天国?
もう何書いてるのか自分でも分からないです(笑)
「幼女と付き合ったりしたいなぁ」
そう呟くのは倉木 涼、二十二歳。
凉は自室のベッドに寝転がり独りごちる。
少々溜め息混じりのその声は酷く哀愁を放っている。
高校を卒業して、就職し会社に勤める日々は退屈なものだった。
高校にも会社にも綺麗な女の子や可愛い女の子は居たのだが、涼はまったく興味が湧かなかった。
自分がいつからこうなってしまったのか、はっきりと覚えてはいない。
幼い女の子を見ると他の女の子では感じない気持ちになるのだ。
簡潔に言おう。
彼はロリコンなのだ。
涼はベッドから起き上がりデスクの上にあるパソコンの電源を入れる。
気分は乗らないがやらなければならない仕事がある為、渋々作業する。
一時間程作業をし少し休憩をとることにした。
いつものようたインターネットで幼女と打ち込み検索をかける。
「可愛いなぁ……頭とか撫でたいなぁ……」
叶わぬ夢を口にする。
「何だこれ?」
そんな涼の目にとあるページへの広告が留まった。
「幼女と楽しい生活?」
自分の夢を表しているかのようなその言葉に惹かれてサイトへのリンクをクリックした。
その瞬間、彼のパソコンの画面が強く光を放ち、涼の身体を包み込んだ。
「何だ!?」
涼はそのままパソコンの画面に吸い込まれた。
***
「もしもーし。おーい。もっしもーし」
「ん……何だ……?」
涼は聞き覚えのない声に気付き目を覚ました。
「おっ、気がついた?」
目を開けると自分の顔を覗き込むようにして見ている少女がいた。
驚いて飛び起きると、その拍子に自分の顔を覗き込んでいた少女と額と額をぶつけてしまった。
「ぐっ……痛っ……」
涼は額を押さえて痛みを堪える。
「急に起きないでよぉ……痛いじゃん」
少女は涼に向かって文句を言う。
「急にって……目の前に知らない人が居たら普通そうなるだろ! っていうか誰だよ!」
涼が額を押さえながら声の主に対して怒鳴る。
しかし、少女の姿を見るやドキッとしてしまう。
「そっちこそ誰なの? 散歩してたら人が倒れてたから、わたしが起こしてあげようと声をかけてあげたのに」
少しだけ不貞腐れたように言う少女は九歳~十歳くらいにしか見えない容姿で腰の辺りにリボンをあしらった淡い青色をしたワンピースに身を包み、左側で茶髪を留めたサイドテールをした女の子だった。
髪留めには小さな向日葵が付いている。
涼の嗜好にぴったりの女の子だった。
「お、俺は倉木 凉だ。き、きき、君は?」
涼はかつて無いくらい声が震えている。
「りょーくんね。わたしはクララ」
幼女に「りょーくん」と言われ心臓が飛び出しそうなくらいにドキッとする。
「こ、こんなところで何してるの?」
「何って、さっき散歩してたらって言ったじゃない」
「君はいくつ?」
涼はクララと名乗った少女に失礼な質問を平然とする。
「十八歳だけど?」
「十八!?」
涼は年齢を聞いて再び驚愕する。
クララの身長は百四十センチくらいで顔や身体つきも幼く、どう見ても十八歳には見えないからだ。
「何で驚くの? わたしってそんなに老けて見える?」
「いや……」
寧ろその逆である。
しかしクララは涼が言葉を詰まらせたことを肯定と受けとったようで深く溜め息を吐いた。
「確かにわたしは十八歳で老けてるよね……」
自分で言って更に落ち込むクララ。
「いや! 老けてない! 若いよ! というより幼いけど!」
「お、幼い?」
落ち込むクララの姿を見て、何とか元気づけようと勢いで色々と叫ぶ涼の言葉に疑問符を頭の上に浮かべるクララ。
少し気持ちを落ち着かせてから涼は言葉を口にする。
「いや、身体つきとか色々と幼く見えるけど」
「幼いって言ったって、みんなこんなだし、よくわからないんだけど」
「何!?」
「わっ!? 急に大きな声出さないでよ。吃驚するじゃない」
涼は鼻息荒くクララに尋ねる。
周りから見れば幼い女の子に近づく変質者にしか見えない。
「み、みんな君みたいな身体つきしてるの!」
「そ、そうだけど……」
「ひゃっほおおおおおおおおおお!!!!」
涼は今までに出したことのない声量で叫んだ。
「ちょ、ちょっと!? どうしたの!?」
「合法ロリだぜ! パラダイスだ! 家で仕事してて気がついたら変な所に居たけど! そうかここは俺の夢だったのか! きっと仕事中に眠ったんだな」
涼は驚くクララを後目に尚も叫び続ける。
「さっきから何言ってるの! ここは夢の世界じゃないよ!? 現実だし、 りょーくんは結婚相手を探しに来たんでしょ?」
「結婚!? どういうこと!?」
涼は先程にも増して声を荒げる。
「何も知らないの? さっきから訳の分からないことを叫んでるけど、りょーくんってどこから来た人なの? この近くの町?」
「日本だけど?」
「にっぽん? 聞いたことないけど」
「えっ……ここ日本じゃないの? 夢じゃないって言ってたし……じゃあここって……どこ?」
「ここはローリータナベスタって国の東にある公園だよ。今はわたししか居ないけど」
涼はここにきてやっと自分がどうなったのかを思い出してきた。
自室のパソコンで仕事をしていて休憩がてら幼女の画像を見ていたら変な広告みたいなのが目に入って興味を惹かれたからクリックしたんだ。
そしたら急にパソコンが光って、気がついたらここに居たんだ。
涼が思考を巡らせているとクララから声がかかった。
「大丈夫? どうしたの?」
涼はここに居た経緯をクララに説明した。
「成る程ねぇ……そんなことが……。ここと違う世界から来たって言うのは信じ難いけど、結婚の事とか知らない人なんて初めて見たし……」
クララは先程から結婚の事を頻りに口にする。
聞くところによると、この世界では争奪戦というものがあり、結婚相手を探す未婚の男性とクララ達女性陣が戦うのだとか。
この争奪戦は殺し合いなどではなく結婚したい女の子を捕まえて自分の国に「お持ち帰り」することで結婚できるという。
お持ち帰りされた女の子はお持ち帰りした男性と結婚するのが決まりだという。
無理矢理な感じもするが、過去にトラブルが起きたことはほとんど無いという。
しかし稀にはあるようだ。
「この争奪戦は男性に好意を寄せているからといってわざとお持ち帰りされるのは駄目なの。しっかりと戦って男性が勝ってお持ち帰りしないとね。独りでいるということは争奪戦とかではないよね? 大体聞いてないし」
「違う。初めて聞いたし」
「そうだよね。争奪戦は単独では行われないし、国同士で決めてからやるから」
「ほうほう」
「随分と興味深そうだね」
「当たり前じゃん! こんな可愛い娘達と結婚できる戦いがあるんだから!」
涼は再び鼻息を荒くする。
「でも、このままでは何だし一度この国の上の人の所に案内してあげる。その後、近くの国まで送るよ。この国に居ても争奪戦は出来ないからね。結婚したいなら、まずはその国での国籍の取得と住民登録が必要なの。まあ、国籍は有って無いようなものだけどね」
「よし! 早速行こう!」
「異世界から来たって言う割に随分と適応してるね……」
「前の世界に未練なんて無いからな」
はっきりとした口調で言い切った。
涼にとって退屈であった以前の世界より幼女が沢山居るこちらの世界の方が良いようだ。
「まあいいや。じゃあ行こっか。それとわたしのことはクララかクレアでいいよ」
とりあえずクララに案内してもらい、涼はこの国のお偉いさんに会いに行くことになった。