道化と罪人の詩
過去作品第七弾です。
1
何かを得るには、それに相応しい何かを失う。
それが交換という、不変なる世の理の一つ
失うもの無しに得ようとするのは、世の理に反しており歪んでいる
歪みを正すには
過去に得たものと
相応の対価を
相手に支払う
それこそ、歪みを正す方法
2
度の過ぎた無知。それは罪。
何故、知ろうとしないのか?
己が言葉の刃を振るい、相手の心を抉ったという事実を。
何故、背けようとするのか?
己が積み上げてしまった罪から、逃げるのか?
いくら事実から逃げようにも、変わりはしないというのに。
何故、否定するのか?
己の正しさに陶酔し、相手の心を抉り続けた愚者には
逃げ場など無いというのに。
3
傷だらけの体
傷だらけの心
疲労困憊の身に
傲慢者たちは
さらに身体を酷使させる
身体を休めなければ
いずれ壊れてしまうというのに
何故、そのことを知ろうとしないのか?
一つの歯車のみを使い続ければ
やがて磨り減って
使えなくなるのに
あぁ、この瞬間にも
壊れた肉体が生まれゆく
4
モイラよ
何故、疲労の岩を背負わせる?
何故、苦痛の鎖で縛りつける?
何故、狂気の闇を抱かせる?
何故、憤怒の焔を握らせる?
何故、貴方は沈黙する?
運命を司る女神の母
何故か答えてもらいたい
5
静寂が支配する森
清らかな空気が体内に入り
溜まったストレスが
出て行く瞬間
平静が戻りゆく
されど人々は
静寂な森に
無粋な物を持ち込んで
木々の破壊を繰り返す
静寂の代わりに
騒音が森を支配し
木々の悲鳴が響き渡る
6
無粋な物を持ち込んで
木々の破壊を繰り返す
欲に眩んだ愚者たちに
森の主は憤怒の雄叫びを
森中に響かせる
それを合図に
大地から根が飛び出し
無粋な物を絡め砕く
憤怒に猛る森の住民は
破壊を繰り返す愚者たちに
憤怒の鎚を叩きつける
愚者たちは反撃しようにも
森の怒りに恐れを成す
7
人は道化に罪を被せる
自らの罪から逃れるために
道化の仮面はひび入る
うち秘めた狂気が
仮面の裏側から
衝動の如く
己が戒めを
破壊するために
人々は気づかない
自らの罪の逃れ場所に
崩壊が刻一刻と
近づいていることを
8
無知は罪
誰の言葉だったか
されど不変なる真実は
ただそこに現れる
己が成し重ねた罪
自らの愚行
否定すら罪に重ねてしまう
逃れ場所も己が手で抉り
重ね続けてしまう
愚行が重ねた罪は
遠く罪科の書にて紡がれる
逃れようも
鎖に繋がれ
無謀な足掻きに終える
9
冥界の裁き主たるミノスよ
愚行を重ね続け 否定しながら
生き足掻いた 愚者たちに
正当なる裁きを与えよ
愚者たちに
己が成し重ねた罪に
相応しき罰を与えよ
それこそが
憤怒の神が
汝らに与えた
勤めなのだから――
《終》
原文そのままのコピーはこれでお終いです。
次からは、モチーフや流れを[記憶の海]から引き上げて、現在の文体で書き直しという書き下ろししたものとなります。
終滅のウルドはまだ終わりませんよ?