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三代勇者   作者: しゅーまい
シュカルーネ大陸編

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76話 幻覚の森 前編

仲間たちを殺した俺。

正直なにが起こっているかよくわからないが、こいつを倒したほうがいいというのはわかる。


「シュネーシュトルム リーズヒ」


ノエルの巨大雪だるま攻撃。

防御魔法で防ぐ。

正直、新たな敵より、攻撃が分かっているから楽だ。


「いっておくが、俺はまだ力の100分の1しかだしてないぞ?」


マジで言ってんの?


「さっき、本気で行かせてもらうとか言ってたけどかわいそうかなって」


「なめるなよ!ドゥルフ ジェアンテ!」


奴に一発当たった。

だが、まったく効いてない模様。


「やはりお前は雑魚だ。これ以上抗うのはかわいそうだから本当に本気で行かせてもらう」


奴の本気。

恐ろしく強いだろう。

でも俺は絶対に負けるわけにはいかない。


「いくぜ?」


奴は走る前のポーズをとった。

一体なにをするつもりだ?

と思ったが、一瞬で突進してきて、吹っ飛ばされた。

なるほど……………雷速か…………


「うおおお!!」


ピュン!ピュン!ピュン!ピュン!


速い………雷速なだけあって速すぎる………1秒に5回くらい突撃される…………まったく反応できない……………

どうする?俺も雷速で対抗するか?だめだ。

リスクが高すぎる。

ならどうする…………


「!?」


突然攻撃がとまった……………と思ったら気付けば仲間とともに沢山の人にかこまれている。


「「「バンザイ!バンザーイ!」」」


「魔王を倒した英雄!」


「キャー!カッコイイ!」


魔王を倒した?未来か?


そのとき、俺の声が響いた。


「これがお前の望んだ世界だ。魔王を倒し、平和な世界になった。」


「「「よかったね、雷魚」」」


みんな俺に笑いかける。

でもなんだ?なんか笑顔が変だ。

作り笑いというか……………笑顔の奥に深い怨念的な物を感じる………

なんだ?


ザザーー!!!


ノイズが走る。


次の瞬間、俺は血まみれの杖を持っていた。

なんだ?これは………………

足元には血まみれの小魚、ムッシー、宝魚、晴魚、ノエル、俺が殺したって言うのか?

小魚は起き上がって憎しみの目で見てきた。


「雷魚………兄ちゃん……………なんで………」


やめろよ……………こんなの…………

もう一度、俺の声が聞こえてきた。


「お前は力を欲しがっている。それがこの結果だ。」


俺は力を追求して、その結果がこれ?

力が暴走したってことか?

……………………確かに……あり得る。

俺は力を求めている。

魔王軍、魔王を倒すために。

力、力、力。

それが狂気に変わるのは不自然ではない。

でも俺はそんなのは嫌だ。

力は人を傷付けるためじゃなく、人を守るために使いたい。

こんなのは嫌だ。

絶対に。


ザザーー!!


またノイズ。

そしてまたさっきの平和な世界に戻ってきた。

皆俺にむかって笑いかける。

相変わらずの作り笑いだ。

みんなは笑顔をやめて、憎しみの顔をした。


「雷魚兄ちゃんは力をつかって世界を滅ぼすひどいやつだ。」


「雷魚、見損なったぜ」


「やっぱり雷魚は狂気だったむし」


「雷魚……………皆を傷付けるなんて………」


「絶対に許さない……………」


皆、俺に向かって文句をいいだした。

力を追求した結果。


「いや、みんな。俺はそんな奴じゃない。約束する。力は人を守るために使うものだ。」


と、皆にいうと、またノイズが走った。


ザザーー!!!


気がつくと、さっきまでいた森にもどっていた。

目の前には俺がたっている。


「お前は、俺とは違ったようだな。力を追求する。それだけではなく、その力を人を守るために使うのだな?」


「そうだ。」


「ふっ、そうか。ちなみに仲間を殺したっていうのは噓。お前が今見ているのはいわゆる幻覚ってやつだ。さて、これから先、絶対に力を悪用しないことを誓うか?」


と言って、拳を突き出してきた。


「ああ、誓う。」


といって俺はそいつとグータッチをかわした。


「そうか、じゃあ俺はお前についていこう。よろしくな。俺。」


そういって、ウガンダークの町で貰った指輪に吸い込まれていった。

幻覚か……………

みんなは無事かな……………取り敢えず、俺は自分自身と向き合った。

新たな成長だろう。

皆も……………無事でいろよ…………


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「なんなんだよ…………みんなとはぐれるし……………肩に乗ったムッシーが気付けば消えてるし……………」


小魚は森をさまよっていた。

しばらく歩くと、皆がいた。

雷魚、宝魚、ムッシー、晴魚、ノエル。

楽しそうに話している。


「みんな!」


小魚は夢中になって走った。

だが、


「小魚、お前……お前はもう帰れよ」


「え?」


雷魚の衝撃発言に戸惑う。

ほかのみんなをみても小魚を除け者のような顔でにらんでくる。


「小魚、ぶっちゃけお前は役立たずだ。」


あの優しい宝魚でさえ小魚を馬鹿にする。


「正直言って弱い足手まといはいらないむし」


「小魚、ごめん。でもほんとのことでしょ?」


「もう帰ったほうがいいんじゃない?」


ムッシー、晴魚、ノエルも続いて言う。

小魚はショックだった。

自覚があったからだ。

自分は弱いんじゃないかって、足手まといなんじゃないかって。


ザザー!!


ノイズが走り、小魚は気付けば海辺にいた。

水面には冷たい目つきでこっちをみる仲間たち。


ザザーー!!!


さらにノイズが走る。


「!?」


小魚は海の中にいた。

だが、水を感じない。息もできるし、目に水が入ったりはしない。

水圧も感じない。

横には……自分!?


「だれ?僕?」


もう1人の小魚は憎むように小魚を見た。


「お前は自分が足手まといだと思っている。そうだな?」


「…………………だったらなんだよ」


「お前は弱い。だが、戦闘がすべてではない。お前がいなければムッシーにも晴魚にも出会っていない。お前は知らない。自分が知らず知らずのうちに役に立っていることをな。」


「たしかに…………戦闘がすべてではない。それ以外で役に立っているってことは知らなかったわけじゃない。

でも戦いで足手まといになったらみんなが怪我する。

僕はそれが怖くて………一向に自分が役に立っているって思えない…………僕は必死だ。努力して、努力して、皆の役に立てるようになりたい。

僕は少しでもみんなの役に立ちたい。

だからみんなをかばった。

そのせいでみんなに心配かけて………………」


「お前は1人でよくしゃべるな。要するにお前は 孤独 が怖いんだな?」


「………………………そうだ」


「なら役に立って見せろ。この力で………」


もう1人の小魚は手を差し伸べた。

その手の上には光り輝く なにか がある。

小魚はそれを掴んだ。


「それは硬鋼防シュテフェルクストだ。自分でも仲間でも敵でも何もないところでも好きなところに超鋼鉄の壁を出現させることができる。

だが、硬い分、魔力の消費も激しい。気を付けるように。」


「これでみんなを守る…………」


「それにお前は自分の 敵 と向き合ったんだ。精神力もあがっただろう。」


「君は……だれなんだ?」


小魚が聞くと、もう1人の小魚はニコリと笑って言った。


「君の中に眠る……"希望"さ。」


「…………………そうか。じゃ、またね。」


「ああ、仲間を守るんだぞ………………」



小魚は気付けばさっきまでいた森にもどっていた。


「ありがとう……………僕の…希望…………」


小魚はこんな暗い森の中でも希望を抱いたのだった…………………


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「ここは………………どこむしか?」


ムッシーは気付けば1人になっていたことに戸惑う。

だが……………………


「あ、みんながいるむし」


小魚はそっちにトコトコ歩いて行ったが、


「ムッシーってさ、口だけで何もできないよね。」


雷魚が言った。

その言葉はなぜか、冗談に聞こえなかった。


「強いっちゃ強いけどさ、正直すぐ油断して足手まといだよね。」


小魚までも言いだす。

宝魚、晴魚、ノエルもムッシーの悪口をいいだす。

ムッシーは動けなかった。

まさか自分がそんな風に思われていたなんて………………


ザザーー!!


ノイズがはしる。


「ムッシー様。お客様がいらしています。」


お城?それに体が人間だ。

自分は玉座の間の王が座る椅子に座っている。

理解が追い付かない。


「ムッシー国王?」


お客様?


「あ、ああ。たのむ」


お客様というのは雷魚たちだった。


「ムッシー国王。言いたいことがあります。正直、王はやめたほうがいいのでは?以上です。」


雷魚が言った。


は?


ムッシーは理解できなかった。

大臣などは 無礼だぞ! などいうことなく、うんうんとうなずいている。


ザザーー!!


目の前にはまた皆。

しばらく悪口を言っていたが、雷魚が衝撃発言をした。


「ムッシーって、ただ利用しているだけなんだよね。」


「え?」


雷魚のその言葉で胸の奥が燃えるように熱くなった。

言葉が剣のように突き刺さる。

とっさに出たのはこれ。


「僕を………利用?ふざけるなむし!アンフェルフラム エペ」


炎の剣が無数に飛んで行った。

それが雷魚たちに突き刺さり、気付けば森にもどっていた。


「なんだったんむしか?いまのは…………でも、新技ゲットむし!これで僕はまた強く…………ワッハッハー!!」


何が起きたか理解できないムッシーだったが、また一歩、強くなったのだった。

おまけ ムッシーの解説


最後のやつですが、解説しますね。

まず、ムッシーは基本的に怖がることはなく、常に自信に満ち溢れています。雷魚と小魚は自分の 敵 に向き合って成長しましたが、ムッシーは特にこれといった弱点(敵)はないため、強さを求めるムッシーは強い技を習得して幻覚から抜け出しました。雷魚の言葉が剣になり、それがムッシーの熱い胸に突き刺さり、炎の剣に変化しました。雷魚の言葉に腹が立ったムッシーはその言葉を本能のまま雷魚たちに突き刺しました。

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