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バニラパンチ  作者: うみこん(宇宙みかんコンピューター)
第二章 学園
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第31話 潜入、魔術品収集管理局!

「今から計画を話すから、聞いて」


 シナプスのオフィスに戻ってきてたリンカとビビエルにニーナが言った。


「はいっ。お願いします」


 リンカは作戦が間近に近づいてきて緊張している様子だ。


「これが施設の見取り図だよ」


 ビビエルが大きく印刷された見取り図を見せた。


「施設の中には至る所にセキュリティゲートがある。普段はゲートを通るには生体認証が必要。でも、停電してる時は4桁のパスワードだけで通れる」


「そこでこの子の出番ってわけだね!」


 ビビエルは四角い箱のような機械を机の上に出した。箱の側面には9本の足が生えている。


「そう。まずはビビエルはカッターで地下にある送電線を切って。送電線が切れると電力が止まって停電状態になる。そこでリンカはこの機械を使ってパスワードを解除しながら中に侵入してほしい」


「これって何ですか?」


 リンカがビビエルが出した機械を持ち上げて言った。


「これはブルートフォーサーだよ。私が作ったんだ~。パスワードを解除させるための機械!」


「なるほど~」


「1つ気を付けてほしいことがある。停電しても10分経つと予備電源が起動してまた電気が使えるようになる。だから、リンカは10分以内にオーブのある場所までたどり着いて欲しい」


「そんな! そんなの無茶だよ! どこにあるかも分からないオーブを10分で見つけるなんて……」


「そう。分かってる。だから助っ人を呼んだ」


「助っ人……?」


 ニーナがリンカの後ろの方を見たので、リンカは後ろを振り返った。


「やっほ~、リンカちゃん。また会ったね」


 そこに居たのはミルだった。


「ミル!?」


「そう。彼女ならきっとオーブの場所を占える。だから呼んだ」


「本当に!? ミル、そんなことできるの?」


「うーん、フラグメントオーブくらい強力なアイテムだったら魔力を辿ったら見えるかも~。やってみないと分からないけど」


「やってみて」


 ニーナがミルに頼んだ。


「は~い」


 ミルはそう言うと、机の上に赤いテーブルクロスを引いて大きな水晶玉を置いた。


「電気消して~?」


 ミルがそう言うとニーナが電気を消した。


「電気消す必要ってあるの?」


 ビビエルが聞いた。


「必要だよ~。だって雰囲気って大事でしょ?」


 ミルは下から赤いライトで自分の顔を照らしながら言った。


「じゃあ、ちょっと集中するね」


 ミルは目を瞑って両手を水晶玉に添えた。


「おおっ、それっぽい……」


 ビビエルが言った。


「しっ、静かに!」


 ミルは声を出したビビエルに注意した。


 再びミルは目を瞑って集中し始めた。


 暗闇の中、水晶玉がぼんやりと光り始めた。


「見える、見える。なんだか、青い光」


「青のフラグメントオーブだね! 支配者のオーブだ!」


 ビビエルは興奮している。


「ずっと登って行ってる。高いところにあるかも」


「何階か突き止めて」


 ニーナが言った。


「建物の一番高い所だ」


「最上階だね!?」


 リンカが聞いた。


「最上階の……ずっとずっと奥。扉を何枚も超えた先。一番奥……」


 ミルは目を閉じたまま、見取り図を指でなぞり始めた。


「一番奥の真ん中の部屋……。ここ!」


 ミルは目を開け、見取り図を指さした。


「ここに一番強いエネルギーを感じる。多分フラグメントオーブはここにあるよ~」


「分かった。ありがとう」


 ニーナがミルに礼を言った。


「リンカ」


 ニーナがリンカを呼んだ。


「オーブのある部屋は他の部屋よりもセキュリティが厳しそう。だからコントロールルームに侵入してアラートが出ないようにして欲しい。そうすれば帰りも楽」


「コントロールルームですか?」


「コントロールルームは地下。だから送電線を切った後ビビエルが侵入して。リンカはビビエルがコントロールルームに入れるように、セキュリティロックの開錠をしてほしい。オーブのある部屋のすぐ近くに開錠するためのパネルがある。最初はそこに向かって」


 ニーナが見取り図を指しながら指示した。


「分かりました!」


「ビビエルはリンカが開錠できたらコントロールルームに入って」


「分かった! お姉ちゃん」


「じゃあ、話はこれで終わり。準備はいい?」


 リンカとビビエルは黙って頷いた。


「こっちに来て」


 ニーナはリンカ達を別の部屋に誘導した。


 その部屋には金属製のベッドが2台置いてあり、そには魔法陣が描かれていた。


 さらに魔力エンジンがその2台のベッドに繋げられていた。


「ほら、魔力エンジン! 私が頑張って直したんだから」


 ビビエルは自慢げに言った。


「2人とも荷物を持って横になって」


 ニーナに言われた通り、ビビエルとリンカはそれぞれカバンに持ち物を入れ、ベッドの上に横になった。


「準備ができたら転送する」


「リンカちゃん、がんばれ~」


「ありがと、ミル」


 別れを言ってリンカは横になった。


「よし、がんばるぞ」


 ビビエルも横になって目を閉じた。


「じゃあ、転送する」


「えっ、もう!? ちょっと心の準備が!」


 リンカがそう言ったがニーナは問答無用でエンジンを起動させ、轟音が鳴り響いた。


 リンカ達は強い光を感じると共に視界が揺れ動くように感じた。


 全身を冷たい空気に包まれたような感覚に陥り、寒気で震えた。


 視界の揺れはどんどん激しくなっていき、ある時ピタリと止まった。


 気付くとリンカは別の場所にいた。


 辺りは真っ暗で下からは振動を感じる。


 リンカはここが遺体を輸送中のトラックの中だと気付いた。


 そして、リンカが居るのは遺体が入っていた箱の中。


 腐敗防止のために冷却装置が設置され、震えるほど寒い。


 すぐにここから脱出しなければ命にもかかわる。


 リンカは試しに箱を思い切り蹴ってみた。


「なんだ!? 今のは」


 すぐ傍で人の声が聞こえた。


「トラックの振動だよ。いちいち気にするなよな~」


 トラックの荷台の中には2人の警備員が居て見張っているようだ。


 リンカはもう一度蹴ってみた。


「やっぱりおかしいって! 中に何か動物が入ってるのかもしれない。開けてみよう」


「おい、やめとけって! 局長に殺されるぞ?」


 箱の僅かな隙間から男が1人近づいてくるのが分かった。


 彼は箱を覗き込み始めた。


「よく見えない……。何が入ってるのかも知らないしなあ……」


 リンカはその瞬間、拳を思い切り突き上げ、箱を割りながら男にアッパーを食らわせ気絶させた。


「な、なんだ!?」


 もう1人の男がリンカに銃を向けたが、そのままリンカはトラックの天井付いている棒に掴まり、回し蹴りを男に浴びせた。


 2人とも気絶したことを確認すると、リンカは急いでもう1つの箱を開けた。


 そこにはやはりビビエルが入っていた。


「ハァハァハァ……死ぬかと思った!! ありがとう!! リンカ!!」


 ビビエルは震えながら箱から出てきた。


 インカムからニーナの声が聞こえてきた。


「どう? うまく侵入できた?」


「だ、大失敗だよ! 死ぬところだったんだからね! 時間帯見計らって送ってよ!!」


 ビビエルはニーナに怒鳴った。


「搬送時間が分からなかったから仕方ない。リンカは大丈夫?」


「はい、一応大丈夫です」


 リンカは応えた。


 トラックはしばらく進み、リンカ達は警備員の服を奪ってその服に着替えた。


「あはは……ダボダボですね」


 リンカの着た服は全くサイズが合っていない。袖を中に折り曲げて何とかごまかした。


「リンカはやっぱりおチビさんだね」


 ビビエルはそう言いながら、巨大な銃を取り出して構えた。


 運転手が荷下ろしに来る所を襲おうという魂胆だ。


 しばらくすると、トラックは施設内に入ったようで、ピタリと動かなくなった。


 リンカとビビエルは見つめ合って頷いた。


 そして荷台の扉が開いた瞬間、2人は外に飛び出して警備員達を一瞬で倒した。そしてそのまま彼らを荷台に押し込んで扉を閉めた。


「ふぅ~。やるね~。私達、いいコンビかも」


 ビビエルはリンカとハイタッチした。


 リンカ達が降り立ったのはまさに魔術品収集管理局だった。


 上空にはドーム型にシールドが張ってあるのが肉眼でも確認できる。


 森に囲まれた広大な土地に3棟並んだレンガ造りの不気味な建物がドームの下にそびえ立つ。


 3棟はそれぞれ横につながっており、ヨの字の形に並んでいる。


「ここがそうなんですね……」


 2人は建物を見上げて息を呑む。


「よし、リンカ! 私は地下に侵入してくるから、後は頼んだよ」


 ビビエルはそう言ってリンカの肩を叩いた。


「任せてください! 絶対負けませんから!」

 

「うん、その意気だね」


 ビビエルはそのまま走ってリンカの元を離れた。


「リンカはビビエルが送電線を切るまで入り口近くで待機してて」


 インカムからニーナの声が聞こえる。


「はいっ。分かりました!」


 リンカはそう言って、建物の入り口に近づくと傍にあった木の陰に隠れた。

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