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雲隠れしてくる

 次の日の朝も、ノエル姫といちゃいちゃしながら過ごした秀人なのは良いとして。


「今日のデートコースは何処ですか?」

「えっと、まず、ミランダさんの花園……」

「……食べられない花……見るだけの花、綺麗な花、女の子が好きなお花……うう、でもどうだろう。花を見て喜んでいる私ってどうなんだろう……私なんかに似合うのかな……」

「ちなみに花摘み体験もあるみたいですよ。ノエル姫が花を摘んでいる姿とか、俺は見て見たいです」


 美少女が花畑に座って花を摘んだりしている……ノエル姫でイメージすると可愛らしい。

 一方、そう言われたノエル姫は、少し黙って自分に似合わないのではと悩んでから……それでも大好きな秀人が望んでいるし、


「……一応、花輪は作れるから、まあいいか」

「作れるのですか? ノエル姫」

「その程度は。作ってあげようか? 秀人に」

「それなら二つ作ってお揃いにしませんか?」


 好きな彼女とお揃いの物とか、秀人は憧れるから、試しにお願いしてみた。

 そんな秀人のお願いはノエル姫にもとても素敵に思えて、


「……じゃあ、秀人は花を摘むのを手伝ってね」

「はい!」


 面白そうに笑うノエル姫に、元気良く秀人は答える。 

 ちなみにメアは、今回はこの二人をこっそりつけようと思っていた。

 もちろん姫様に秀人が不埒な真似をしないようにである。

 けっしてちょっと秀人に気があるとかそんな理由は多分まったくなく、姫様にお仕えしたいという感情からである。 

 そこで、部屋の中を落ち着きなさげに動き回る正樹に秀人はようやく気づいた。


「どうしたんだ正樹」

「……今日一日、僕はちょっと雲隠れしてくる」

「なんで? 上司からのお叱りとか?」

「……もしどこかで僕の事を聞かれても、秀人は知らないと答えてくれ。というか、何でばれたんだ」

「正樹?」

「じゃあ頼んだ。自体は一刻を争うから!」


 顔を蒼白にして、慌てるように正樹は逃げていった。それを秀人は見送り、


「どうしたんだ一体。……まあいい、では、ノエル姫行きましょうか」

「うん。というか私は知っているのよね……正樹が何で逃げたか。ふふ、行こう、秀人。どうせ正樹は逃げられないだろうし」

「は、はあ」


 何かわけ知り顔のノエル姫に、秀人は首をかしげたのだった。






 ミランダさんの花園に着きました。

 一面に花咲く、赤、青、緑、白、ピンク色、水色の花。

 残念な事に、摘んだものを買ってお持ち帰りする類の花摘みであったらしい。けれど、


「わー、綺麗! それに甘くていい匂いがする!」

「喜んでいただけましたか?」

「うん。この花が素敵かな……あの花にしようかな……秀人はどんな花輪を作って欲しい?」

「そうですね。白とか淡い色の花輪が良いかな」

「分った! じゃあ、その色の花を摘もう!」


 はしゃいで花園を駆けていくノエル姫。

 軽やかに飛び跳ねるその様は、蝶が花の蜜を求めて舞うようにひらひらとして、秀人には可愛らしく目に映る。と、



「もう、秀人も手伝って!」


 頬を膨らませて秀人に言うノエル姫に、秀人は慌てて花を摘む。

 そのまま何輪も摘んで、抱えるくらい沢山の花を持って行き会計を済ます。

 後はそのまま花園の空いているベンチを探してそこに腰掛ける。


「ちょっと持っていてもらえるかな、お花」


 そう手渡された花を抱えていると、一輪ずつノエル姫が取り出して、器用に花を編んでいく。

 小さく微笑を浮かべて、少し頬を赤くして、花を編んでいくノエル姫。

 その細くて白い指の器用さに、秀人はやっぱりノエル姫は自分で女の子っぽくないと言っているが、十分に……。

 そこでノエル姫が、顔を上げて秀人を見た。


「? どうしたの? じっと見て」

「いや、上手く作るなと思って」

「私だってやれば出来る子なの。待ってて、すぐに出来るから」


 ノエル姫は花を編んでいき、言っていた通りにすぐに花輪が出来た。

 それを秀人の頭に乗せて、


「はい、出来上がり! よし、次ぎ行くか!」


 と、また編んでいく。そして秀人の手に一輪の花を残して、全てを使い切って花輪を作り上げる。


「出来たー! ……どうしたの? 秀人」

「その花輪、渡してもらえないか?」

「いいけれど……」


 秀人は出来上がったばかりのノエル姫の花輪をもらい、そしてノエル姫の頭にかぶせる。

 ノエル姫が顔を赤くした。


「な、なんで……」

「作ったのはノエル姫だけれど、俺の分は頭に乗せてくれたじゃないか。だったら俺も、ノエル姫にかぶせても良いんじゃないかと思って……その、理由はそれだけで……ああ、そういえば一輪余っていたな」


 秀人はもう、熱に浮かされたようで自分のいっていることが少し分らなくて、そして調子に乗ってしまっていた。

 だから、残っていた花を一輪取り、ノエル姫の髪にさした。


「うん、やっぱり可愛い」

「……もう、秀人ったら……ぎゅっ」


 ちょっと甘い声で怒って、ノエル姫が秀人にくっついてきて、そのままどちらともなく手を繋ぐ。

 そのまましばし、静かな時が流れるも……。


「た、たすけてえええ」


 そんな正樹の声で、二人は慌てて顔を赤くして手を放したのだった。






 ノエル姫と秀人の前を、一人の女の子に追い掛け回される正樹が走り回っていた。

 

「もう嫌だ! 諦めてくださいぃぃぃぃぃ!」  

「諦めて欲しかったら私のお嫁さんになりなさい!」

「だから、僕この世界の人間じゃないです! 元の世界が故郷なんです!」

「四六時中一緒にいろなんて言っていないじゃない! まあ、いられるならいたいけれど!」

「やめて……別の恋人探してください!」

「男なら女の子に好かれて嬉しいでしょ! 特に私みたいな美人に!」

「僕にだって好みがあります! 僕は贅沢で、美味しいものしか食べたくないしその逆は嫌なんです! というか、何でここまで追いかけてくるんですか!」

「全ては愛ゆえなの!」

「愛って言えば全てが許されると思うなよおおお、うぎゃあ!」


 そこで正樹は女の子に体当たりされて、そのまま地面に転がった。

 けれどその痛みに呻きながら、必死に正樹はその女の子から逃げようとする。

 そんな正樹に、女の子は舌なめずりをするように唇を舐めて笑う。

 そこで、ノエル姫が、


「ミリーちゃん?」


 そう、女の子らしき名前を呼んだのだった。


次回更新は未定ですがよろしくお願いします。

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