84話 絶対零度の緊張
シグザルが仲間に加わってから数週間後……………
「もうそろそろだな。」
宝魚が冒険厳密機を見つめて言う。
ヒュ~と冷たい風が吹きつける。
氷の宮殿。
魔王軍5軍王の根城。
1時間ほどあるけば氷の宮殿につく。
俺達はいま、焚火を囲って最後の5軍王討伐作戦会議をしていた。
数週間の間に俺達は約5つの町や村に寄った。
情報収集は完璧だ。
一番驚いたのは5軍王の正体はシュカルーネ王国の国王であるランスであるということ。
そして、師匠が捕まっているということ。
あのとき、ランスが師匠を呼び出していたのは殺すためだったのだと、今頃気付いたのだ。
不甲斐ない。
自分の鈍さに腹が立つ。
「絶対に負けられない。」
俺が覚悟の顔で皆を見回す。
6軍王のときとはわけが違う。
今回は色んな人の思いを背負っている。
緊張する。
緊張と吹きつける風で体が凍りそうだ。
食欲はわかなかった。
明日の激戦に備えて食事はとらなくてはならない。
でも……………まるで喉がないようだ。
いつものようなどうでもいい話をしておやすみー。
というわけにはいかない。
今夜は全員で焚火を囲って黙りこくっている。
一応、作戦を考えたのは俺。
そういうのは俺が一番向いているからだ。
重要なのは…………
「シグザル………頼むぞ」
シグザルは俺の瞳をまっすぐに見つめ。
コクとうなずいた。
「もう、話すことはない。あとは作戦通りに全員がやれたらいい。」
自分でもびっくりするほどの、低く、不安げな声が出た。
「僕もベストを尽くすよ。」
「僕はたしか、一人で突っ走らない。あくまでサポートだったむしね?守るむしよ。もう、信頼は100%むし。」
小魚とムッシーは俺を見つめる。
「連携が大事だ。たのむぞ。みんな」
「私はもう、覚悟はできてる。」
宝魚とノエルは燃え盛る焚火を見つめながら呟く。
「みんなの力で………倒す。」
晴魚はもう、おびえているようなそぶりは見せなかった。
「雷魚。あなたと出会ったからには………やり遂げなければならない。魔王軍1人倒すのは、魔王討伐とは少し離れているけれど。私は貴方についていく。」
シグザル………重要な役割だ。
もちろん、その分危険な役割でもある。
シグザルが危険な時は、俺が守る。
そう、誓った夜だった。
さらに気温が下がり、風が強くなってきた。
緊張も伴い、俺達は絶対零度の世界にいるようだった。
「もう寝るか。」
「「「うん」」」
俺達は眠りについた。
星空が輝く。
神秘的な夜に覚悟を決めたのだった。




