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バニラパンチ  作者: うみこん(宇宙みかんコンピューター)
第二章 学園
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第19話 ニーナ生徒会長のご挨拶をちゃんと聞けっっ!!

「何か物音がしたとかでも、なんでもいいの。何か1つでも情報があったら教えて!」


 ベッキーはグイグイリンカ達に詰め寄ってくる。


「えーと、えっと……」


 リンカが何を答えればいいかと困っていると、そこに別の少女がやって来た。


 キラキラと闇夜に煌めく美しい銀髪の少女は、突然彼女たちの間に割って入るとベッキーの眼鏡を取り上げて言った。


「メガネちゃん、かわいい新入生を困らせちゃだめでしょ~♡」


「ふ、副会長っ」


 ベッキーは慌てて副会長から眼鏡を取り返す。


「副会長?」


「あ! あなたがリンカちゃんだねー! 噂は聞いてるよー! うんうん、噂通りかわいい〜♡」


 副会長はリンカに笑顔を振りまきながら言った。


「ど、どうも」


「副会長、私は聞き込み調査中です。邪魔しないでください」


 ベッキーは不機嫌そうに言った。


「リンカちゃん達は何も見てないって言ってるでしょ? 調査はおわりおわり! いつまでもツンツンした顔してるとかわいくないよ! ほら、笑ってーー!!」


 副会長は風紀委員長のベッキーの両頬を思い切り引っ張った。


「や、やめてください! わかりましたから、もう次に行きます……」


「ばいばーい♡」


 副会長はリンカ達の元から去っていくベッキーに手を振った。


「あ、自己紹介がまだだったよね。私、生徒会副会長の森山リリィ! よろしくね〜」


「よ、よろしくおねがいします」


「リリィ、もう大丈夫。あとは私に任せて」


 遅れて到着した会長のニーナが言った。


「了解でーす! じゃ、リンカちゃんまたねー!」


 リリィという副会長は風のように去って行った。


「ミル、あなたは帰っても大丈夫。リンカは少し残って」


 ニーナは2人に言った。


「はーい。あ、でも帰る場所ないんだった」


「ミルちゃん、後で行くから私の部屋で待ってていいよ。シャワーも勝手に使って大丈夫だから。これが鍵」


「ありがと、リンカちゃん。荷物先に持って帰っておくね」


 リンカがミルに鍵と荷物を渡すとミルは寮へと向かって学園の奥へと消えて行った。


「なんでリンカ残ってるの?」


 遺体の調査をしていたビビエルがリンカの元へと戻って来た。彼女の疑問もそのはず、その場に残っていたのは現場調査をするビビエルとニーナを除けばもうリンカだけだった。


「彼女には私たちの仕事を見てもらう」


 ニーナがそう言った。


「なんで? まさかリンカをシナプスに誘う気?」


「もう誘った」


「ダメだよ! ダメ、そんなの! リンカ、まだ入るなんて言ってないよね?」


「誘われはしましたけど、まだ答えは言ってないです」


「お姉ちゃん、リンカを巻き込むのはやめて」


「彼女は良い戦力になる」


「だったら尚更危険じゃん!」


「分かってる。今日は仕事を見せるだけ。それ以上はなし」


「ほんとだね? 約束してね。リンカを無理やり巻き込んだら、私怒るから!」


 ビビエルはぷりぷり怒りながら再び遺体の近くへと戻っていった。


「シナプスに入るかどうかはあなたの意思で決めていい。強制することはない。私たちの仕事を見て危険な部分も分かってもらえればいい」


「ありがとうございます。ニーナさん」


 リンカはニーナとともに遺体を調査するビビエルの元へと近づいた。


「遺体の刺し傷に強力な魔力の反応があるね。刺し傷の周りが焼けていることからも何らかの魔術を使った可能性が高いかも」


 ビビエルが手元で携帯端末を操作しながらニーナに伝えた。


「この傷跡は以前に見たサイファー関連の殺人とは違う」


「これはソウルハンターの仕業じゃないってことだね」


「ソウルハンター?」


 リンカが聞いた。


「ソウルハンターはサイファーと共に活動する魔術師。殺した相手の魂を吸い取ってしまうことからそう呼ばれてる」


 ニーナが説明する。


「だけど今回はそいつじゃなさそうだね。サイファーに新しい仲間ができたか、どうなのか……。正直これ以上の証拠が出てくるまでは調べようがないね~」


 ビビエルもお手上げのようだ。


「明日からは犯人が分かるまではできるだけ警備員を最大限配備する。現状それしか対処の手段がない。ビビエル、遺体の回収は可能?」


「できるよ」


 ビビエルは宙に浮かぶ遺体の真下に描かれていた魔法陣に先端の尖った機械を突き刺した。そして、手元の端末で操作をすると、少女の遺体がゆっくりと地面に向かって降りてきた。


 その後、警備員が何人かがやってきて少女の遺体を担架に乗せて現場から運び出して行った。


「リンカ、もう行って大丈夫。ありがとう」


 ニーナがリンカに礼を言う。


「リンカ、気をつけてね。警備は厳重にしてあるから大丈夫だとは思うけど……」


「はいっ。ありがとうございました!」


 リンカは2人に頭を下げてその場を後にした。


 リンカは平静を装っていたが、内心はかなり動揺していた。


 今日見た少女の遺体と昔の出来事がリンクして、目に焼き付いて離れない。


 リンカはぼうっと空を見上げながら寮に帰った。


「リンカちゃん! 大丈夫だった?」


 リンカの部屋ではミルが出迎えてくれた。


 もう彼女はシャワーを浴びて寝る準備をしていたようだ。


「う、うん大丈夫」


 リンカはそう答えるだけで精一杯だった。


 リンカはそのままぼんやりした様子でベッドに腰かけた。


「シャワー浴びる……?」


「あ、うん。そうだね」


 リンカはミルに言われてシャワールームへと向かった。


 リンカはシャワー中も立ち尽くし、しばらくは頭を洗うこともせずにただシャワーに打たれた。


 シャワーを浴び終えて、リンカがシャワールームから出るとミルが何やら大きな玉を部屋の天井から吊るそうとしていた。


「それって……何?」


 リンカが聞いた。


「これはね~くす玉だよ」


「くす玉?」


「私たちの入学祝いをまだしてなかったと思ってね。くす玉を作ったんだ~。えいっ」


 ミルがそのくす玉から伸びている紐を引っ張ると、玉が割れて中から『入学おめでとう』と書かれた垂れ幕が出てきた。


 さらにそれと共に玉の中から彩とりどりの花びらや蝶が飛びだして、部屋中を包み込んだ。


「うわあっ」


 突然の出来事にリンカは驚きの声を上げた。


「安心して、これは魔法だからしばらくすると消えるよ」


「す、すごいね。これ」


 部屋中をキラキラした光が包み込んで一気に雰囲気が変わった。


 リンカの鼻先に一匹の蝶が止まり、しばらくすると光と共に消えた。


「入学おめでとう、リンカちゃん」


 いつの間にかパーティー帽子を被っていたミルが言った。


「ミルちゃんも入学おめでとう」


 そう言って笑い合うと、リンカの中にあった恐怖心がいつの間にか薄れていった。


 2人はしばらくそのままベッドに座って話をした。


 お互いのこれまでの生活や人生のこと。


 リンカはミルのことをどんどん知る度に彼女に惹かれていった。


「じゃあミルの家はもともと貴族だったんだね! すごいじゃん」


「そうだよ。だから当時から持っていた色んな魔術品と取引の伝手があるからあのお店をやってるんだ」


「すごいね!」


「でもリンカちゃんの家もすごいよ。あの木崎源十郎が居たんでしょ? やっぱりかっこいい?」


「かっこいいのかな……? もうおじいちゃんって感じだったからそれは分かんないけど。でも私にとってはかっこいいおじいちゃんだったかな」


「絶対かっこいいよ~」


 2人はそんな他愛もない話をしながら夜は次第に更けていった。


「ミル、ありがとね」


 リンカは横になりながら小さな声で彼女に礼を言った。


「ん~……? 何か言った~?」


 ミルは寝ぼけながら聞き返したが、リンカはもう既に眠りについており、返事が返ってくることはなかった。


 翌朝、制服に着替えた2人は案内のあった通りに学園中央の広場へと向かった。


 昨夜のこともあり、数多くの警備員が至る所に立って生徒たちを見ている。


「新入生の方はこちらに集まってくださ~い」


 生徒会の役員と見られる上級生が新入生の誘導をしていた。


「ミル、昨日はありがとう。私、覚悟できたよ!」


「なんだかわかんないけど、どういたしまして。なんの覚悟ができたの?」


「この学園で今日から頑張る覚悟だよ」


 広場には既に大勢の新入生達が集まっており、エリオ達の姿もそこにあった。


 人混みの先には高めの台が設置されており、その上にニーナの姿があった。


「そろそろ始める。聞いて」


 ニーナはマイクを使って言った。


「私が今年度から生徒会長として就任したニーナ・イェール。よろしく」


 新入生たちからはまばらな拍手が聞こえてきた。


「昨日悲惨な事件があったことはみんな知っていると思う。だから今日はあまり長くは話さない。私から言いたいことは1つだけ。気を付けて。まだ犯人は分かっていない。警備員の力にも限界がある。とにかく皆がそれぞれ出来るだけ気を付けてほしい。それだけ」


 広場にはざわざわと昨日の事件の事を小声で話す声が聞こえてきた。


「今日はこれから魔術試験をする。その為にみんなをいくつかのクラスに分ける。上を見て」


 彼女のいう通り皆が上を見ると、パッと光って空中に紙が現れた。


 ひらりひらりと風に揺れながらその紙は落ちてくる。


 リンカ達はジャンプしてその紙を掴み取った。


「クラス分けはその紙に書かれてる。指示に従って試験会場に向かって。私からは以上」


 ニーナは壇上を降り、再び拍手で送られた。


「私、Aクラスだよ」


 リンカが言った。


「えーっと……私もだね」


 どうやらミルもAクラスらしい。


「やった~! 同じクラスだ!!」


 リンカとミルは2人で手を挙げて喜んだ。


 そのまま2人は紙に書かれている指示通りにAクラスの試験会場のある建物へと向かった。


「おい! なんか魔術の指輪を無料で配ってるみたいだぜ!」


 会場へ向かう途中どこからかそんな声が聞こえてきた。


 その声の先を見ると、長蛇の列ができており看板には魔術品無料配布中と書かれていた。


 列の先をよく見ると、副会長のリリィが皆に指輪を配っていた。


「あ! リンカちゃーん!!」


 リリィはリンカの姿を見るなり、声を掛けてきた。


「こんにちは~。何やってるんですか?」


 リンカはリリィに近づいて聞いた。


「魔術の指輪、持ってない人のために無料で配ってるんだ~。ほら、リンカちゃんも1個どう? イチゴ柄! かわいいでしょ♡」


 リリィは大量に指輪の入った箱の中から1つ取り出してリンカに見せた。


「すみません、昨日別のものを買ってしまって……」


「いいでしょいいでしょ? 貰っておいても損はないから~」


「あ、でも並んでる人に悪いので……」


「もう、リンカちゃんは真面目だな~! まあ、そういうところがかわいいんだけどね♡」


「あはは……。じゃあ、私はこれで」


「あ~! まだ行かないで~! リンカちゃんのいけず~!!」


 リンカ達は彼女の元を去ったが、彼女は遠くで何かをずっと叫んでいた。

もりやまリリィってどっかで聞いたことあるなと思ったら完全に見取り図じゃないか

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