94話 ツビンダー王国
取り敢えず大師匠を探したいのだが、どこにいったらいいのかわからない。
「しらなーい!じゃないむしよ!」
ムッシーが怒鳴る。
「だってほんとにしらないし」
「「「…………」」」
まあ、誰も知らないよな。
冒険厳密機で連絡先を交換しておくべきだった。
うーん。
「そうだ、ツビンダー王国にいったら?人も多いし、情報収集にはもってこいだ。」
宝魚が言う。
ノエルも続いて言う。
「たしかに、それに滞在するには丁度いいかもね。」
ってことで俺達はツビンダー王国に向かうことになった。
「じゃあレーゲルの村でしばらく休憩しようか。」
「「「オッケー」」」
結局レーゲルの村に滞在するんかい!と自分で自分をツッコんだ。
そしてしばらくレーゲルの村に滞在した。
まあ、いつも通りだ。
ただ、この村の人々はレーゲルを愛しすぎてる。
レーゲル教とでもいうべきか。
いや、レーゲル狂…………………いや、失礼失礼。
だがそういいたくなるくらい狂っていた。
まずであったら「君、レーゲル様のことは好きかい?」とみんな聞いてくる。
俺達は旅人だからしらないっての!
まあ、この村の英雄だからそれくらいは許す。
だが、「い、いや、旅人なのでそこまでしらなくて………」というと、周りにいた人全員ににらまれて殺気を放出してきた。
なかには杖とか武器を構えている人もいた。
こっちは魔王軍を3体も倒してるんだっての!!
極めつけは道行く人全員がレーゲルの話をしている。
まじでレーゲルレーゲルレーゲルレーゲル。
歩くたびにレーゲルの名前が聞こえる。
これは頭がおかしくなる。
さっさとおさらばした。
できれば一泊したかったが、全員ではなしあって早々に出発したのだ。
「なかなか強烈だったね」
ゲッソリした晴魚が言う。
「「「うん」」」
レーゲル地獄からようやく解放された俺達はツビンダー王国にむかって歩き出した。
しばらく歩くと………………
いきなり小柄の魔物がでてきて叫んだ。
「サイコパス!!」
「あ!でた!サイコ魔!」
小柄な人型の魔物、肌の色は紫。
その名もサイコ魔。
有害な魔物ではないことは確認されている。
面白い質問をしてくるそうだ。
その質問に正解したらレアな道具とかをもらえるらしい。
俺達はニヤニヤしてサイコ魔の質問をまった。
「問題!あなたの家に強盗が侵入してきました。どこに隠れる?」
俺は即答。
「布団の中!!」
さらに小魚。
「うーん。ベットの下とか?」
ムッシーも答える。
「小魚の服の中むし!」
「きもいな!」
小魚のツッコミをむしして宝魚がこたえる。
「押入れ!」
ノエルも答える。
「うーん、お風呂の中とか?」
さいごに晴魚が答えた。
「ドアの裏!」
するとサイコ魔が目を細めてきく。
「ほほう?なんで?」
「だって、私が有利な立場になるじゃん!」
「「「え?」」」
まさかのサイコパス発言にドン引きする俺達。
「じゃあ、第二問!あなたはいま遅刻をしています。どうやっても間に合いそうにありません。どうしますか?」
「言い訳を考える。」
「ふつうに謝る。」
「逃げるむし」
「仮病とか?」
「やっぱしっかり準備していくかな…………」
とみんな答えていくが、晴魚だけは違った。
「自分で事件を起こして遅刻の理由を作る!!」
「「「!?」」」
晴魚がにっこにこで答えていて怖くなってくる。
「ほうほう、ならば第三問!とある友人が男の子にサッカーボールと自転車をプレゼントしました。でも男の子は喜びませんでした。なぜでしょう?」
「もうもってたから」
「ほしくなかったから?」
「武器がほしかったからむし」
「その友人が嫌いだったから?」
「もうもってたからでしょ!」
「あ し が な か っ た か ら」
躊躇なく答える晴魚を俺達はもう、ドン引きっていう領域じゃない領域にいた。
怖すぎる。
晴魚ってサイコパスなの?
「そこの紫髪のきみ!」
「は、はい!」
「全問正解!!これあげる!」
そういってサイコ魔は晴魚に小型ナイフを数本渡してどこかに行ってしまった。
「あ、これって竜族の鱗からできたナイフじゃん!だれか欲しい人いる?」
ときく晴魚に俺達は後ずさりする。
「え?どうしたの?」
とナイフを持ちながら近づいてくる晴魚が怖すぎて俺達は絶叫した。
「「「ヒャァァァァァーーーーーーーー!!!!!!!!!!」」」
そのあと、ナイフは晴魚のものということになった。
だが、本当に本気で言ったのではなく、冗談だったらしい。
まあ、そんなことを考える地点でちょっとサイコパスな気もするが………まあいいだろう。
完全サイコパスではないとしって安心した俺たちであった。
しばらく歩くと、めちゃくちゃデッカイ国が見えてきた。
「あ!ついたついた!ツビンダー王国だよ!ツビンダー王国は世界で2番目に大きな王国なんだ!」
「「「へー」」」
1番大きいのはエルケーニ王国ってのは知っていたが、これは初耳だ。
「ここにアオイさんがいるといいんだけどね」
ノエルが呟く。
まあ、あの人は方向音痴だからどこにも旅立てなくてずっとここに滞在してるっていう説もあるな。
当たり前に中は栄えていて、レーゲル村のようなレーゲル狂はいなかった。
そして広い!とてつもなく広いから大師匠を探すのにかなり時間がかかりそうだ。
道行く人に聖魔軍を見かけていないか聞いたが、だれも知らないといった。
「うーん………どうしよっかな?」
小魚がいう。
それにムッシーが答える。
「国王にきくむし。それが一番手っ取り早いむし」
「たしかに、いってみるか!」
という俺にみんなはうん。と頷いてツビンダー城を目指した。
もちろん門番がいた。
「何者だ?」
「俺は雷魚です!!」
超自慢げに言う。
「ま、まさかあの雷魚!?」
「そうです!証拠はいくらでも出しますよ!」
「じゃ、じゃあ、この盾に向かって固有魔法を撃ってくれ。」
と、門番がもっていた盾を構えた。
「おけおけ、ドゥルフ!」
チュドーン!
ちゃんと盾に当たるように自分の真上から盾にドゥルフを伸ばした。
「うわぁ!!」
どうやらかなり威力が高かったようで、門番は後退してしまった。
「う、うむ。魔王軍を3体倒した雷魚とその一行ということを認めよう。して、要件はなんだ?」
「あー、俺たち聖魔軍の1軍王に会いたくてですね、国王に聞いたほうが手っ取り早いと思いまして来ました。」
「なに!?そのようなくだらない要件にわざわざ国王が出向いてくれるとでも思ったのか?」
「え?」
おいおい、まさかあってくれないなんて言わないだろうな?
「いくら雷魚でもゆるせん。情報屋にでも聞けばいいだろう。行った行った」
そう言われて追い返されてしまった。
どうやら国王は余程のことじゃないと出向いてくれないらしい。
まあ、そりゃそうか。
どうやら情報屋とやらがいるらしい。
「情報屋か…………これまたどこにいるのかわからんな。」
と言う宝魚に俺は言った。
「でも情報屋ならみんな知ってるんじゃないか?」
「たしかに」
「じゃあ、いこうか!」
そうして情報屋に会うために俺達は道行く人にきいた。
さすが情報屋、有名人なようで、すぐに居場所が分かった。
端っこの一軒家に住んでいるらしい。
早速俺たちは情報屋の家に向かった。
以外に普通の家に住んでいる。
「ごめんくださーい!」
俺が叫ぶと、若い男性がでてきた。
「お、俺は情報屋のスフトだ。何か用か?」
「実は俺達、聖魔軍の1軍王を探してて、なにか知りませんか?」
「そーだな。知ってるぜ」
「ほんとですか!?」
「ああ、だが…………」
そしてスフトは手でお金のマークを作った。
中々嫌なやつだ。
後ろに控えていた宝魚が銀貨1枚をスフトに飛ばした。
それを見事にキャッチし、話し始めた。
「まいどあり!聖魔軍の1軍王ってアオイさんのことだろ?ちょっと冒険厳密機をだしてくれ」
「あ、はい」
そうして俺達は冒険厳密機をだした。
するとスフトは地図アプリを開いて印を付けた。
ここの家にいるってきいたことがある。
ツビンダー王国内だ。
ここから逆方向の場所だ。
「中々に面倒くさいね」
小魚が疲れ切った声で言う。
そう、ここに来るまで結構歩いた。
「まあ、ありがとう!」
ノエルが礼を言って俺達は、その家にむかって歩き出した。
おまけ
第10話「終焉と“再生”の光」
魔王城、最奥。
黒い炎が玉座を包み、闇の王・シュルドルがゆっくりと立ち上がった。
「勇者・雷魚よ。お前の“雷”の血は、我がかつての力の一部だ。お前たちは、私の分身にすぎぬ」
「……何だと?」
雷魚の目が鋭く光る。
シュルドルは低く笑う。
「この世界を三つに分けたのは、愚かな希望を断ち切るため。“正義”“欲望”“絶望”。それらを統べる存在こそ、我だ」
「ふざけんな……!」
雷魚が叫ぶ。
「お前のせいで、どれだけの人が苦しんだと思ってんだ!」
宝魚が剣を構える。
「俺の家族を奪ったのもお前だ。覚悟しろ――!!」
「……面白い。ならば見せてみろ。お前たちの“光”とやらを」
漆黒の魔法陣が展開される。
空間そのものが裂け、災厄の嵐が吹き荒れた。
「いくぞみんなッ!!」
雷魚が叫び、仲間たちが一斉に前へ――!!
◆
――第一幕:絶望の咆哮
シュルドルの一撃は大地を割り、炎と雷が交錯する。
「《ドゥルフ》ッ!!」
雷魚の雷撃が直撃するが、魔王は笑う。
「小賢しいッ!」
宝魚が続く。
「《エーデルシュタイン》――宝剣、全解放!!」
宝石の刃が乱舞し、魔王の右腕を切り裂く。
「よくも……貴様ァ!!」
シュルドルの怒号とともに黒い魔力が爆発。
ムッシーが飛び出した。
「この神の出番じゃぁぁああ!!《アンフェルフラム》ッ!!」
地獄の業火が魔王を包む――だが、その炎さえも呑み込まれていく。
「炎が……消えてる!?」
晴魚が叫ぶ。
「“絶望の力”だ……あいつ、自分の魔力を喰ってる……!」
宝魚が歯を食いしばる。
雷魚は拳を握った。
「だったら、俺たちの全部でぶつけるしかねぇ!!」
◆
――第二幕:絆の共鳴
晴魚が杖を掲げた。
「みんなの魔力、私が繋げる!《シュヴァハ・リンク》!!」
淡い光が全員を結び、魔力がひとつになる。
ノエルが前へ進み出る。
「私の氷で時間を止める……“永氷結界”!!」
世界が一瞬、静止する。
雷魚が叫ぶ。
「行くぞ!!全員で!!」
五人+ムッシーの魔力が同時に奔る。
雷魚――《ドゥルフ・リミットブレイク》
小魚――《リインフォース・オーバー》
宝魚――《エーデルシュタイン・インフィニティ》
ムッシー――《アンフェルフラム・アルティメット》
晴魚――《シュヴァハ・コンプリート》
ノエル――《シュネーシュトルム・グレイス》
六つの魔法が螺旋を描き、天空へと昇る。
「これが……俺たちの――力だあああああッ!!」
光の奔流が魔王を貫き、黒い霧が一気に吹き飛んだ。
「馬鹿な……!この私が……!」
シュルドルの体が崩れ、黒い粒子となって消えていく。
「“光”は、いつだってお前の中にある。
それを壊せるのは……自分だけだ」
雷魚の声が、静かに響いた。
◆
――終幕:再生の朝
魔王が消えたあと、世界は光に包まれた。
荒れ果てていた大地が、ゆっくりと緑を取り戻していく。
小魚が空を見上げる。
「雷魚兄ちゃん……やった、な……」
「……ああ」
雷魚は笑った。
宝魚が剣を地面に突き立てる。
「終わったんだな……長かった……」
晴魚が涙をぬぐい、ノエルが微笑んだ。
「これが、“再生”の光……」
ムッシーが空を飛びながら言う。
「ま、ワシの神の導きがあってこそじゃな!」
「出たよ、いつものやつ!」
小魚が笑い、みんなも吹き出した。
――笑い声が、青い空に響く。
雷魚は空を見上げ、リレナからもらった“聖雪結晶”をそっと掲げた。
それが淡く輝き、風に溶けていく。
「この旅が終わっても――俺たちの絆は、消えない」
◆
――完。




