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第一話:追い出された肉塊

夢に出てきたシナリオがとても印象に残ったので、それに沿ったストーリーを書かざるを得ませんでした。


文章力が圧倒的に足りない作者ですがどうぞ皆さん最後までよろしく。

 つい先ほど、両親が死んだ。にもかかわらず葬儀にも出なかった俺は、ついに兄弟たちから勘当を食らって家を追い出されてしまった。


 「へへ、これが自業自得ってやつか・・・糞ッ!!」


 家を追い出した兄弟や、それに対して何もできなかった自分に怒り、道端のアスファルトのかけらを蹴った。だが、三十年間引きこもり生活をしていたせいで体力はなく、小石は宙を舞うことなく数メートル転がるだけだった。


 「しかも、天気予報は午後から雷雨だったっけ・・・あーあ。」


 ため息をついてもしょうがないと思った俺は、雨をしのげる場所を探した。


 宿泊先にネットカフェが真っ先に浮かんだが、俺の住んでいる場所はコンビニ一件すらないド田舎。ネットカフェなんて、バスで一時間かかる駅にしかない上に肝心のバスは歩いて十五分の所にあり土休日は運休と来た。しかも、運の悪いことに今日は土曜日だ。


 「本数増やしとけよ・・・っつーかなんでみんな乗ろうとしねーんだよ。バス使えよ!・・・まあ、俺は引きこもりだったからそもそも乗らねーけど。」


 タクシー・・・はダメか。連絡しようにも、さっき兄弟たちに携帯取り上げられたんだっけ。


 それでも、待てばいいと思った俺は、唯一持ち出してもいいと言われた財布の中身を確認した。


 「しょっぱ。」


 千円札一枚と小銭数枚しか入っていなかった。よって、ネットカフェはパスだ。近いところと言えば・・・。


 「あそこしかないか・・・。」


 小高い丘の上に立つ巨大廃墟、かつて自分が通っていた小学校だった建物だ。ここから、歩いて十分ほどのところにある。俺の足でも午前中にはつくだろう。


 「だけどねー。」


 行きたくない理由は、単に山登りがきつい、虫がキライ、熊が怖いなどがあるがその憂いを取り除いたとしてもできれば行きたくなかった。なぜなら・・・。


 「あそこ・・・出るんだよな。」


 そう、心霊スポットだったのだ。しかも、地域ではない全国的にも有名で行こうと思っただけで呪われる屈指の曰く付きの建物なのだ。


事実、そこに行こうとしただけで、道中で落雷に会い死亡したり、バカップルがどこかで手に入れたあぶく銭で、様々なお祓いを済ませたうえで動画撮影のために凸したときなんかは、霊の怒りに触れたのかそれ以降全く動画を更新しなくなり、一年半が過ぎた今でも行方が分かっていない。


ネタだろうと思って、その動画配信者の家に凸したあほ丸出しの小学生集団が突然配信中に何者かに襲われ、数日後にその家の近くで変死体となって発見された。


哀れなガキどもは、全員素っ裸で謎の文字を体にキリのような物で掘られた状態で見るも無残な姿だったという。


そしてこの一連の事件は、調査しようとした警察やマスコミの関係者、ネット民たちがこぞって錯乱したうえで全員死亡して迷宮入り、お蔵入りになっている。


そんな場所に、俺は今から雨をしのいでもらいに行くのだ。


 「はたから見たらかなりやべー奴だよな俺・・・。」


 だが、俺にはもう何もない。このまま死んで異世界転生したいとさえ思っていた。


 「ま、失うものは何もねーし。俺の母校ってことで幽霊も許してくれるでしょ。」


 謎の根拠を胸に俺は、実に四十年ぶりに小学校の通学路を歩いた。


 しばらく歩くと、古ぼけた看板が見えてきた。


 「この先小学校アリ、児童は必ずクマよけの鈴をつけること。フッ、この看板は昔と変わんねーな。」


 いかにも昭和チックなフォントで描かれたそれは、長い間雨風にさらされて俺が通っていたころよりずいぶんとくたびれていた。


 なぜ熊?と思うが、この小高い丘には今の日本には数少ない雑木林が生い茂っていて、その丘の後ろの方は熊が出る雑木林につながっているのだ。


ちなみに熊の絵が描かれているのだが、その熊は100ナントカの森に出てくる熊にそっくりで、それが小学一年生の男女を襲おうとしていた。


 「改めてみても、これよく訴えられなかったな・・・。」


 そして、当たり前だがこの小学校在籍時代にはなかったものがある。


 慰霊碑と有刺鉄線だ。慰霊碑には昭和52年建立と書かれていた。


 慰霊碑はそのままだが、有刺鉄線は穴が開いていて恐らくバカップルがあけた穴だろう。


 だが、ここにきて違和感を覚えた。


 「・・・ん?そう言えば、家を追い出されたこと以外不幸は起きてない。」


 これ以上呪っても意味がないと思ったのか、それともただの気まぐれなのか知らないが俺の体は今のところデブというところ以外悪いところはない。


 「むしろ順調すぎて怖いくらいだ。」

 

 そうつぶやきながら、俺は有刺鉄線の金網の穴を何とか潜り抜けて山道をひたすら上った。


 「ぜえ、ぜえ・・・。」


 久々に歩く山道にすぐにばててしまった。


 その時、冷たい風が吹いた。空を見上げると、遠くに見えていた積乱雲がすぐそこまで来ていた。遠くでも雷鳴がとどろいていたので、そろそろ走っていかないとやばいと思った。


 呼吸を整えていざ行こうとしたその時、冷たい風が急に生暖かい風になりかすかに女の声が聞こえた。


 「カエレ・・・オウチヘカエレ~。」


 いや、声質的に女の子の声だと俺のロリコンセンサーが反応した。勇気を振り絞って俺は声の主に声をかけた。


 「こ、こきょのぅ・・・。」


 噛んだ!あまりしゃべることはなかったから思いっきり噛んでしまった。


 舌がビリビリする!これがのろいかッ!!


 「アホクサ。」


 「やかましい!!」


 「ア゛?」


 あ、やべ・・・怒らせちゃった。ぴえん・・・。


「・・・じゃなくて、俺は帰る家がないんです!もし、あなたがこの先にある小学校の幽霊だったら、しばらくどこかの部屋を貸してほしい!お願い!!」


「・・・ワカッタ。少しだけだゾ。」


嫌に親切な幽霊だな。まあ、雨風をしのげるならどこだっていいや。


こうして俺は、廃校となった母校にたどり着いたわけだが・・・。


 グラウンドには草が生えまくり、時計は文字盤が欠けていたり長針が飛び出ていたりした。


学校のガラスもところどころ破壊されて、中には台風の時なのか比較的大きな木の枝がぶっ刺さっているところもあった。


壁には、あちこちにスプレーでいたずら書きがされていて、俺が通っていたころとは似ても似つかないような状態になっていた。


「ざまあみろ・・・。」


俺は、こうつぶやくのには理由がある。そう、昔っから肥満体型のせいでいじめられていたのだ。


しかも体育の時は特にひどく、まだ体罰が公に叩かれる前だったので、先生も日ごろのうっ憤を晴らすかのごとくいじめっ子たちと一緒になって、のろまで愚図な俺をボコボコになるまで叩いた。あの時だけは、毎回死を覚悟したものだ。それで勇気を出して担任の先生に言ったら、『男なんだからそれくらい我慢しろ!何なら殴り返せばいい。』と言われた。


しかも、それだけじゃない。そのせいで、翌日から体育の先生といじめっ子たちの俺への集中攻撃が始まった。小学校時代は、楽しい思い出なんかこれっぽっちもない。だから、俺はこの学校そのものを恨んでいた。


いや、あったな一つだけ・・・。


回想をしているとゴロゴロと雷がまた鳴り出した。


「近いな、これはやばい。」


 俺は、ダッシュで開きっぱなしの扉から建物内に侵入した。


 すると突然、扉がバタンとしまってその直後に雷が校庭に落ちた。


 「ケケケケケケ・・・ヒッカカッタナバ美肉オジサンメ!私はこの学校一の怨霊なのさ!モウ、ココカラデラレナイ!モウ、ココカラニガサナイ!」


 「誰がバ美肉だ!バーチャルとかやってねえし!俺、失うものは何もないし~!死ぬ覚悟できてたからいいもんね~!さあ、俺を殺せよ!呪い殺して異世界に連れってくれよ~!!!」


 「・・・ジブンデイッテテハズカシクナイノ?」


 半泣きになるほど恥ずかしいですハイ。


 「あ、忘れてた。俺、そう言えば幽霊苦手なんだった・・・。」


 「・・・・。」


 「だずげでー!ナシ!今のは無効!ノーカン!ノーカン!!」


 だが、すでに少女はケケケケと不気味に笑うだけで聞く耳を持たない。


 そして、電気が通っていないはずの廊下の白熱蛍光灯がチカチカと点滅し始めた


旭日の惑星は、七月中には次話投稿をするつもりですので気長にお待ちください!


その前に出たらラッキーということで・・・楽しみにしている方は本当に申し訳ありません。

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