凡人
『あ~。学校だりぃ~。』っと学校に着くなりボソリと呟く俺。
『開口一番それかよ。まったくお前って奴は~。』っと俺に突っ込んでくるあいつは祐二。祐二はこの都立東山高校に入学して出逢った親友だ。
『あはは。仁らしいなぁ。っよ!おはよっ』っと朝から馬鹿笑いしてるあいつは辰也。こいつもここに入って出逢った親友だ。
『おう。おはよっ』っと俺と祐二が言葉を返す。
『1時間目何だっけ?』っと呟く俺に祐二が
『数学だよ。そろそろ覚えろよなぁ。』っと祐二が上から目線で突っ込んできた。カチンときた俺は
『うるせぇ。ニート。』っと言葉を放つ。祐二は
『ニートじゃねぇ~!そもそも学校来てる以上ニートじゃないだろ。まったく。』そう返した祐二に辰也は
『あははは。』っと馬鹿笑いしてる。こんな事はいつものやり取りである。
『やっと授業全部終わった~。疲れた~。』っとだらける俺に祐二が
『お疲れさん。俺も疲れたわぁ。帰ったら寝よっと。』っと言葉を放つ。
『え~。BOOK・OFF行こうぜぇ~。』っと明るさMAXで言ってくる辰也に
『断る!』俺と祐二は声を揃え言葉を辰也に浴びせた。
『なんでだよ~。少しくらい付き合えよ。』っと不満に満ちた顔で俺と祐二に言葉を返す。
『疲れたんだよ。俺は。辰也や仁と同じにすんなよ。』っと言葉を投げ捨てる祐二。
『おいおい。そりぁないぜぇ。祐二~。今日の俺様はそこまで元気ではないぞ。』っと祐二に突っ込む俺をみて
『あはははははははは。』っとまた馬鹿笑いする辰也。
そんなやり取りをしてるうちに降りる駅に着いた。
『じゃあ、俺ここだし。じゃあなぁ~。』っと電車に残った祐二と辰也を見送る俺に
『また、明日なぁ~』っと祐二と辰也は声を揃えて言った。
二人を見送り、改札を出て、いつも利用している駐輪場に行き、自分の自転車を手に取り、こぎ始める。
自宅に着き鍵を開け中に入る。
『ただいま~。』っと誰かいるはずもない家に声を掛け中に入って行く。
『あ~。今日も親父遅いんだっけか。めんどくせなぁ。』っと言いつつ親父と俺の二人分の夕飯を作る。
俺の家族は4年前にお袋が他界し俺と親父二人で暮らしている。まぁ、どうやら親父も新しい恋人ができたらしく、毎日子供の様にはしゃいでる。そこに
『たっだいま~。』っとご機嫌な親父が帰ってきた。
『おう。帰ったか。お疲れさん。先に飯食え。』っと親父に声を掛ける。
『ほーい。お!今日はしょうが焼きだなぁ!うぉぉぉ。うまそう~。仁のしょうが焼きうまいからなぁ~。』っと椅子に座りながら喋る親父に、
『さっさと食っちまってくれよ。』っと声を掛ける。
『わかったわかった。いただきまーす。』っと親父は言い食べ始める。すると親父が
『仁、お母さんが欲しくないか?』っと突然言うものだから驚き
『はぁ?どうゆうこと?』っと言葉が出てしまった。よく考えると、親父は今の恋人と結婚したいと言ってるんだと思い
『まぁ、欲しいっちゃ欲しいよ。』っと親父に返すと親父は
『そうか…』っとだけ言い
『ご馳走さま。うまかったぞ。』っと言い残し自分の部屋に入って行った。
そう、ここで俺のごくありふれた、平凡で仕方のない日々に終止符を打つことは誰も知らなかった。