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消し炭に

 次の日の朝。

 何故か正樹が秀人のベットの下で隠れるように寝ていた。

 ちなみに正樹のベットは、いかにも正樹が眠っているかのように膨らんでいる。

 昨日の夜からそういった対策をしていたので、秀人としては不審に思う点も無いというか……女の子に迫られているのにこんなに羨ましくない人間は初めてだと、秀人は冷静に思っていた。


 昨日の夜といえば夕食時が凄かった。メアが料理のセッティングをするのはいつもの事だったが、


「秀人、あーん」


 と秀人がノエル姫とやっていると、ミリーが目を輝かせて、


「正樹、あれ私達もしましょう! だから口をアーンと開けて!」

「……お断りします。切実な意味で!」

「酷い! あんまりそういうこと言われると、私だって傷つくわ?」

「……白いスープの色が、青色になっているけれど、それについての釈明は」

「……せっかく一服持ったのにばれてしまいました。残念ね……」


 そんな酷く残念そうなミリーと、石のように固まっている正樹。

 そこでノエル姫が


「ミリーちゃん、ちなみにそれ何入れたの?」

「痺れ薬。痺れて動けない正樹を介抱するのって良いじゃない? ほら、異世界人は風邪を引かないから、こう、風邪の時に看病して好感度アップというのをやろうかと」

「なるほど……秀人を看病か……いいな」


 それを聞いていた秀人は、ヤンデレは感染するというわけの分らない言葉を思いついたのだがそれは良いとして。


「秀人、食事を取るのを止めようか」

「でもお腹がすくぞ?」

「人間の生理現象を忘れないようにつけている機能だから、結構どうにでもなるんだ。睡眠も含めて。だから……」

「ノエル姫は俺の嫌がる事、しないと思うし、今のミリーさんの行動だと、正樹が気づく事前提でやっているからもう少し信頼してあげても良いんじゃないのか?」

「……ちょっとでもデレたら、なし崩しで最後まで行ってしまいそうで怖いんです」

「……そうだな」


 どういう意味の、ミリーがむくれるたのは良いとして、結局楽しい夕食は終わった。

 その後、部屋のドアや窓になにやら装置を設置して、正樹は自分のベットを偽装して、秀人のベットの下で寝ていた。

 そして、次の日の朝に戻るわけだが……秀人は何となく目が覚めて、けれど起きる気にもなれなかった。

 ぼんやりする目で古びた天上を見ていると、部屋の鍵がかかっていたはずのドアが音も立てずに開いた。と、


カシャガシャカシャガシャカシャガシャカシャガシャ 


 大きな音が鳴り響いた。


「きゃあ!」

 

 可愛らしい女のこの声。言わずもがな、ミリーとそしてノエル姫、そしてメアだった。

 その二人の方を見て、秀人が、


「どうしたのですか二人そろって」

「ミリーちゃんと、秀人と正樹の寝顔を見に来ようと思って」

「……そういうわけだ、秀人。今すぐ姫様のために寝ろ」


 そう短剣を突きつけられた秀人。眠った振りをしないと、強制的に眠らせるぞとメアに囁かれる。

 怖かったので、秀人は諦めて寝たふりをする。

 目を瞑っていると、ふわりと甘い、女の子の香りを感じて……額に柔らかいものが当った。


ちゅっ

 

 そんな音が聞こえて、秀人は顔を真っ赤にして目を開く。顔面一杯にノエル姫の顔が広がっていて、


「おはよう!」

「……おはようございます」


 照れたように顔を赤くして秀人は答えた。でも、女の子に額にキスって……それで起こしてもらえるなんて、もしやこれは本当に秀人の作り出した願望の夢世界なのではないかと悩んでしまう。

 そんな秀人達に、ミリーがとことこと正樹(偽装)の方に向かって歩いていって、そのまま飛び込むように抱きついた。だが、


「! 偽物!」

「はははは、愚か者めが! こうなると予測してすでに手を打っておいたわ!」

「く、最近は特に頭を使うようになったわね。入り口にも、ブザーがついているし」

「そういう点で君を信用しているという事だよ」


 秀人のベットの下から正樹が現れる。悔しそうなミリーに、正樹は勝利の微笑を浮かべる。

 それを見ながらノエル姫に抱きつかれている秀人は、この二人、以外にお似合いなんじゃないだろうかと思ってほうっておいたのだった。






 そして次の町に行く途中の以前のトカゲや蛇もどきに加え、狐やら狼のようなものが追加された。

 しかもその分戦闘能力が増えており、かつ、“賎しき者共”は小さな巣が無数にある状態だったのだが……。


「消し炭にしてくれるわあぁぁぁ!」

「しっねぇぇぇえぇ」


 ミリーとノエル姫がノリノリで倒していく。

 ミリーは自分で言っていただけに、本当に強いらしく“賎しき者共”を狩っていく。

 なんだか、ノエル姫がミリーという親友と合流した事で、色々と容赦がなくなっている、秀人にはそんな気がした。

 とはいえ先ほどから6個ほど、巣を倒しているが、その全てが二人によって消滅さられていた。

 秀人に出番が無いとはいえ、結局は“賎しき者共”が倒されているので問題はないはずだ。

 でも、この置いてきぼり間はなんだろうと秀人が思っていると、木陰に“賎しき者共”の取りこぼしが一匹いることに秀人は気づいた。

 ノエル姫が油断していたのか、その“賎しき者共”がノエル姫に襲い掛かろうとしていたので、


「ノエル姫、伏せて!」


 叫び、秀人は襲い掛かってくる“賎しき者共”を剣で一刀両断する。


「気をつけてください、ノエル姫。怪我をしない範囲でと、以前お願いしたでしょう?」

「……ごめんなさい」

「それに矢も、もうあまり無いのでこの辺で」

「……はーい」


 残念そうなノエル姫。

 けれどノエル姫は、秀人の言う事を聞いて大人しくなる。

 本当になんでこんなに素直で活発な良い子がもてないんだろうなと秀人は思っていると、そんなノエル姫を見ていたミリーが、


「ノエルちゃん、随分しおらしくなっているけれど……」

「……そう? 私はそんなつもり無いけれど」

「……愛は人を変えるか。よし、正樹~」


 駆け寄ってくるミリーに、魔物探知レーダーを見ていた正樹は逃げ出した。

 しかし今の話だと、自分の前ではノエル姫は大人しいらしい。

 それは、秀人がノエル姫にとって特別な人であるという事で……そう考えると、秀人は赤面してしまいそうになった。

 そして、運が悪い事に秀人はノエル姫に気づかれてしまった。


「どうしたの? 顔真っ赤だよ?」

「え? ああうん。何でもないよ」

「嘘だね。それで、どうして?」


 秀人は正樹のように逃げ出した。そんな、何処かお気楽な勇者ご一行は、それから一時間も経たないうちに、次の町へとたどり着いたのだった。


次回更新は未定ですがよろしくお願いします。

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