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尋常ではない音

 そんなわけで正樹の案内で、この町の異世界貿易会社ゴランノスポンサー開発部を探しに行ったのだが……。

 そこはお化け屋敷のような建物だった。

 崩れかけた屋根に壁。雑草で覆われた庭。木々は野放図に伸びて、その上空をカラスのような黒い鳥が優雅に飛んでいる。

 そこでふわりとその鳥らしき羽が地面に落ちて、そのまま砂と一緒に風に飛ばされていく。

 人の住んでいない朽ち果てた建物といった風情で、あまり入りたくない。

 そんな躊躇くする秀人だが、正樹は躊躇わずに壊れた門を開き中へと入っていく。

 それを秀人は慌てて追っていく。

 やがて家の入り口にたどり着く。そこには一枚の紙が張られていた。


『人が住んでいます。お化け屋敷ではありません。探検と称して勝手に入らないでください』


 その文を読み、秀人は正樹の方を見ると、


「子供って好きだろう? そういうの」

「……分らないでもないが、こんな壊れた家にあるのか?」

「外はアレだけれど、中は綺麗なもの……もの……」


 言葉を濁す正樹に、秀人は、


「……汚いのか?」

「……ちょっと待って、一応連絡しておくわ」


 そう呟いて、正樹がスマホもどきを取り出して、なにやら書き込んで送信していた。

 すると、ばたばたと中から階段を駆け上がる音が聞こえて、


「人くるって、リビングだけとりあえず片付けないと!」

「とりあえず押入れに詰め込んでおけば良いかしら」

「じゃあ私はお茶の準備してくる!」


 どたんばたん、ずがががが、ほぶほぶずががが、だんだんどどどろん、どかん。


 明らかに尋常ではない音が響いて、それからしーんと静まり返る。

 やがて、とっとっとっとと足音がして、


「いらっしゃい、異世界貿易会社ゴランノスポンサー開発部へ。正樹さんに、秀人さん、それにノエル姫に、ミリー姫ですね」


 にこにこと優しげな白衣を着た黒髪の女の人が現れる。

 先ほどの焦った様子など微塵も感じられないその姿に、有る意味感動を覚えていた秀人は……玄関先のコートをかける部分にかけてある、二つの物体に目が行った。

 一つは色々な色の絵の具が飛び散ったような、何か恐ろしい事でもあったのではないかと思わさせられる作業着で、もう一つはブラ……即座に秀人は顔を背けた。

 けれどその様子にその人は気づいたらしく、さあと顔を青ざめさせてそれを即座に後ろに隠した。

 そのままにこにこと微笑みながら、その女の人は居間に秀人達を案内する。

 先ほどのブラ……では無くもう一つの服が何か恐ろしい事があったのかと思って、秀人は問いかけた。


「あの作業着、なんだか凄い事になっていましたが、以前ここで何かあったのですか?」

「ん? ああ、あれね。ほら、実験しているとやっぱり薬品とか飛ぶでしょう? だから、あんなふうに汚れちゃうの」

「え? その白衣は?」

「見かけ用? 日頃使ってないからこんな風に綺麗なの」

「でも実験の写真だと透明な液体とかをいじっているような気が……」

「写真を撮るためだったら、よく、水をろ過したりするよね。そうすれば器具洗わなくてすむし」


 世の中にはまだまだ知らない世界があると秀人が納得すると、また二人女性が現れて、


「異世界貿易会社ゴランノスポンサー開発部へようこそ。ここでは私達が開発しています」

「えっと、レーダーのアップデートと、矢の追加補充だね。ここでお茶飲んで待っていてくださいね」


 そうドアを開けて居間に案内される。

 綺麗に片付いた部屋に、ソファーやら観葉植物やら……綺麗なものである……と周りを見渡した秀人は、押入れがすこし膨らんでいるのを見て、見なかった事にした。

 正樹は、レーダーを渡してから、ミリーの隣に座る。

 そして、異世界貿易会社ゴランノスポンサー開発部の三人のうちの一人がこちらの今に残った。そういえばと秀人が、


「異世界貿易会社ゴランノスポンサー開発部って、どうやって人を募集しているのですか?」

「普通に、ネットの就職活動サイトにあるわよ?」

「あるんだ、募集するところ……」

「国内での理系の仕事が少ないから、こうやってとうとう異世界まで来ちゃったの。ま、一番にこの世界に出てくる、っていのはその分野で主導権を握れるからね。まあ、その辺の話は置いておいて、お茶とお菓子、どうぞー」


 そうすすめられたクッキーとお茶は甘くて美味しかった。

 そんな感じで、それでもノエル姫やミリーにとっては彼女の仕事が興味があるらしく色々聞いていた。

 ちなみに、正樹はこっそりと逃げようとして、ミリーに捕まっていたのだった。






 そんな雑談をしていると、先ほどの女性二人がレーダーと矢を持って現れた。

 その矢にをノエル姫は受け取りながら、


「この矢で攻撃するんだよ」

「わー、ありがとうございます。? 何だかちょっと前と違いますね」

「うん、見かけに拘ってみたから」


 けれどその矢の形は、途中にネコのマークが付いているだけで以前とそれほど変わりない。

 それを見て、うーんと眉を寄せるノエル姫に、異世界貿易会社ゴランノスポンサー開発部の女性達は、使ってみてからのお楽しみだと笑う。

 ついでにレーダーの精度が上がったらしい。

 良く見ると個体数まで表示されているが……。


「100以上がほとんどじゃないか」

「頑張れ秀人。この世界の未来は君の手に!」


 そんな煽りはいらないと秀人は思って、正樹のその言葉に嘆息したのだった。

風邪をひいたため明日は更新できるか不明ですが、よろしくおねがいします。

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