小話 隠者 終わった噺と救われた世界と嫌われた者
「あっアリスタ、帰ってたのか。」
僕の住んでいる屋敷で散歩していると、隠者のアリスタと死のシャドウが帰ってきた。シャドウは普段アリスタの影に潜んでいるから二人はほぼ常に一緒にいる。
「ああ、仕事を終わらせてな。それで最後の戦いで力を使いすぎて戻れなくなったから休養しに来た。」
「確かに左目の白目が黒く染まってるね。アリスタは目が赤いからかなり怖いことになってるよ。」
「お前それ、絶対からかってるだろ。」
「そういえば愚者の住んでる世界では今ハロウィンといって仮想してお出かけする行事をやってるらしいよ。」
「……もうこの時刻には終わってるだろ。」
「んー……。多分そうだね。」
「それでリーム、部屋を一つ貸してくれないか。今自身に封印をかけて人の姿を保っているんだ。その封印を解いて戻る間そこに住まわせて貰いたい。可能な限り頑丈な部屋にしてくれ。」
「いいよ。この世界なら要望どうりの部屋が用意出来るから。その間応接間でお茶でも飲んで待ってなよ。用意できたらメイド長に案内させるから。」
「助かる。ありがとな月のリーム。」