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道化(わたし)と狂気(ワタシ)

過去作品第八弾目です。


流れは記憶から引っ張り出したものなので、原文とは違うのはどうでもいい話ですね

狂気(ワタシ)

心傷負者にして

半身たる道化(わたし)

抱きしめる


心傷与者たちに

与えられた傷を

癒すために


これからも(現在も)

これまでも(未来も)


心傷与者から受けた傷が

癒せるようにと

解放されるようにと

願いながら


心傷与者は

自己の快楽のために

道化(わたし)を傷つける


幾度となく半身を傷つける

心傷与者たちを

狂気(ワタシ)は許せないのに

道化(わたし)は心傷与者たちを

泣き笑うような顔をして

許してしまう


道化(わたし)のほうが辛いのに

狂気(ワタシ)はただ

道化(わたし)を抱きしめることしか

できないことが

ただ悔しい


ある時、心傷与者たちは

狂気(ワタシ)の半身である

道化(わたし)を砕いてしまった


半身を喪った狂気(ワタシ)

道化(わたし)を砕いた心傷与者たちを

完全に許せなくなっていた

喪った道化(わたし)の代わりに

狂気(ワタシ)は半身として

憎悪を宿した


そして狂気(ワタシ)

心傷与者たちへの

報復の意を決した


「助けてくれぇー!!」


狂気(ワタシ)は心傷与者たちを追いかける


報復のために用意した

鈍色に光る

大鎌を構えながら


心傷与者たちは

叫び声をあげながら

憎悪を宿した狂気(ワタシ)から

逃げ出そうと

足掻くように駆け出す


そんなこと

狂気(ワタシ)は許さないのに

無駄な足掻きになることを

心傷与者たちは

知ろうとしない


「どうして、私たちを追いかけるんだ!?

私たちが何をしたというんだ!?」


心傷与者たちは

ただ喚く

自分たちの冒した罪を

否定するように


「貴方たちが狂気(ワタシ)の半身を

砕いたから

狂気(ワタシ)は貴方たちを

決して許さない

ゆえに狂気(ワタシ)

憎悪をもって

罪人である貴方たちに

報復する


ただそれだけのことよ!!」

我ながら愚かしい慈悲に

哀れな心傷与者たちに

冥土の土産のように

狂気(ワタシ)の報復を

一息に叫ぶように伝える


「私たちはそんなこと知らない!!

お前が勝手にやっているだけだろう!!」


心傷与者たちは

自分たちの罪を

さらに否定する


「貴方たちに何言っても

無駄だということね


なら、地獄で自分たちの罪を

それに相応しい罰を受けるといいわ」


狂気(ワタシ)

大鎌を振り上げると

心傷与者たちの

生命の灯火を

かき消した


心傷与者たちへの

報復を終えた狂気(ワタシ)

心傷与者たちが砕いた

道化(わたし)の代わりに

宿っていた憎悪は


心傷与者たちへの報復を

終えたことによって

消え去っていった


残ったのは

最初からの半身である

狂気(ワタシ)独りだけ


そして狂気(ワタシ)

心傷与者たちの

生命の灯火を

かき消した大鎌を

自らの生命の灯火に当てた


心傷与者たちがいる

地獄へと向かうために


さようなら

狂気(ワタシ)の半身であった道化(あなた)


道化(あなた)は楽園で

心傷与者たちのいない

平和な日々を過ごして


代わりに狂気(ワタシ)

地獄で心傷与者たちの

相手をしているから


道化(あなた)に永久の

平安がありますように――


《終》

過去作品は次で終わります。

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