表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バニラパンチ  作者: うみこん(宇宙みかんコンピューター)
最終章 世界
112/124

第112話 みんなの為に

「なんで、なんで! 私はあいつに勝てないの……!!」


 リンカは悔しさで地面を殴る。


「リンカ。落ち着くんだ」


 彼女の心の中から聞こえてくる祖父の声がリンカをなだめる。


「でもおじいちゃん! 私は……!!」


「大切な人を失うことの辛さは分かる。だがな、失ったものはもう取り戻せない。分かるな?」


 リンカが顔を上げると、そこにはぼんやりと祖父の姿が見えた。


 リンカははっと息を呑んでしばらく彼の姿を見つめたが、再び下を向いて口を開いた。


「それでも私は彼を許せないよ……。私の大切な人たちを次々と……」


「リンカ、悔しいか? それでもお前は使命を忘れてはならん。失った人間より今いる仲間の事を考えろ。お前の後ろに大事な仲間がいるだろう。彼らを見てみろ。お前が守らなきゃ、誰が彼らを守るんだ?」


 祖父はリンカの後ろを指さした。


 リンカは彼の指さす方を向いた。


 ボロボロになった仲間たちが、必死に立ち上がってリンカを助けようとしていた。


「みんな……」


「リンカさん!」


 ハヤトが近寄ってきてリンカに手を差し伸べる。


 彼女はハヤトの手を取って立ち上がった。


 そして、ハヤトはリンカに抱き着いた。


「彼と戦ってるのはリンカさんだけじゃないです。1人で背負わないでください。僕たちもいます」


 彼はそう言って何かを取り出した。


「それは……」


 ハヤトはリンカと皆に取り出したものを見せた。


「それはまさか、魔剣アヴァリティア……」


 アランが言った。


 ハヤトが持っていたのは彼の兄が残した魔剣だった。


 触れた者の魔力を吸収し、強くなっていく剣だ。


「リンカさん、出来るだけ時間を稼いでください。僕たちがこの剣に魔力を溜めます。大丈夫です。絶対に勝てます。リンカさんは最強ですからっ!」


 ハヤトはリンカに微笑みかけた。


 リンカはそんな彼をしばらく黙って見つめていた。


 たった半年間会っていないだけだったはずが、その時リンカにはハヤトが前よりもずっと大人に見えた。


「うん……分かったっ!! 私やるよ!!」


 リンカは頷くと、再びサイファーの方を向いた。


 そこにはもう祖父は居なかったが、リンカはニコリと笑って言った。


「ありがとう、おじいちゃん」


 そして彼女はサイファーの方へ向かって走り出した。


「また俺に殴られに来たのか? 木崎リンカ」


 サイファーは言った。


「いいえ。私はもうあなたには負けません。負けられない理由をおじいちゃんが思い出させてくれました」


 リンカはそう言って拳を握る。


「私はみんなの為に戦います。それに……みんなも私と一緒に戦ってくれてます。だから……」


 彼女は右足を引いて構えた。


「あなたをぶっとばします!!」


 彼女は目を閉じ、ふうっと深く息を吸った。


 息を吸いながらゆっくりと拳を引いた。


 そして次の瞬間、目を見開いて一気に拳を前に突き出した。


 その拳は風を切り裂き、途轍もない衝撃波をサイファーに向かって放った。


「うあっ!!」


 その強力な衝撃波はサイファーを襲った。

 

 サイファーは両手をクロスさせて衝撃を必死に耐えた。


 だが、衝撃波はあまりに強力でサイファーを体ごとじわりじわりと押し込んでいく。


「くっ……くそっ!!!!」


 そしてサイファーは結局衝撃に耐えられず、そのまま吹き飛ばされてしまった。


「うああああっ!!」


 彼は再び地面に倒れる。


「焔流、爆撃烈波…………です」


 リンカは足を引いて構えを解くと呟いた。


「くッ……調子に乗るなよ、木崎リンカ!! 全てのオーブを手にした俺に勝てる人間などいないっ!! そんな人間が居ていいはずがないんだァ!!」


 彼はそう叫んでリンカに向かって再びエネルギーを放った。


 だがそれをリンカは飛び上がって避ける。


「なにっ!?」


「残念だけど、私達ならあなたに勝てます!!」


 リンカはそう叫びながら空中で回転するとそのままサイファーを踵で蹴り落とした。


「ぐはッッッッ!!」


 サイファーはうめき声を上げながら地面に倒れる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ