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首吊り死体の遺詩

グロさは微妙ですが、とりあえずR15指定です。


エロさは一切ありません。


深い森の奥

土がむき出しの崖下

横に伸びた一本の木の枝

枝に結ばれた縄の下には

重力にバラけながら

たった一つの頭蓋骨を

頂に置いて崩れ積まれた

一人分の白骨の丘


白骨のすぐ近くの崖に

遺書のような詩が

刻まれていた


『 人よ。私の死に何を泣き叫ぶのか


 人よ。自分たちの思いが、私に受け継げられると

心酊していたものよ


私が必保していた狂気を

解そうとしなかったものよ

私の死という結果が

思いの果てだ


 人よ。木の細部を見ずに

木の幹しか見なかったものよ


どこまで自分たちの正義に

酔いしれゆくのか


 人よ。私はバラットではない

心に灯された希望の光ではなく

望みを奪い去ったのだから


 人よ。否定しか出来ぬものよ

後悔の鎖を

生涯を共にせよ


 人よ。私を死した贄にしたものよ

生ける贄を求めし悪魔の怒りが襲うだろう


 人よ。無知であり続け

支配の愚欲に囚われしものよ

お前たちの支配は

病魔に蝕まれていることを

万害しか無いことを

災厄を以て招き

苦しむがいい


 人よ。私をプロメテウスに仕立てようとした者よ


お前たちの支配よりも

私はハデスに向かうだけだ


 人よ。表面しか見ずに、私を解そうとした者よ


お前たちは深層へと

到ろうとせずにいたがゆえに

敗北者となり果てたのだ


 人よ。歪みを正当化させようとした者よ


歪みを正す理の反撃に

膝を屈する運命に

自らを置いたことを知れ


 人よ。宝を得ようとした者よ。


お前たちは

なぜ宝の在処を

知ろうしないのか


深層にある宝を

なぜ表層しか見ずに

無いと断ずる?


お前たちの手には

永遠に宝など

得られぬと知れ!


 人よ。勝者の道を歩んでいると思うた者よ

お前たちの道は

敗者の道であったことを

後悔と供に知るがいい


 人よ。これらの災厄を退けたければ

自己の意識を変えよ

喪失に惑うことなく

喪失のその先を見据えよ


万物は流転により動くのだから

流転を取り入れてゆけ


湧き曇る暗雲を

流転のもたらす風にて

吹き飛ばしゆけ


暗雲がもたらす闇の日々に

閉じこもり続けてはならない


喪失を追うてはならない

一つの喪失を

始まりでありながら

終わりでありさせよ――』


詩を読み終えて

奇妙な視線を感じ

視線の先を振り向くと

頭蓋骨の眼孔と

視線が合い

積まれ置かれた頭蓋骨に

笑われているような気がした――


《終》

作中の遺書的な詩の内容は、自己投影が入っています。


誰かの考えなんて、書いた本人以外は分かりませんからね。



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