むにゅっ
でも、そういえばデートってどうやるのだろうと秀人が考えて、
「ノエル姫。あの、腕を組んでもいいですか?」
「うん。こうで良いんでしょう?」
秀人の腕に、ふにょっと何か柔らかいものが当った。
それが何かわかって慌てて秀人は、慌てて腕を放すようノエル姫にお願いする。
「ノ、ノエル姫、あの、すみません、手を繋ぐだけにして……」
「何でよ。いいじゃないこうやって、腕をこうして、ぎゅって」
むにゅっと更に柔らかいものが腕に当る感触が有る。
それに、恋愛初心者の秀人が耐えられるはずもなく、顔を真っ赤にして、
「お願いです。俺が耐えられないんです!」
「何がよ。そんなに私がくっつくのが嫌なわけ?」
「いえ……あの、胸が……」
「……ご、ごめんなさい。私、全然そんなつもりじゃなくて……皆こうしているから、こうなのかなって」
「あ、いえ。そ、そうですよね」
お互い顔を真っ赤にして黙ってしまう、ノエル姫と秀人。
暫く立ったまま、気まずい雰囲気が流れて……。
そこで、変な男達に絡まれた。
全員が何処かしこにピアスをしていて、服も破けた服に、奇抜なセンスのものが色々とついている。
秀人は、この世界の流行のファッションなのかもしれないと考えるも、道行く人はそうではなかった。
つまり秀人の感覚からしても、この世界の彼らは逸脱しているのである。そんな彼らが、
「昼間から可愛い彼女といちゃいちゃ、楽しそうですなー……ぐへっ!」
因縁をつけた男の一人に、ノエル姫が膝蹴りを加えた。
突然の事で秀人はその光景を呆然と見ることしか出来ない。
そんなノエル姫に、蹴りを加えられた男は痛そうに呻いてのエル姫を睨み付ける。
「この尼!」
「兄貴、大丈夫ですか!」
「この尼、兄貴に何しやがる!」
そんなワンパターンな台詞を繰り返されて、何だこれと秀人が思っていると、
「うるさい。秀人との楽しい一時を邪魔するな」
「この…… やっちまえ!」
見下すようにノエル姫が告げると、その不良達はノエル姫に襲い掛かる。
気がつくと秀人は動いていた。
ノエル姫の前に出て、彼らの突き出してくるこぶしを捕らえて蹴りを加えたり……彼らの攻撃があまりにも軽いので、簡単ではあった。
同時に自身の力がこの世界では強化されている事を思い出して、出来るだけそっと叩いてみる。
大男が後ろに吹き飛んだ。
リーダー格の男だったはずだ。
その様子を見て、秀人は驚いたが、周りにいる舎弟?はもっと驚いたらしい。
それにひいっと声を上げて、リーダーを置いて逃げ出した。
だが、そこで周りの草むらから武装した人達がぬっと現れて彼らを拘束する。
「な、何だよ。なんで俺らが……」
「そ、そうだ、攻撃してきたのはあいつらで……」
けれど無言で拘束し、リーダー格の気絶した男も担ぐように連れて行く。
それを見ていた秀人は、はっとしてその連れて行く男達を見た。
「あの、どちら様でしょうか」
「ノエル姫の、影ながらの警護を。いつもたいていこんな展開になって、全員をぼこぼこにしますので」
「は、はあ。ノエル姫は強いんですね」
「……警備が手薄になりますが、勇者ヒデト様とお力があれば大丈夫でしょう。それでは、仕事がありますので」
「……ご苦労様です」
そうとしか秀人は言えなかった。
これでは、秀人が何もしなくても大丈夫なわけで、そうなってくるとノエル姫を守ろうとした自分てなんだろうと思って……しばし黙考する。
そんな秀人に、ノエル姫が後ろから抱きついた。
「秀人! ふふ、私の事を守ってくれたんだ」
「あ、はい。でも、ノエル姫でどうにかなったんですよね?」
「まあ、あの程度はね。警護もいるし」
「……そうですか」
そんながっかりしてしまう秀人に、更にぎゅうとノエル姫が抱きついて、
「……だからって、放っておかれるよりも、秀人が頑張って守ろうってしてくれたのは嬉しかったよ。本当に、私の元許嫁共は……」
「……そういうものなのですか?」
「そういうものなの。でも、これからは大丈夫だから、それほど私の事を気にしないで。私の理想は秀人と一緒に戦ったりそういう事出来る事だし」
「……えっと、俺の力はチートじみているから、一緒は難しいかなと」
「守られるだけよりは、一緒に歩いていきたいの! 分らないかな、もう!」
「でも、好きな人は守りたいかなって……えっと、別にノエル姫に戦うなと言っているのではなくて、あう、それで、ただ自分のみを守っていれば良いじゃなくて……上手く言えない」
そう照れくさげに頬をかく秀人。だが、
「……言ってよ」
「……え?」
「……言葉で言って欲しい」
ノエル姫が、秀人の背に顔をこすり付けてくる。
今更ながら、背中い胸が当っている事に気づいて、秀人は顔を赤くして、けれど一生懸命考えて、
「……自分の身が守れる範囲で、一緒に歩んで欲しい。だって、ノエル姫が、好きな人が怪我をしたら悲しいから」
「……80点」
「後の20点は?」
「……私が戦ったり危険な事するなって言う。でも、理由は分るし、それが悔しいから80点」
「何だよそれ。……ノエル姫?」
そこでノエル姫が、秀人から体を放す。代わりに秀人の手を握り、
「行こう。もうこの話は無しで。せっかくこんなに天気が良いし」
「……そうだな。こんなに天気も良いし、湿っぽい話はなしで。……それで、次は何処に行きますか?」
それに、喉が渇いたわ、とノエル姫が言うので、つい自動販売機を探してしまう秀人だが、ノエル姫に引っ張られて、公園の外の喫茶店に向かったのだった。
散々遊んで戻ってくると、メアがどんよりしていて、田中正樹が輝いていた。
そして田中正樹は秀人が戻ってきたのを確認して、
「……面白い事が分ったんだ」
そう、告げたのだった。
次回更新は未定ですがよろしくお願いします。




