第42話 まだまだあった海賊団の秘密兵器!! アンナの負け〜??
「ふんっ。こんなシールド攻撃してればいつかは壊れる! こんなものが秘密兵器だとはな……。がっかりだよ!」
アンナはシールドに向かってパンチした。
すると、アンナの拳はシールドに飲み込まれ、そのまま張り付いて取れなくなってしまった。
「な、なんだよこれ!?」
「馬鹿め、さっき言っただろ? このシールドは吸着シールドだ」
「だからなんだ! こんなもの! すぐに外れるさ!」
アンナは力を込めて腕を引くが強力に張り付いてしまっており、中々取れそうにない。
「そして!! びっくりドッキリ秘密兵器その2だ!」
「なんだよ! まだあるのか!?」
アンナの表情にはだんだん焦りが見え始めた。
ロンドは上機嫌で説明する。
「ああ、あるね。そのシールドの表面をよく見てみろ」
アンナは目を凝らしてシールドの表面を見た。
そこには小さな丸い粒のようなものが無数に張り付いている。
「これは……まさか!?」
「ああ、頭のいいお前なら分かるだろう。それは超小型のナノ爆弾だ。それがこのシールドの表面には数千個も仕込まれている。そして、今から俺達はそれを起爆する! ピッカー、トラップ! 準備をしろ!」
「はいっ!」
「お、おい! やめておけ! 分かった! インフィニティシールドが欲しいんだろ? あたしが持ってきてやるから! クリスのことももう諦める!」
アンナは慌てた様子で言った。
「誰があんたの言葉なんて今更信じるの? 反省しなさい!」
クリスはアンナに向かって言った。
ピッカーとトラップは船内に戻って起爆の準備を始めた。
「残念だったなアンナ、俺たちはここ数日の間周到に準備を進めてきた。海賊の力を思い知れ!!」
「な、何が海賊だ!! この下等生物共が!! お前らごときがあたしを倒せると思うなよ!!」
「爆破しまーーっす!!」
その叫び声と共にシールドの外で途轍もない爆発が起きた。
「ウアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
爆発による轟音の向こうにアンナの叫び声が聞こえた。
「やりましたよ! ロンドさん!!」
フォックスが飛び上がって喜んだ。
爆風と煙がシールドの向こう側でしばらく漂って、皆はアンナの様子を確認しようと固唾を飲んで見守った。
煙がある程度消えていったところでアンナのシルエットが見えた。
彼女は腕だけをシールドに突っ込んだまま、力なくぶら下がっている。
「やった!! 倒したぞ! それ見たことか! やっぱり俺達ならやれると思ってたんですよ」
フォックスはそう言いながらアンナの傍まで近づいて行った。
「おい、待て。あんまり近づくな」
ロンドが言った。
「何言ってるんですかロンドさん、俺達勝ったんですよ。もう何もビビることはないんです」
そう言っているフォックスの後ろからアンナの腕が彼の首を掴んだ。
「ギャーーーー!! 助けて~!!!!」
「ハァハァハァ……。お前らよくもやってくれたな。お前らのせいで寿命がかなり縮んだぞ……。だがな、あたしは人間なんて超越している存在だ。お前らなんかに簡単に負けやしない」
アンナはフォックスの首を強く締め上げた。
フォックスの肩に乗っていた狐のメープルがアンナの腕を噛もうとしたが、メープルはアンナに振り払われてしまい、船内に逃げていった。
「アンナ! 私が目当てなんでしょ? だったらそんな小物早く捨てちゃって」
クリスが前に出て言った。
「小物!? 小物だと!? お前もういっぺん言ってみろ! 俺は小物なんかじゃない! 中物だ!」
フォックスは首を掴まれたまま暴れて言った。
「もちろんお前が目当てだとも。クリス。だが、取引に応じるにはこんなシールドさっさと壊してしまわないといけないな」
アンナはフォックスを投げ飛ばすと、翼を大きくはばたかせてシールドから腕を抜いた。
「あたしの技を見せてやろう……。エネルギーを使いすぎるからこの技を使うのはもう最後になると思うが、せっかくの機会だ。クリスにも見せたことがないからな」
皆は息をのんで見守るしかなかった。
「いくぞッ……。エンゼルフォール」
アンナはそう言って猛スピードで空高く飛び上がった。
そして上空で自分の翼を消した。
彼女はそのまま真っ逆さまに海賊船に向かって落ちてくる。
「ど、どうなるんですか!? 大丈夫ですよね? シールド持ちますよね!?」
フォックスがロンドに聞いた。
「おいお前達、船内に隠れろ! 早くしろ!!」
皆は慌てて船内へと逃げ込んだ。
だが、ロンドだけは甲板でアンナの様子を見守った。
アンナは途轍もないスピードで落下しながら大きく両手を広げた。
そして、アンナの体を巨大な白い光が包み込んだ。
その様子はまるで大きな白鳥が翼を広げて真っ逆さまに落ちてくるようだった。
海賊船よりも何倍も大きなその白鳥は船に向かって真っ直ぐ落ちてくると、シールドもろとも船を真っ二つに切り裂いた。
「ロンドさん!!」
ロンドは割れた船を素手で繋ぎ止めて耐えた。
「早く!! これを何とかしろ! お前達!!」
ロンドは必死に船が離れていかないように耐えながら言った。
「は、はいっ!!」
ピッカーたちはまず鎖で船を繋ぎ、溶接を始めた。
「ふっ……。お前達も必死だな~。さっさとあたしに降参しておけばこんなことにはならなかったのにな。かわいそうに」
アンナは戻ってくると甲板に降り立った。
ピッカーたちの頑張りによって船は応急処置で何とか持ちこたえた。
「ロンド……」
クリスはロンドの方を見つめた。
その目には、私のことは良いからもう逃げてという気持ちが込められていることにロンドは気づいた。
「アンナ。お前にまだ見せてないものがある」
「ふ~ん。この期に及んで強がりか? お前らしくないぞ。お前はもっと男らしいのが魅力だと思ってたんだがな」
アンナはロンドの顔を触って言った。
「いいや。さっきも言っただろ? びっくりドッキリ秘密兵器は3つある」
ロンドは自信満々に言ったが、クリスや他の船員たちは不安げに見つめている。
「ロンド、私達にはもう……」
クリスがそう言いかけたのをロンドが止めた。
ロンドは船員たちに振り返って言った。
「お前たちには先に謝っておく。すまない。俺は今から海賊団の掟を破る。お前達は許してくれるか分からない。もしかしたら、もうお前たちの船長ではいられなくなるかもしれない。だから最後に歌わせてくれ」
「なに言ってるんですか! 一体何の掟を破るって言うんですか!!」
「俺たちゃ無敵の海賊団~。泣いてる赤子も笑わせる~。ロンド海賊団~」
ロンドは静かに歌った。
「何呑気に歌ってるんだ! さっさとやれ!!」
アンナが叫んだ。
歌い終えたロンドはアンナの方を振り返って言った。
「じゃあ見せてやろう。ここにいる俺以外の全員にまだ見せていない、3つ目のびっくりドッキリ秘密兵器だ」
ロンドはそう言って何かの装置のボタンを押した。
すると、クリスとピッカー、トラップ、フォックス、それぞれが立っていた床に穴が開いて、皆その穴の中に落ちた。
「ど、どうなってるんですか!? ロンドさん!!」
「すまない。俺が破る掟は、ロンド海賊団の掟その1!! 仲間の命は自分の命、自分の命は仲間の命。死ぬときは必ず一緒に、だ」
「まさか!? ロンドさん!!」
「やめて!! ロンド!!」
船員たちが叫ぶ中、ロンドはスイッチを押した。
「じゃあな。お前達。できるだけ遠くに逃げろよ?」
ロンドがそう言うと、クリス達は皆大砲に乗ってどこか遠くへ飛ばされた。
「な、なんだと!?」
アンナは突然のことにどうすることもできず、クリス達を逃がしてしまった。




