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バニラパンチ  作者: うみこん(宇宙みかんコンピューター)
第二章 学園
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第38話 新生徒会長誕生!! バイバイニーナ! そして、お待たせしましたラスボス登場~♡

 アランは煮込み終わったビーカーを魔法陣の上に置いて、その上に手をかざした。


 魔法陣は輝き始め、ビーカーの中の薬品の色がだんだん変わっていった。


「あ……アランさん……。何やってるんですか?」


 リンカが聞いた。


「いいから。君は黙って寝てろ。素人は医者の言う事を黙って聞くもんだ。まあ、僕は医者じゃないけどな」


 アランはそう言いながらもビーカーを持ち上げ、リンカの傷に向かって中の液体を垂らした。


「痛っ!!」


 液体がリンカの傷口にかかると、ジューという焼けるような音と煙が出てリンカが痛がった。


「黙って動くな。死にたくなければな」


 アランはそう言いながらリンカの傷口に向かって順番に液体を垂らしていく。


「いっっ!!」


 リンカはその度に痛そうな悲鳴を上げた。


 ビビエルはその様子を見てられず、しゃがんで壁にもたれかかった。


「しばらくそのままにしてろ。動くんじゃないぞ? もし動けばお前の肩からキノコが生えてくる。まあもしそうなったら、松茸ご飯を炊こう」


 アランはそう言ってビーカーを置き、リンカの元を離れた。


 ミルがリンカに駆け寄った。


「大丈夫? リンカちゃん」


「う、うん。大丈夫」


 ビビエルはしゃがんだ後一気に疲れが押し寄せてきてぐったりしていた。


「私……お姉ちゃんに大嫌いとか酷い事言っちゃった」


「いいんじゃないか? たまの姉妹喧嘩くらい。喧嘩するほどなかなか良いっていうだろ? あれ、なんか違うな。何だったかな……」


 アランが言った。


「でも……。お姉ちゃん許してくれるかな?」


「ニーナは君を責めたりはしない。彼女はそういう人間だ」


「そうかな……」


 ビビエルは俯いたまま言った。


「ニーナさん、大丈夫ですかね」


 リンカが言った。


「君は動くなって言っただろ? もう喋るな。次喋ったら、5分間コチョコチョの刑だ」


 アランが怒った。


「でも、ほんとに大丈夫なのかな……。死刑なんかになったらどうしよう」


 ビビエルが不安そうに言った。


「ニーナは大丈夫だ。何があっても僕が守る。そう約束しただろ?」


「そうだけど、でもアランは私達を見捨てたじゃん!」


「僕は見捨てたつもりはない。怒ってたのは確かだがな」


「じゃあなんでこんな所に籠ってるの? クリスちゃんだって今にもアンナに連れされられるかもしれないんだよ?」


「心配ない。動きがあればすぐに分かる」


 アランはそう言って机の上に出してあった道具を片付け始めた。


 ミルはリンカの傍で椅子に座った。


 アランが片付け終わって戻ってくると、皆眠りについていた。


 アランは3人にそれぞれ毛布を掛け、電気を消して自室に戻った。


 翌朝、外で何やら騒がしい声がしてリンカ達は目を覚ました。雨はすっかり上がって空は晴れ渡っている。


 リンカは立ち上がって窓の外を覗いていた。


「り、リンカ!? もう起きあがって大丈夫なの?」


 ビビエルが聞いた。


「はいっ。アランさんのお陰ですごくよくなったみたいです。もう~ビンビンです!」


「それを言うならピンピンでしょ……」


「みんな何やってるのかな~」


 外から聞こえてくる音をよく聞いてみると、それは集会のアナウンスだった。


「新生徒会長就任に関するお知らせがあるから全員集まれって……」


「行ったらいいんじゃないか? 面白そうだ」


 アランが後ろから出てきた。


「でも、私達警備員に捕まっちゃいますよ?」


「ほら」


 アランはそう言ってローブを2枚リンカとビビエルに投げた。


「これを被ってれば大丈夫だ。行ってくるんだ」


 アランは2人を押して部屋から出した。


「ほら、君もだ」


 アランは部屋に残っていたミルにも言った。


 3人は警備員から隠れながら人混みに紛れて集会のある広場へと向かった。


 学園の全生徒が集まっているだけあって今までにないほどの人だかりだった。


 3人がたどり着くと、そこには丁度エリオが居た。


「あ! エリオちゃん~」


 ミルが言った。


「ミルさん! それに……リンカさん? なんでそんな恰好してますの?」


「これにはちょっと訳があってね……」


「でも一体何が始まるんでしょう」


「きっと、お姉ちゃんが辞めたことを報告するんだね……」


 ビビエルが言った。


「辞めた? 会長がですか……?」


 エリオはまだ理解できていないようだ。


 皆が注目する中、スピーチ台の上に立ったのはやはりリリィだった。


 リリィはマイクを持って話し始めた。


「やっほ~♡ みんな。今日集まってもらったのは重大な告知をしようと思って」


 彼女は続けた。


「みんなにとっては良いニュースだから安心して~? 前任の生徒会長だったニーナ・イェールが昨日をもって退任しました~♡」


 会場がどよめき始める。


「まあ、訳あって懲戒免職処分になったんだよね~。理由はまあ、勝手に想像してね♡」


「ちょ、ちょっと、リリィさん! ちゃんとやってください!」


 リリィの後ろからベッキーが言った。


「はいはいはい」


 リリィは適当に返事をする。


「そこで、ここからが大事です! みんな、集中して聞くように! 生徒会長が居なくなった今、誰かがその代わりを務めなきゃいけないよね? だから、副会長の私が新たに生徒会長を務める…のが普通なんだけど」


 リリィは人差し指を一本立てながら言った。


「でも、学園則にはこう書いてある。生徒会長が何らかの理由で退任した場合、原則副会長がその役割を引き継ぐ。ただし、退任の理由が懲戒免職だった場合に限って、副会長が新たな生徒会長を指名することとする」


 再び会場がどよめいた。


 後ろに居たベッキーも思わぬ展開にリリィに問いかける。


「ちょっと、どういうことですか? あなたが会長をやるんじゃないんですか?」


 リリィは無視して続けた。


「正直、私って生徒会長ってガラじゃないって思うんだ~。みんなもそう思うよね? だから♡ みんなにふさわしい新生徒会長を用意しました~! パチパチパチ~!」


 リリィは拍手をして見せた。


「じゃあ、心の準備はいい? 早速、発表しちゃうよ♡」


 リリィのその言葉に生徒全員が息を呑んだ。


「新しい生徒会長は……」


 リリィがそう言った途端雲で太陽が隠れ、辺りが暗くなった。


「この人で~す」


 リリィが大きく手を広げ、スピーチ台に登ってきたのは1人の男だった。


「だ、誰……?」


 正体不明の男の登場に会場は静まり返った。


「お~っとっと。間違えちゃった」


 リリィはそう言って、男をひっくり返して皆に背中を向けさせ、彼の服を剥いだ。


 彼の背中には痛々しい傷で魔法陣が描かれていた。


 リンカ達はその魔法陣に見覚えがあった。


「あれは……まさか……」


「本当の生徒会長の名前を教えてあげる……」


 リリィがそう言いながら男の背中に手をかざすと、その魔法陣が光を放ち始めた。


 一瞬だけ映像が乱れるように男が消えて誰が別の人物が現れた。


 再び一瞬だけ現れる。


 その人物が現れる頻度は段々早くなっていき、それと同時に光もどんどん強くなっていった。


 強い光で皆が目を逸らしたとき、リリィは言った。


「その名は……」


「サイファーだ!! ハッハッハッハッハ」


 そこに現れたのはサイファーだった。


 大きなマントを羽織って登場したサイファーは高らかに笑いながら、その手に持っていた杖を使って目の前の生徒を空中に浮かび上がらせた。


「キャーーーー!!!!」


 そしてサイファーがもう一度杖を振るとその生徒の悲鳴は止まり、口から血を流しながして死んだ。


 皆は悲鳴を上げてサイファーから離れていく。


「アッハッハ~♡ アッハッハ~♡ 騙されてやんの~♡ 私が殺人の犯人で~す♡」


 リリィはベッキーを含めた生徒達を煽るように言った。


「これはお前達へのほんの挨拶代わりだ。どうぞよろしく」


 サイファーは小さくお辞儀をした。


「ねえ、サイファー? 私頑張ってこれ取ってきたんだから♡ 褒めて?」


 リリィは跪き、青のフラグメントオーブをサイファーに渡した。


「ああ。えらいぞ。リリィ。よくやった」


 サイファーはそう言いながらリリィの頭を撫でた。


 そして、オーブを受け取ると自分の杖にはめ込んだ。


 青いオーラが彼の体全身を包み込んだ。


「ああ……。やっと……。やっとだ……。やっと手に入れたぞッ!!」


 サイファーは叫んだ。


「この時をどれだけ待ちわびたか……。長い時間がかかってしまった」


 サイファーは感動をしばらくかみしめた。


「エリオ! 居るんだろ? 出てきてくれ。お前の兄が帰って来た」


 サイファーのその言葉にリンカとエリオは顔を見合わせた。


 リンカは彼の元へ向かおうとするエリオの腕を掴んで止めた。


「リンカさん、ごめんなさい」


 エリオは最後にそう言ってリンカの手を放し、サイファーの元へと駆けていった。

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