73話 シュカルーネ王国
港町を出て、しばらく歩くと大きな栄えた町が見えてきた。
「うわぁ、懐かしいなー。あれがシュカルーネ王国だよ」
ノエルがシュカルーネ王国を指差して言う。
「へぇー。あれがノエちゃんの故郷か…………」
「エルザとディーターの故郷でもあるよね」
晴魚と師匠が言う。
そして中に入った。
エルケーニ王国ほどではないが、なかは意外と栄えている。
「うわぁ、結構変わってるなー。まあ十数年前だしな。住んでたの」
なんか珍しくノエルが一番はしゃいでるな…………………
「とりえず王に会いに行ってみようか」
と俺が言うと師匠が動きをピタッと止めた。
「ん?どうしたの師匠」
「えーっとだな。雷魚……………」
なんだ?物凄く震えている………
「じつはシュカルーネ王国の王様は物凄く恐ろしいらしんだ。」
「「「え?」」」
「え?私がここにいた時の王はすごくいい人だったけど……………」
「つい最近王が変わったらしいんだ。たしか2、3週間くらい前。」
「ええ!じゃあどうするの?絶対に行ってはいけない場所なんでしょ?そこに勝手に行ったら逆に怒られるかもだし……………」
小魚のいう通りだ。
王にちゃんと会いに行くしかないだろう。
「うん。口調は気を付けるようにしよう。」
「変な動きをしていたら僕が打ちのめしてやるむし」
俺達は城に入ろうとしたが……………
「おい!おまえら!見ない顔だな。よそ者か?」
門番をしていた兵士2人が絡んできた。
「えーっと、俺達王にお会いしたいんですけど………」
と俺が言うと、兵士はさらに警戒した。
「なにをするつもりだ?」
「実は俺達、魔王軍の7軍王と6軍王を倒していてですね。シュカルーネ大陸の最北部にある氷の宮殿に向かいたいと思ってるんですよ。それの許可を取りに来たんです。」
「ふむ。あの有名な旅人か……………ちょっとまってろ」
そういって城の中に入っていった。
しばらくすると、帰ってきて
「国王様からご許可が下りた。無礼のないように接するのだぞ」
「「「はい」」」
そうして玉座の間まで案内された。
「お前たちだな。あの噂の旅人は。用件はもう聞いている。結論から言わせてもらうと……………お前たちの実力による」
「「「なるほど」」」
成人はしてないが、こう見えて俺達は魔王軍を2人倒している。
そこそこ実力はあるはずだ。
「じゃ、確かめさせてもらおう。」
「「「え?」」」
「さて、代表者は前に進み出ろ」
おいおい冗談だろ?まさか国王と勝負するのか?
一応俺が代表者だ。
俺が前に進み出ると、国王は手を前にかざし、槍を出現させた。
「遠慮はいらない。俺に一撃でも当てたら行ってもいいだろう。こっちは悪いが危害は加えさせてもらう。いいな?」
「はい!」
「ではやろう」
王は槍を構え、襲い掛かってきた。
俺はIQは低いが、バトルIQは高いほうだと思う。
俺のバトルスタイルは分析しながら反撃。
だからまずは様子見だ。
国王は槍を振り下ろしてきた。
それを冷静によける。
そのまま槍を横降りしてきたが、それもかわす。
さらに突きをしてきたが、それもよける。
よし、隙だ。
「ドゥルフ!」
かわされた。
さすが国王。
隙をつかれてもかわす。
王は槍を頭上で回し始めた。
次の瞬間、腹に激痛がはしった。
すかさず腹を見ると、水色の半透明の槍が腹を突き抜けていった。
出血はしていない。
物理ではない。
王は槍を回し続けている。
周りから、さっきの水色の半透明の槍が無数に発生し、王が持っている槍に吸い込まれていく。
俺はその半透明の槍をよけきった。
終わりかと思えば、集まった槍が合体し、巨大な槍になった。
「うわっ!」
あまり使いたくなかったが、防御魔法で防いだ。
案の定、防御魔法は破壊。
「ほう、破壊したとはいえ、防御魔法で防ぎきるか。
やるな。だが、これはどうだ!」
王は手を天井に掲げた。
すると無数の槍が出現し、こっちに飛んできた。
シンプルな攻撃だが、それが強い。
が、防御魔法ではない防御技をもっている。
「『ドゥルフ ブクリエ』!」
俺の目の前に黄色に光る、壁が出てきた。
その壁は槍を全部防ぎ切った。
「ほう。ならこれを食らってみろ」
王は槍を構え、突っ込んできた………………速い!よけれない!
シャ!
浅い音がした。
左おでこから顎まで斬撃が入った。
幸い、目には直撃してないし、のけぞったおかげで傷が浅い。
まともに食らっていたらかなり深い斬撃になっていただろう。
この王、まともじゃない。
「ほう、後遺症が残るくらい強く斬撃を入れたつもりだったが……………おもしろい。いいだろう。氷の宮殿に行くことを許可する。」
「ほんとですか!?」
「ああ、あの攻撃に反応できるのは只者じゃないからな。」
ってことはほんとに結構本気で来たんだ。
こわ。
「が、聖魔軍のシェイよ。お主はここに残ってもらう。」
「え?なんでですか?」
「色々とやりたいことがあるのだ。3日はかかるだろう。その間に雷魚たちは氷の宮殿に向かうといいだろう」
「「「わかりました」」」
「俺の名前は『ランス』だ。シュカルーネ王国のランス国王。覚えておいてくれ。」
「「「はい!」」」
「気をつけろよみんな。決して無理はしないように」
という師匠に俺たちは元気に頷いた。
「「「うん!」」」
そして俺達はシュカルーネ王国に一泊することにした。
「さすがシュカルーネ王国!!美味しそうな食べ物が沢山ある!!!」
「小魚!グズグズしてないでさっさとあれを買うむし!!」
「わかってるよ!!」
小魚とムッシーは相変わらず食べ物を爆買い。
宝魚はといえば、剣術について書かれている本を選んでいた。
剣術に目覚めてるみたいだな。
だってさっき、
"強魔剣も杖と同じ働きをするし、杖はもういらないかな"
って言って売ってたしな。
俺は相変わらずの魔導書だ。
マオの薬のこともあるし、新しい技もそろそろ覚えたいものだ。
ちなみにノエルも剣術に目覚めたらしく、宝魚と同じように杖を売り、宝魚と仲良く剣術の本を選んでいる。
晴魚も俺と一緒に魔導書を選んでいる。
それぞれ買いたい物を買って、その日を終えた…………………
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ここは、エルケーニ大陸の上空にある魔王都城の玉座の間。
小柄な真っ黒なマントを付けた青年が魔王シュルドルに跪き、報告をしていた。
「シュルドル様。どうやら雷魚一行がシュカルーネ大陸に到着した模様です。」
「そうか、あそこには5軍王がいる。ゼーベル、ウトリウルに続いてやつまで倒されたら流石にきつい……………」
そして魔王シュルドルの脳内に声が響いた。
<シュルドル様。雷魚一行がシュカルーネ王国に到着しました。どうやらこれから氷の宮殿に向かう模様です。聖魔軍はこっちで始末します。>
それに対し、シュルドルもかえした。
<ご苦労。聖魔軍は本当にお前1人で大丈夫なのだな?>
<はい、心配ご無用です。>
シュルドルはニヤリと笑い、目の前に跪く青年に言った。
「流石に今回ばかりは雷魚一行を始末できそうだ。」
「そうですか。ただ………………」
口答えする青年をにらみつけた。
「なんだ?」
「宝魚という者…………なにやら天性の才を感じます。生かしておいたほうがいいのでは?」
「そうだな…………たしかに奴は剣術にも魔法にも恵まれている。まあ、その時の気分だがな。」
「では失礼します。」
「ああ、報告ご苦労だった」
青年はひざまずいたまま魔法陣を発生させて姿を消した。
シュルドルはニヤリと笑った。
「フフフ………ようやくあの昔の勇者を連想させる雷魚一行を始末できる………………フハハ……フハハハハハ!!!!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「さて、じゃあ、氷の宮殿に向かって…………」
「「「レッツゴー!!」」」
雷魚たちはシェイが危ない目にあっているのも知らずに氷の宮殿に向かって歩き出しているのだった。
おまけ
よーっす!小魚!質問したいんだけどいい?
「ん?うん。いいよ」
小魚の一番好きな食べ物ってなに?
「えー、そんなもの決められないけど…………まあイタリアン系が好きかなー」
まじか……………なんか思ってたんと違う!
「あー、おなか減ってきた。ピザも食べたいし、あとナポリタンも…………」
あー、えっと、じゃ!また!
「えー、まってよー」
小魚は食べ物を語りだすと止まらないんだわ!助けてくれー




