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バニラパンチ  作者: うみこん(宇宙みかんコンピューター)
最終章 世界
122/124

第122話 大きな顔

 巨大な顔からはさらに無数の腕が触手のように伸びてきてクリスを掴んで離さない。


「く……クソッ!!」


 アランとロンドは攻撃を続けるが何をやっても無駄だった。


「ロンド……お兄ちゃん……早く、逃げてっ……!」


 クリスは言った。


「バカ! お前を置いて逃げられるか!!」

 

 ロンドは叫ぶ。


「そうだ。こういう時はお兄ちゃんが何とかしてやる!!」


 アランは言った。


 だが次の瞬間、一筋の光がクリスの真横を駆け抜けていった。


 すると、彼女を拘束していた腕が全て一瞬で切り落とされ、彼女は無事解放された。


「大丈夫か!?」


 落ちてきたクリスをキャッチしたロンドは言った。


「うん、大丈夫……。ありがとう」


 クリスは言った。


 彼らは巨大な顔を見上げると、それを覆う巨大なシールドが張られているのが見えた。


「みなさん、大丈夫ですか?」


 そのシールドはリンカが出したものだった。


 リンカは彼らの元へと飛んできてそう聞いた。


「あ……ああ」


 アランは複雑そうに頷いた。


 彼が魔術を教えたときのリンカはもうそこには居なかった。

 

 彼はそれを少し寂しく思った。


「急いで船に向かってくださいね」


 リンカはそう言うと巨大な顔を押し込みながら上空に飛び立っていった。


 彼女はアンナ目掛けて両手を突き出すと、エネルギー波を放った。


 アンナはその攻撃にうめき声を上げながらのけぞった。


 だがすぐにその大きな口を開け、そこから強力な暗黒エネルギーをリンカに向かって放つ。


 それでもリンカは片手で出したシールドで簡単に弾き返してしまう。


「リンカ……すごい……」


 クリスは呟いた。


「感心してる場合か! 早く行くぞ!」


 クリスはロンドに手を引かれ、アランと共に船へと向かった。


 全員無事に船までたどり着き、ようやく船内に入ることができた。


「誰も居ない……」


 彼らがたどり着いた時にはもう船内に誰一人残っていなかった。


 大勢乗っていた人々はこの騒ぎで既に逃げたか、それとも全員ゼロに食われたか……。

 

 彼らはあえてその事は考えないよう、それ以上は何も言わなかった。


 ゼロが現れた時点で、皆薄々感づいていたのかもしれない。


「ピッカー! シールドを起動しろ!」


 ロンドは沈黙をかき消すように叫んだ。


「了解!!」

 

 ピッカーはロンドに言われた通り船のシールドを起動させた。


 甲高い音と共に船を包み込むように光のベールが出現し、周りにいた敵を一気に押しのけた。


 操縦室に居たピッカーはそのまま船を浮上させようとしたが、なかなか船は動かなかった。


「ろ、ロンドさん!! エンジンが起動しません!!」


「お前が派手に壊したせいだぞ!! 責任とってよ!!」


 フォックスはハヤトに言った。


「ご、ごめんなさい」


 ハヤトは謝ったが、横からクリスが出てきて言った。


「問題ないよ。私が直すから」


 彼女はそう言ってエンジンルームへと向かって行った。


 一方、ニーナは船の周りに貼られているシールドをじっと見つめていた。


「どうした、ニーナ?」


 アランがニーナに近寄って聞いた。


「何かおかしい。こんなに表面が波打っているのは変」


 彼女の言う通り、シールドの表面の一部が時々波打っているように見えた。


 シールドの周りは既にゼロの大群に囲まれ、彼らは中に入ろうと必死に爪を立ててシールドを引っかき、噛みついていた。


「もう少し離れるんだ」


 アランはニーナの腕を引き、彼女をシールドから離した。


 シールドに飛びかかってくる大群を見て、アランも何か嫌な予感がしていた。


 その時、彼女たちの後ろで銃声が聞こえた。


「中に敵が入ってきてる!!」


 ミルはそう言いながらシールドの中に入ってきた1匹のゼロに向かって銃を撃っていた。


「クソッ!!」


 アランは自分の腕を熊の腕に変えると、そのままゼロを掴んでシールドの外へと放り投げた。


「どうして入ってこられるんだ! インフィニティシールドは絶対のはずだろう?」


 アランは叫んだ。


 ニーナはしばらくシールドを観察していると、所々シールドが消えて一瞬だけ穴が開く箇所があるのが分かった。


「シールドに不具合がある。みんな気を付けて」


 ニーナが言った。


 すると彼女の危惧していた通り、所々でゼロが中に入って来るようになった。


 彼らは侵入してきたゼロをすぐさま攻撃して倒す。


「ロンドさん!! 大丈夫ですか!!」


 船の中から外へ顔を出したピッカーが言った。


「いいからお前達は修理を続けろ!! こっちはこっちでなんとかする!!」


「わ……わかりました!」


 ピッカーは慌てて中に戻った。


 ロンド、アルル、ルアル、ニーナ、アラン、ミルはゼロの退治にあたり、ピッカー、トラップ、クリス、フォックスの4人は船の修理を続けた。


 シールドは時間が経つにつれてエネルギーが弱まっていき、穴が開く場所も頻度も増えていった。


 そこからゼロはどんどんと中へ侵入して来た。


「クリス……頼んだぞ……!!」


 ロンドはそう呟きながら侵入してきたゼロをロッドで突き飛ばす。


 これ以上侵入が増えれば対処しきれなくなり、船ごと飲み込まれてしまう。


 クリス達は早急にシールドを復旧させる必要があった。


「エンジンが動かない原因が分かったよ」


 クリスがピッカー達に言った。


「何だ? 教えてくれ!」


 ピッカーが聞いた。


「この船のエンジンを起爆させるエネルギー噴射機構がダメになってた。これがないとエンジンは起動しない。起爆用の燃料には特殊なものが必要なんだけど、タンクが壊れてその燃料がどこかに流れていってしまってるの。何か強いエネルギーを発生させるものがあればいいんだけど……」


「そんなのないよ!! 火でも炊く?」


 フォックスが言う。

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