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愚かな詩人の手紙
ネトゲ時代に初めて知り合った人に宛てたものを、手直ししたものです。
親愛なるあなたへ
あなたと会えなくなってから
どれくらいの月日が流れたのでしょう
滅んでしまったあの世界を通して
私たちは出会った
私よりも以前からいたあなた
いつも謙遜だったあなた
誰かのためにいたあなた
助けてくれたあなた
そして、心に残る物語を
紡いでくれたあなた
あなたは不意にいなくなった
あなたがいなくなったのは
あの震災が来てから
あなたの住んでいた場所を
私は知らない
あなたと出会ったあの世界も
終焉を迎えてしまった
私とあなたを繋ぐものは
無くなってしまったけど
あなたとの思い出は
私のなかに残っているから
私はそれを大切に抱いていこう
死を迎える瞬間まで――。
《終》
……震災以降、一切の音沙汰もありません。
生きていたら、この「小説家になろう」に誘えたんですけどね。