まってるだろ! あの高さまで船を浮かせるのにどれだけ苦労したとおもってるんだ!」
「そうだぞ! 無理だ無理! なあメープル」
フォックスは肩に乗せたメープルに聞いたがメープルはそっぽを向いた。
「一生懸命考えるんだよ! 諦めちゃダメ! ほら、魔女の箒でぱーーっとかびゅーーんっていけないの!?」
「俺たちは魔術師じゃねえ! ロンドさんが居ない今、そんなことできる奴は残っちゃいないよ!」
そんな言い合いをしていると、カラカラと何かを引くような音が聞こえてきた。
音のする方を見ると、1人の少女が奇妙な機械を引きながらクリス達の方へと向かってきた。
「わ~! あなた達が海賊さん? なんかかわいい~」
「だれだお前」
フォックスが聞いた。
「私はミルだよ~。よろしくね。突然だけど、これ作るの手伝って? 1人じゃ大変なんだよね~」
ミルは手に持っていた魔法陣の設計図をクリス達に見せた。
「なんで俺たちがそんな事しなきゃいけないんだよ!」
「なんでって、あなた達の船長さんを助けるためだよ?」
クリス達4人はお互いに見合った。




