いっそ止めを刺せ
夕食は、ノエル姫とメアだけでとってもらう事にして、秀人も眠る事にした。
先ほどの話もあるし、誘惑も含めた襲撃での寝不足……そもそも藁人形なのになんで睡眠が必要なのかも含めて突っ込みたい事もいっぱいある。
だが、それよりも、秀人が一番疲れた原因は、
「デート、か」
ベットにごろんと転がり、秀人は手を天井に手を伸ばした。
人生初の異性の、それも可愛い美少女でお姫様とのデート。
この手が、ノエル姫と繋がっていて、胸がむにゅっと……そこまで考えて、秀人は恥ずかしくなり声にならない悲鳴でじたばたした。
いや、確かに柔らかかったといえば柔らかかったのだが、そう、柔らかくて、ええっと……。
「柔らかい以外の選択肢はないのか。俺に」
自分の駄目さ加減に、ちょっとだけ秀人は落ち込んだ。
確かに一番印象的な出来事だったから仕方がないといえば仕方がないのだが、あの後の、ノエル姫の笑顔も台詞も、全てが秀人に向けられて、それを思い出して秀人は胸が高鳴りそわそわするような感覚に見舞われる。
「ノエル姫、愛してる」
そう、試しに秀人は口に出してみるが、酷く恥ずかしくて頭を抱えた。
確かにノエル姫が好きなのだが、それをこう口に出すとのた打ち回るほどに恥ずかしいのだ。
これでは、そう簡単に好きとか愛しているなんて、その場の雰囲気に流されないと言えない。
改めて言うと、死にそうなほどに恥ずかしい。
なのに……恥ずかしいのに、その言葉と共にノエル姫の事を思い出して、好きという感情が溢れ出て幸せな気分になるのだ。
「寝よう。もう、寝よう。俺はもう駄目だ。よし、結界を張って……」
そう思って、魔法を使うための箱に触れて、防御の力が弱い魔法を探す。と、
『小石を受け止める防御魔法:ぴーちくぱーちくぶふふのぶー、のったりらんけてれれいおいおいお非じゅいhふきhbgtでそ;:」っこうぎゅftdrt』
魔法の名前が説明で、効果の部分が良く分らない言葉の羅列になっている。
いい加減ネタが切れたのかと思って、秀人はぼんやりとしながらその言葉の羅列を読み込み、
『……gふゆtfgcdstyつjbjくいゆいんjmn……貴方の事が好きなんです」
秀人は、最後の文を読んで、いっそ止めを刺せと思った。
もう考えるのをやめようと思っていたのに、ここで出て来るとは思わなかった。
もう嫌だと恥ずかしくて死にそうになりながら、秀人はその魔法を選択して防御の結界をはって眠りに付いたのだった。
次の日の朝。
「秀人、あーんして」
「あーん、ぱくん」
「どう? 美味しい?」
「あ、うん。ノエル姫も食べるか?」
「うん。あーん」
朝食の時間、秀人はリゾットのようなものを、ノエル姫に食べさせられていた。
なので、秀人もノエル姫に食事を食べさせる。
「美味しいか?」
「うん、秀人に食べさせてもらうと美味しい」
「俺も、その……ノエル姫に食べさせてもらうと、もっと美味しい気がするな」
言ってしまって、秀人は自分が何だか凄い事を言ってしまった気がした。
そんな顔を赤くする秀人に、ノエル姫が面白そうに笑って、
「秀人顔が赤いよ? どうしたの?」
「う、うう……勘弁してください」
「どうしてなのかなー、ふふふ」
「……楽しそうですね、ノエル姫」
「楽しいよ。だって秀人とご飯食べているし」
「いえ、あの……おい、正樹、何て顔で俺を見ているんだよ」
そこで、秀人が、くわっと目を見開いて秀人を見ていた。そんな正樹がそのままの表情で、
「リア充め。僕なんてそんなイベント、ゲームでしかした事がないというのに」
「いや、そんな事を俺に言われても……」
「秀人! はい、あーん」
そういって、またノエル姫に食べさせてもらう秀人。そこで今度はメアが、
「姫様。そんな異世界人に熱を上げられては……」
「いいの。秀人がここにいる時間の少しを、私が貰ったんだもの。……終わりが来るって分っている分、精一杯いちゃいちゃしたって良いじゃない」
「姫様……分りました! このメアも、全力で応援させて頂きますわ!」
メアが応援側に回った。
正樹はそれを、相変わらずの表情でじーと見ていたのだが、普通に無視されて秀人達がいちゃいちゃしだしたので、この表情をしているのも面倒になり食事を再会し始めたのだった。
次回更新は未定ですがよろしくお願いします。




