第102話 戦えニーナ! アルル!
ダンダンダンダン。
階段を駆け下りるような音が聞こえる。
そして……。
ガチャリと扉が開き、中から海賊団が出てきた。
ロンド、ピッカー、フォックス、トラップ、そしてクリス。
全員揃って彼らは顔を見合わせた。
「だ、大丈夫だよな? 俺達、アンナに乗っ取られてないよな……?」
フォックスが言った。
全員それぞれ頷いた。
「やった……。やった!! アンナに勝った!!」
クリスは思わず飛び上がって喜んだ。
「ああ。俺も嬉しいが、喜ぶのはまだ早い。この力を使ってサイファーを倒すまではな」
ロンドは自分たちの体から放たれる白い光の輝きを見ながら言った。
「そ、そうだね」
そんな話をしていると、ニーナから連絡が入った。
「やっとつながった! みんな無事?」
ニーナは慌てた様子で聞いてきた。
「ああ、安心しろ。全員無事だ。それにアンナの力も手に入れた」
「よかった。こっちは大変。セントラルの残りの住民が隠れていた最後の居住地が敵に見つかって今襲われてる。だからもう船は引き上げてしまってあなた達を迎えに行く余裕がない」
「なんだって!? こんな不気味な森で一晩過ごせって言うのか!?」
フォックスが叫んだ。
「大丈夫。私達もいまから現場に向かう」
クリスが言った。
「分かった。気を付けて」
ニーナはそう言ってそのまま通信を切った。
「おいおい! 向かうって言ったってどうやって!? 走って向かうのか!? 何時間かかるか分かんないぞ!?」
フォックスがぼやいた。
「大丈夫。これがある」
クリスは小さなディスクを地面に投げると、そのディスクから光が放たれた。
その光はホログラム映像のようにバイクの形になったかと思うと、さらにその光が色づいていき本当にバイクに変わった。
「ま、魔法使いだ!!」
「いいや。これは科学の力。科学は時には魔術よりも便利なんだから」
「しかしたまげたなあ……」
クリスはさらに2枚のディスクを取り出して2台のバイクを生成した。
「それぞれ定員は2人まで。ロンドは1人で、ピッカーとトラップはそのバイク。フォックスは私の後ろに乗って」
クリスが言った。
「了解!」
「ちょ、ちょっと待て待て! なんで俺がクリスの後ろなんだ! こんな子供の運転、危ないに決まってるだろ!! 大体お前免許持ってるのか!?」
フォックスは叫ぶ。
「この状況でそんな事言ってる場合? それに、どうせあんたは運転できないでしょ?」
そう言いながらクリスはバイクにまたがった。
「確かにそうだぞ! 俺は運転が出来ない! もちろん免許だって持ってないさ!!」
フォックスはそう言ってクリスの後ろに乗った。
「よし。じゃあ出発!」
そうして彼らは襲われたセントラルの居住区に向かって走り出した。
◇
一方、上空の船内に居たニーナ達は慌ただしく動いていた。
すでに居住区付近に到着していた船内では、皆武器を準備して次々と地上へ降り立っていった。
「ミル。居住区の人たちを逃がしたら船の中に入るだけ送り込む。あなたはその先導をお願い」
ニーナはミルに言った。
「うん。分かった~! 任せて~」
ミルはそう言って転送装置の操作パネルの前に座った。
「じゃあ、アルル。準備は良い?」
ニーナがアルルに聞くと彼女は頷いた。
「ミル、お願い」
ニーナがそう言うと、ミルは装置を操作しニーナ達の転送を行った。
「じゃあ、いってらっしゃい」
そしてニーナ達は地上に降り立った。
地上は酷い有様だった。
立ち並ぶ家からは火の手が上がり、逃げ惑う住民たちによる悲鳴が辺りに響き渡っていた。
住民たちは男も女も大人も子供も関係なく、サイファーの手下達に捕まり暴力を振るわれていた。
そんな彼らの元にニーナ率いる救出部隊が駆け付ける。
クリスの用意した最新型の兵器によって戦況は一気に逆転。
救出部隊は敵に光線銃を打ち込むと、敵は次第に引き上げ始めた。
そして住民たちを順調に船へと逃がすことに成功する。
ニーナ自身も両手に拳銃を持ち、敵を次々撃ち倒していった。
「あんな小娘1人になにやってるんだ!! お前ら突っ込め~!!!!」
「うおおおおおおおおおお!!!!」
敵の隊長の指示によって何十人もの男たちがニーナの元へと突っ込んで来る。
彼らは走りながらニーナに向かって一斉に発砲してきた。
「こっちもそろそろ本気を出す」
ニーナはそう呟いてベルトに手を掛けた。
「アクティベート……」
彼女はそう呟くと一瞬だけ体の周りに電撃が放たれ、そのまま姿が見えなくなった。
敵が撃った銃弾は全てただの壁に当たり、彼らは動揺した。
「ど、どこに行ったんだあいつは!!」
彼らは辺りを見回すがニーナの様子はどこにも見当たらない。
すると突然1人の男が腹を抑えながら吹き飛んだ。
「うあっ!!!!」
「な、なんだ!?」
男の元居た場所を見るとそこにはニーナが立っていた。
「私のスピードには着いてこれない」
彼女はそう呟くと再び姿を消し、男たちを一人、また一人と倒していった。
「や、やばい!! 逃げろ~!!!!」
逃げ惑う彼らだったがニーナから逃げられるはずもなく、彼女の電撃を纏った攻撃によって次々と倒されていった。
ニーナが全員を倒したところで敵の隊長が叫んだ。
「こ、こちら全滅!! 至急応援を頼む!!」
ニーナはその隊長の元にも一瞬で近づき、電撃によって気絶させた。
「作戦は順調。だけど敵の数が多い。応援も呼ばれてしまった。このままだと押し返されかねない」
ニーナは仲間にそう呼びかける。
「大丈夫! 私に任せて!!」
アルルはそう言って敵の集まっている場所に向かって走り始めた。
そして指を組んで叫んだ。
「忍法、分身の術!!」
その叫びと共に彼女は何十人もの分身を作った。
「な、なんだ!?」
同じ顔をした何十人もの敵が突然現れたことで、サイファー側の軍団は恐れおののき退却していく。
そんな彼らの元にアルルの分身たちは突っ込んでいった。
彼女達はロープで首を絞め、クナイで切り裂き、手裏剣を飛ばし、敵をなぎ倒していった。
「アルル、やりすぎ」
そんなニーナの声も彼女には届かず、アルルはどんどん敵を倒していく。
「ルアルの……敵!! あなた達全員、ぶっ飛ばす!!!!」




