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黙る。

 今回はカミーユは付いて来ていなかった。

 それは良いとして、最近“賎しき者共”の形が変わってきた。

 ついこの前は、トカゲやら蛇やらといった動物のようなものが多かったのだが……。


「透明なゼリー状の何かって……あれもそうなのか?」

「うん、ゲームに出て来そうだよね。あれ」

「……だんだんゲームっぽくなってきた感じがするな」

 

 そうぼやきながら、いつものように秀人は剣を振るう。

 簡単にざくざく切れて動かなくなるゼリー状の物体。

 プルプル感が本当のゼリーのようで、少し摘んで食べてみたい衝動に駆られるが、変なものを口にして何か起こると面倒なので秀人は諦めた。

 とはいえ数が多く、ミリー達の手助けもあって何とか処分していくも、奴らがぴょんぴょん飛び跳ねるのでそれを追いかけながら倒していく。

 ちなみにこのゼリーもどきは、人間を襲うというよりも、人間に引っ付くのが好きらしい。

 そんな人畜無害な奴、放っておいても良いんじゃないかという秀人の思う秀人だが、


「……こいつらに引っ付かれて数日放置すると、巨大化するんだ。それで、宿主から離れてその辺を飛び跳ねてものを壊すんだ」

「……修理費も馬鹿にならないって事か?」

「そういう事。なので気の毒だけれど、潰しておかないと」


 そんなわけで、剣でざくざく、魔法で燃やすという作業をえんえんと繰り返していた秀人達だが、


「ちょ、やだってばあああああ」


 そんなのノエル姫の声が聞こえたのは、随分とその“賎しき者共”を秀人が倒した後だった。






 ノエル姫が、自分に引っ付いたゼリー状の“賎しき者共”を引き剥がしていた。

 けれど幾つものゼリー状の物体がノエル姫の服の上から張り付いて、もぞもぞ動いている。

 しかもそのうちの一匹が服の中に……。


「もう、嫌だってぇえ……」


 秀人は怒りが湧いてきて、ノエル姫のほうに向かって走りよる。

 そしてすぐさまそのゼリー状の“賎しき者共”を引き剥がして、助けようとする。

 けれどそれに抵抗するかのように“賎しき者共”は、ノエル姫の服の中に潜り込んだ。


「や、ちょっと……スカートの中に……」


 流石にそこまで秀人は手出しできないので、もぞもぞと顔を赤くするノエル姫をどうすることも出来ず、秀人は見ていることが出来なかった。

 間違っても、ちょっとエロい事になっていて健全な高校生である秀人がどきどきしたからとかそんな理由では断じてない。

 そこで、ゼリー状の“賎しき者共”を、ノエル姫は引き剥がした。そして、


「よくもやってくれたわね」


 そう言って、“賎しき者共”を手で握りつぶした。

 そしてふうっと微笑んでから、秀人の方を見て、


「秀人、助けてくれてありがとう」

「あ、うん、まあ……多少は」


 その様子を見ながら、秀人は一応にっこりと微笑むも……。


「もしかして、俺がノエル姫を守ろうとするのって間違いなのかなって」

「いや……ノエル姫、もともとあんなだよ?」

「そうなると、俺が守っていたら油断してノエル姫が怪我をする可能性もあるのかな」

「うーん、そこまでは自己責任かな。でも今回の事で、秀人がある程度頑張れば、ノエル姫は自分の身が確実に守れるくらいには強いって分っただろう?」


 秀人は素直に頷けなかった。

 やっぱり、ノエル姫が好きなので良い所を見せたかった、という個人的な感情が大きい。と、


「それで、随分とエロいノエル姫が見られた感想は?」

「な、何の事かな、正樹」

「いやいやいや……ミリーもそれくらい可愛げがあれば良いんだけれどな」


 そう嘆息する正樹に、秀人はふと気づいた。そういえば、


「涙を流す時に目薬って、そんな見える形でもっているのかな」

「……あ」

「あのミリーさんが、そんな手抜きするか?」

「……いやいやいや、だって、そうなるとまるで僕が気づくように……」

「……逃げ道用意してくれていたんじゃないのか?」

「……女って怖い」

「怖くないだろう? ミリーさん、それだけ正樹の心を尊重してくれているんじゃないか」


 けれど秀人のその言葉に正樹は嘆息して、


「……怖いよ。本気で惚れそうだから」

「……そうだな。俺も、ノエル姫に本気になりかけているから……こんな事で悩んでいるんだろうな」


 二人して黙る。

 頭では色々分っているのに、気持ちが言う事を聞かなくなっていくのだ。

 まったく厄介で、それでいてこんな感情が無ければ良いと思えないのが更に厄介だった。

 そこで、正樹のスマホもどきがちかちかと光り、面倒そうにそれを正樹が見て、


「あー、秀人の武器の検査しておくって。壊れてないか」

「何処にいくんだ?」

「今宿の前にいるって」


 そう言われて、秀人は窓から外を見た。

 そこには、黄色い服を着た男が見て取れたのだった。






 正樹がその黄色い服を着た男を紹介する。


「メンテナンス係のキイロさんです。皆には、“ドクターイエロー”と呼ばれています」

「そうなんですか……」


 突込みを入れたい気分になりながらも彼に渡して、秀人は様子を見る。と、


「やはり、君の魔力は大きすぎるようだ。負荷がかかっていて……まあ、ちょっと部品を変えれば大丈夫そうだし、予備の武器が一杯あるから良いだろう。魔道研究所は多分制圧できる」

「魔道研究所はそんなに“賎しき者共”が多いのですか?」

「うちの職員が逃げ帰ってくる程度に」

「……」

「まあ、うちの職員は君ほど魔力は無いから、それを考えれば君ならできるだろう」

「……俺達は良いですが、彼女達もついてこようとしているのですが……」

「こちらさんの武器も持たせてあるから。それに援護してくれる人間がいないときついぞ?」


 納得は出来ないがそう言われてしまうと、秀人もうなってしまう。

 やはりノエル姫は置いていくべきでは……と。


「いざとなったら二人は連れて逃げ帰るから秀人は安心していれば良いよ」


 そう正樹が付け加えて、それ以上秀人は何も言えず、そのドクターイエローさんに装置やら何やらを直してもらったのだった。

そろそろ毎日更新がきつくなったので、月曜日、水曜日、金曜日の更新となります

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