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バニラパンチ  作者: うみこん(宇宙みかんコンピューター)
第二章 学園
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第33話 こんにちは、青のフラグメントオーブ。ドッカンドッカン大爆発

「ビビエル、今からリンカの映像を送るから、どうやったらコントロールルームの開錠ができるか調べてほしい」


「今から!? ちょっと困るよ~!」


 ビビエルはそう言いながらもカバンからノートパソコンを取り出し、片手でパソコンを操作し片手に銃を持って走り続けた。


「お願い。急いで」


「十分急いでるから~!!」


 ビビエルは叫んで走りながらパソコンで開錠方法を調べた。


「あ、わかったかも! 今からお姉ちゃんに送るから!」


「私、パソコン苦手」


「分かってるから! 自動で印刷されるようになってるから!」


 ニーナはビビエルからの情報を受け取ってリンカに伝えた。


「リンカ、1番上の右から2番目のボタンを2回、あと下から3段目、右から10番目のボタンを3回押して」


「えーっとえ~っと」


 リンカは急いでボタンを探し始めた。


「ごめん取り込んでるところ悪いけど、こっちもちょっと問題が起きたんだけど……」


 ビビエルが言った。


「何?」


 ニーナが聞く。


「なんだかだんだん電気が付いて来てる……! しかもシャッターが閉まり始めてる」


「もしかしたら地下は別の補助電源を使ってるから復旧が早いのかも。とにかく急いで」


「ずっと走ってるよ~!! もう!!」


 ビビエルはパソコンをカバンに戻し、また全力で走り始めた。


 既にシャッターが閉まりきってしまった場所もあり、ビビエルは遠回りしながらコントロールルームへと向かっていく。


 時間はあと60秒を切った。


「ビビエルさん! コントロールルームの開錠終わりました! がんばってください」


 そう言った後リンカは部屋を出てオーブのある部屋の前まで移動した。


「はいはい、がんばってま~す!!」


 もうコントロールルームは目前だが、そこへと続く道のシャッターももう閉まり始めていた。


 シャッターは半開きの状態から10センチ20センチと閉まっていき、隙間はどんどん狭くなっていく。


 恐らくビビエルが今いる場所から走ってももうコントロールルームにはたどり着けない。


 ニーナとリンカは固唾を飲んでビビエルからの報告を待っていた。


 一方のビビエルは慌てた様子で筒状の機械を2本取り出した。


「こんなことならホバースケート持ってくればよかったよ~!」


 彼女はその筒状の機械をそれぞれの足に着け始めた。


 シャッターの隙間はわずか数十センチ。もうしゃがまないと通れないほどだ。


 ビビエルはビニールシートを床に敷いてその上にうつ伏せになった。


「いくよ! ビビエルロケット!」


 ビビエルが足に着けた機械から出ている2本のワイヤーを一気に引っ張ると、その筒から炎が噴射されビビエルはそのまま物凄いスピードで滑走していった。


「わああああああ!!!」


 ほとんど閉まりかけのシャッターの隙間をギリギリでビビエルが駆け抜けていく。


 あと3枚、2枚、1枚。


 ビビエルはシャッターが閉まり切る直前で抜け、ようやくコントロールルームにたどり着いた。


「ビビエル、到着しました!」


 コントロールルーム内に入ったビビエルは2人に報告した。

 

 ニーナとリンカは安堵のため息をついた。


 ビビエルはさっそくパソコンを取り出し、コントロールルームのコンピューターと接続した。


「アラートの解除には少し時間がかかるから、見つからないように待っててね」


 ビビエルはそう言って作業を始めた。


 リンカが居る地上ではようやく電気が復旧して明かりがつき始めていた。


 リンカは見つからないよう物陰に隠れてビビエルの作業を待った。


 地下で作業をしていたビビエルだが、急に電気が切れて辺りが真っ暗になった。


「な、なに?」


 ビビエルは周りを見回すが、暗くて何も見えない。


 電線を切った影響で再び停電したのかと思い、ビビエルは作業に戻るがやはり何かが動いている気配がする。


 ビビエルは暗闇で目を凝らし、動いているのが何か確認しようとした。


「だ、誰……?」

 

 ビビエルは懐中電灯を取り出して、周りを照らした。


「キャーーーー!!」


 ニーナとリンカのインカムにビビエルの悲鳴が響き渡った。


「ど、どうしたんですか! ビビエルさん」


「ビビエル、どうかした?」


 リンカやニーナが呼びかけるが、ビビエルは答えない。


「ビビエルさん! ビビエルさん!」


 リンカが呼びかけ続けていると、ビビエルの声が一瞬だけ聞こえた。


「にん……ぎょう……が」


 そうれだけ聞こえ、ビビエルからの通信が途絶えた。


「ビビエルさん! 聞こえますか!? ビビエルさん!」


 リンカはビビエルに呼びかけ続けた。


「おいお前! 何やってるんだ!」


 リンカが声を出したせいで近くにいた警備員に見つかってしまった。


 警備員は近くの非常ベルを押してアラートを鳴らした。


 施設中にけたたましいサイレンの音が鳴り響く。


 警備員はリンカの元へとやって来ようとするが、何重にも扉が重なっているのでなかなか入ることができない。


「どうせ見つかったなら……もうやけです!」


 リンカはそう言って目の前にあった扉を蹴り飛ばして破壊した。


 中に入ると中は薄暗く、独特の雰囲気だった。


 部屋の中心におかれた小さなテーブルの上にぼんやりと光る何かが置いてあった。


 それがまさに青のフラグメントオーブだった。


 青色に輝く球体がクリスタルの箱に入れられている。


 リンカはこれに見覚えがあった。


 リンカがこれを目にしたあの日の記憶が鮮明に蘇ってくる。


「まさか……」


 リンカは辺りを見回した。


 ビビエルの人形という言葉、そして青のフラグメントオーブ。


 入ったときには気が付かなかったがその部屋には何体もの人形が置かれていた。


「ニーナさん……見えてますか」


「見えてる」


 ニーナが答えた。


「でもなんでこんなところに……」


「実はあなた達には言ってなかったこの施設の別名がある」


「別名?」


「そう。ここは魔術品収集管理局。またの名をドールハウス」


 置かれていた人形はリンカが昔見た物より大きく精巧な木の人形だった。


 リンカよりも背の高いその人形達はどれも同じ不気味な無表情の顔でリンカを見つめていた。


 リンカはゆっくりと後ずさりをした。


 だが、人形もそれに合わせて首を曲げてリンカの方を見つめる。


 リンカが部屋から飛び出して逃げようとすると、人形に腕を掴まれた。


 リンカはその瞬間、瞬時に戦闘態勢に入って人形の首をもぎ取っていき、いとも簡単に倒していった。


「はあはあはあ……」


 だが、リンカはこの程度で終わりじゃないことを知っている。


 突然、耳をつんざくような爆発音とともに壁や天井が粉々になるほどの爆発が起きた。


 部屋にはぽっかりと巨大な穴が開き、外の様子が見えるようになった。


 先ほどまであったオーブは瓦礫の下に埋もれてしまい、どこにいったか分からない。


 リンカは落ちてきた瓦礫を押しのけ、立ち上がって外を覗いた。


 そこには5台の戦車と100体以上の人形たちがそれぞれ武器を持って構えて立っていた。


「リンカ、何が起きた?」


 ニーナがリンカに聞いた。


軍隊(アーミー)が現れました」


 リンカは答える。


「ごめんなさい。私、死ぬかもしれません」


 リンカは力なく言った。


 そして、次の瞬間戦車と人形達からの攻撃が一斉にリンカ目掛けて飛んできた。


 リンカは両手を広げ、目を瞑ってただそれを待った。


 物凄い爆音とともに建物が崩れるのが分かった。だが、不思議と痛みは全くなかった。


 リンカが恐る恐る目を開けると、そばにビビエルが立っていた。


「バカリンカ! 危ないときは逃げてって言ったでしょ!」


 どうやらビビエルがやってきてシールドで守ってくれたらしい。


「ビビエルさん! 良かった! 生きてたんですね!」


「生きたんですね~じゃないよ~! 大変だったんだから」


「リンカ、無事?」


 ニーナの声が聞こえてくる。


「は、はい。無事です。ビビエルさんも来ました!」


「よかった」


 ニーナの安堵の声が聞こえた。


「でもビビエルさん、どうやってここまで?」


 ビビエルはリンカにそう聞かれると、天井から吊るされているロープと床に開いた穴を指さした。


「ここから登って来たんですね……」


 ビビエルは穴を覗き込み、人形が上ってきていることが分かると、そのままロープをハサミで切った。


「ロープがあってよかった~」


「でも、ビビエルさんどうしましょう。このままじゃ絶対に勝てませんよ……」


 リンカは下にいる大量の軍勢を見て言った。


「な~に言ってるの。木崎源十郎の娘でしょ? もっと自信もって」


 ビビエルはそう言って壁に開いた穴から外へと飛び出していった。


「リンカはオーブを探して~!」


 ビビエルのその声を聞いてリンカは瓦礫の中からオーブを探し始めた。

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