第121話 ゼロからの逃走
残された彼らは怪我人に肩を貸しながら必死に船へ向かって歩いていく。
ニーナは赤ん坊になったサイファーを抱え上げて船へと向かった。
だがゼロの大群は消えたわけではなかった。
リンカが居なくなると、彼らを食べようとゼロの群れが襲ってきた。
「くそっ!! まだこんなにいやがったのか!!」
彼らは必死に攻撃をしながら進んでいく。
だが際限なく湧いて出てくる大群は倒しても倒してもキリがない。
ニーナやミルは銃を撃ち続け、ハヤトはナイフで敵を切り裂く。
アルルとルアルはクナイを括りつけたロープを振りまわして敵を攻撃した。
だが敵の猛攻は止まらなかった。
「もういい加減にしてくれよ~!!」
彼らの倒すスピードよりも敵の増える速度の方が速く、あっと言う間に彼らは囲まれてしまう。
それでも必死に敵を倒して道を作りながら彼らは進んだ。
「敵が増えてきたぞ。みんな気をつけろ!」
アランがそう叫ぶ。
すると突然ゼロの群れの中の1匹が高くジャンプした。
その1匹は瓦礫の山を飛び越えるとそのまま上空から彼らに向かって襲い掛かってきた。
そしてそいつはフォックスの肩の上に乗り、彼の背中や頭を鋭い爪で掴んだ。
「ぎゃあああああああああっ!!!!」
フォックスは叫びながら振り下ろそうと動き回るが、強く捕まれているせいで全く離れれる気配はない。
「フォックス!! 今助ける!!!!」
ピッカーはそう言って銃をフォックスに向けた。
「バカ!! 俺を殺す気か!! メープルもいるんだぞ!!」
フォックスは叫んだ。
フォックスの肩に乗っていた狐のメープルはゼロに噛みついて攻撃しようとするが、腕で振り払われてしまった。
するとそのゼロはよだれを垂らしながら大きな口を開け、甲高い鳴き声を響かせた。
「し……しぬっ!!」
フォックスはそう思って目を閉じた。
だが、しばらくたっても噛みつかれた感覚はなかった。
彼は恐る恐る目を開けると、彼の背中の上に乗っていた一匹だけでなく、あれだけ居たゼロが一斉に引き返して周りから居なくなっていた。
「ど、どうだ!! 見たか!! あいつらは俺の強さに恐れをなして逃げていったんだ!!」
フォックスは皆に向かって言った。
「バ……バカ!!!! そうじゃない!!!! 走れ!! フォックス!!!!」
ピッカーが叫んだが、ロンドは彼の言っていることが分からなかった。
「バカってなんだ!! 言い直せ!! バカはやめて!!」
フォックスはピッカーに言ったが、ピッカーはただ走れと叫び続けた。
何が起きているのか分からないフォックスはしばらくその場に立ち止まって動かなかった。
「バカを訂正したらそっちまで行ってやる!」
フォックスは言った。
だがその時、突然彼の周りに巨大な影が広がった。
明らかに自分の影ではない。
そのおかげで彼は自分の後ろに何かが居ることに気づいた。
「ま……まさか……」
フォックスは恐る恐る振り返る。
彼の目の前にはゼロの巨大な顔が浮かんでいたのだ。
「ぎゃあああああああああああああああ!!!!」
フォックスは再び叫んで走り始めた。
その巨大な顔は彼ら目掛けて地上へと降りてくる。
フォックスに巻き込まれるような形で他の仲間たちも走って逃げた。
「お前が連れてきたんだから、責任持てよ!!」
ピッカーがフォックスに言った。
「バカ!! あんな巨大な顔は俺の手には負えません!!」
巨大な顔はついに地面まで降りてくると、大きな口を開けて地面を抉りながら彼らを追いかけてきた。
「あいつ、僕たちを食べる気だよ!!!! 生で!!!!」
ルアルが叫んだ。
「ニーナ!! 何か打開策はないのか!!」
ロンドは言った。
「あれは無理。逃げるしかない」
そう言って皆は走り続けたが、突然クリスが転んでしまった。
「クリス!!!!」
ロンドとアランが同時に叫ぶ。
クリスは地面に腰を突いたまま後ろを振り返ると、目の前にその巨大な顔があった。
「クリス……。お前を殺すのは惜しいが、あたしの計画を遂行するためだ。死んでもらう!!」
そんなアンナの声が聞こえてきたかと思うと、巨大な顔は口を開けたままクリスに向かって一直線に飛んできた。
ロンドとアランはお互いに顔を見合わせると、クリスの元へと向かって走り出した。
ロンドは長い棒を持ち、アランは背中から熊を召喚した。
「おいアラン!! またお前、捨て身攻撃しようとしてるだろ!!!! これは俺の体でもあるんだからな!! やめろよ!? なあ!! ホントに!!!! やめてくれえええええ!!!!」
アランの背中から出てきた熊がそんなことを叫ぶがアランは構わず巨大なゼロの顔に向かって突っ込んでいく。
「クリス、今助けるからな!!」
ロンドはその巨大な顔に向かって棒を思い切り投げる。
「クリスは僕が助ける!!」
アランはそう言って手を突き出すと、暗黒エネルギーをゼロの顔に目掛けて放った。
だが2人の攻撃は全く通用しなかった。
クリスは立ち上がって逃げようとするが、ゼロの顔から腕が伸びてきて掴まれてしまう。
「うわあっ!!!!」
突然掴まれたクリスは叫んだ。
「クリス!!!!」
アランとロンドは叫ぶ。




