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 時は戦場にて名を上げる武士の時代。

 馬に跨がって戦う武士に紛れ、闇を駆けし者たちがいた。

 その名を、忍という。

 闇にまぎれたその体、決して日の元に戻ることなし。

 されどその血にまみれし姿、美しきには遠かれど、醜きには近からず。


 〝忍ばねばならぬとは百も承知

 ならば耐え抜いて見せましょう。己の心すら〟


 生きねばならぬ、守らねばならぬこの時代。

 己の心すら忍んで耐え抜くその生き様、まこと見事なり。


 戦場に、城に、町に、そして闇に。

 戦い、仕え、忍び、そして奪う。

 そのどれもが一致しており、全ては異なる。

 己に託されし使命、その名の通り命を使って。


 黒き衣纏いしその姿、その内に秘める心は決して悟られてはならぬ、と。


 その中に、歴史に語られぬ女忍あり。

 されどその者女なれど、くノ一にあらず。

 男に紛れた忍び装束、それは己を隠すお面なり。

 流れる美しき黒髪、装束から見え隠れするしとやかな肌。

 そのどれもが女としての道を楽にしたであろう。

 

 しかし彼女は選ばない。


 女としてではなく、一人の忍として生きることこそ覚悟なり。

 その者、名を捨て自らをこう名乗る。


 巴、と。


 前の時代を駆けし女武将と同じその名前。

 覚悟はその名前に恥じることなく。


 瞳に宿るは覚悟の証。

 背に背負いし己の罪と、

 その手に抱くは後悔の念。


 しかし彼女は止まらない。


 武家の家柄でありながら、自ら選んだその道を。

 後悔する日が来たのか、否か。


 ――知るは彼女の忍びた心の中に、のみ。



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