第109話 マフラー男の正体
そして彼はもう一度ニーナに近づくと彼女を掴み上げ、地上に落ちた巨大な船に向かって言った。
「聞こえるか、反逆者共! 今ここで俺は、ニーナ・イェールを処刑する。お前達にもう希望はない……。まあ、大人しく俺の所に来て従えば生きられるチャンスをやってもいい」
彼の声は瓦礫だらけの広い街に響き渡る。
だが船からは特に返事はない。
中で何が起きているのかと皆が心配する中、突然船の方から音がした。
「どうやら彼らも俺に応える気になったようだな。ま、強い力には結局逆らえないってわけだ……」
そして今度は稲妻が弾けるような音がした。
さらにそれと同時に今まで船を守っていたシールドがみるみる剥がれ落ちていった。
「ど、どうなってるんだ!? インフィニティ―シールドが……」
ロンドはその様子を見ながら言った。
「誰か出てくる」
双眼鏡で様子を見ていたトラップが言った。
彼の言う通り、船の扉が開くと1人の男が出てきてこちらへと歩いてくるのが見えた。
マフラーを巻いた男だ。
「お前は……」
サイファーはその男を知っているようだった。
ニーナはサイファーに掴まれたまま、ぼんやりとする視界の中で男の姿を確認した。
そして男はマフラーを取り、その素顔を見せた。
その時ニーナは呟いた。
「ま……丸地ハヤト!!」
その正体はリンカの弟として彼女と共に暮らしていたハヤトだった。
「リンカの弟か?」
アランが呟き、ニーナは頷く。
リンカの弟が突然登場したことに驚いた皆であったが、彼の背後、船の入り口付近に立っていた者の姿を見てさらに驚いた。
そこには青白いオーラを放つ木崎リンカの姿があった。
昏睡状態だったはずの彼女は力強く歩みを進めてこちらへと近づいてくる。
「り、リンカ!?」
皆は驚きの声を挙げた。
リンカはそのまま足を進め、サイファーを指差して言った。
「ニーナさんを離してください」
だがサイファー自身も驚いており、そのまま唖然と彼女を見つめていた。
「な、何故お前が生きているんだ!! お前は確実に俺がこの手で殺したはずだぞ!!!!」
「ニーナさんを早く離せ!!!! サイファー!!!!」
リンカはそう叫んで、空中に向かって回し蹴りをした。
その蹴りはあまりに強力で、突風を巻き起こすとサイファーを吹き飛ばしてしまった。
そのおかげでニーナはサイファーから解放された。
走ってきたリンカは傷ついたニーナを抱え上げる。
「ニーナさん、大丈夫ですか?」
「あ、ありがとう。でも、どうして……」
「詳しくは後で話します! 今は、彼を倒さなきゃ」
リンカはそう言って飛んでいったサイファーの方を見た。
「貴様……また俺に殺されに来たのか? 懲りないやつだ」
サイファーは立ち上がって言った。
「倒されるのはあなたです。あなたはビビエルさんも、エリオちゃんも……私のおじいちゃんも殺した……。私はあなたを絶対に許しません!!」
リンカはそう言ってサイファー向かって拳を突き出す。
「ふんっ。オーブすら持っていないお前に何ができるって言うんだ」
「何だってできます。おじいちゃんと一緒なら」
そう言った彼女の目は一瞬だけ青白く光った。
「ふざけるなァ!!!! 待ってろ、今すぐぶっ殺してやる!!!!」
サイファーはそう言ってリンカに飛びかかる。
だがリンカは彼の攻撃を片手で受け止めるとそのまま彼の腹を殴った。
「ぐはあっ!!!!」
そして彼女は飛び上がってサイファーに回し蹴りを浴びせる。
サイファーは再び突き飛ばされて瓦礫の中に突っ込んだ。
「サイファー、今の私は無敵です!!」
リンカはそう叫んで飛んでいったサイファーの方へ向かって走っていった。
「ど、どうなってるんだ……」
アランが呟くと遅れて船から出てきたミルが言った。
「ハヤト君が助けてくれたんだよ~」
彼女はそう言ってハヤトの肩に手を乗せた。
投稿めちゃ遅くなりました……。




