132話 修行の準備
「う……」
「目ぇ覚めたか。」
あれ?ガオナは?知らない声だ…………
目を開けると、天井だった。
俺は…………ガオナと外で戦ってたよな…………?
上半身だけを起こし、周りを見回す。
「うひゃっ!?」
茶髪で黄緑に光る目をした男性がいた。
「だ、誰!?」
「俺はキャリックだ。」
キャリック……?どこかで聞いたことあるような……って、えぇ!?
「も、もしや、聖魔軍3軍王の!?」
「そうだ。」
「な、なんでキャリックさんがここに?」
「落ち着け。そして聞け。」
「あ、はい。」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺は東の大陸の任務を聖魔軍1軍王のアオイさんに任されて偵察にきていた。
今日で偵察2日目。
あまり屋外に出ないほうがいいと住民に言われていたので、昨日はあまり外出はしなかったが、今日からは本格的に外を探索しようと思う。
「えーっと………怪しい場所は…………ん!?」
そのとき、強大な魔力を感じた。
今まで感じた中で5本指に入るくらい強大だ。
だが、かなり遠い。
だが、行かないわけにはいかない。
俺は全速力でそこへ向かった。
ついたらそこは、見るからに強い者と複数の冒険者と思われる子供がいた。
よく見るとその子供達は雷魚一行だ。
「うわっ、キャリックだ…………お前を相手するのは流石に面倒だ………クソ、こいつら殺しときたかったんだけどな………」
そう言って、強者は消えた。
俺は雷魚たちをこの大陸の首都、ゲハーツェン王国まで魔法陣で運んだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あれ………意識はあったんだけど……気付いたら意識飛んでたか………
「ありがとうございます。」
「礼はいい。それよりお前達、この王国の王が呼んでいたぞ。動けるようになったら来てくれって。」
「なんでしょうか…………?」
「それは知らん。」
「そういえば、他の皆は?」
「他の奴らはもう動けるようになってるそうだ。以外と軽傷だったらしい。」
そういえば、俺だけあの岩の攻撃を食らって…………
「お前、顔面陥没までいってたらしいぞ。そんで、治癒屋の人が全力で治癒してくれてた。お前の為に魔力を全部消費したんだとさ。」
すごいな………まさかそこまでしてくれるなんて………ありがたすぎる。
―――・・・―――
次の日、この日も治癒屋の人が全魔力を消費して治癒魔法をかけてもらい、なんと入院して2日で退院した。
皆とはもう会っている。
昨夜、皆が俺に会いに来てくれ、完治したことを伝えに来てくれた。
俺が完治するまで王には会いに行かないことにしたが、普通に今からいく。
俺が完治したからね。
玉座の間にくると、ルイーネ王と思われる人物がいた。
「よく来てくれたな。雷魚よ。」
「はい、それで、用っていうのはなんでしょう?」
「お主らをもっと強い”勇者”に育て上げるため、修行用のダンジョンを用意したのだ。」
「「「え!?」」」
「そこでもっと修行を積んでもらいたい。」
めちゃくちゃ丁度いい!!今の俺達にピッタリすぎる!
「是非やらせてください!」
「ああ、そう言ってくれると嬉しいよ。」
「ちょっとまて雷魚。もうちょと詳しく聞こうぜ?」
宝魚が言った。
「それもそうだな。」
「では、詳しく話すとしよう。まず、そこは”禁忌死域”と呼ばれている場所で、非常に危険だ。全部で10層で、凶暴な魔物はもちろん、罠も仕掛けてある。奥に進むごとに攻略が難しくなってくる。」
つまり、めちゃくちゃ危険ってことか……今の俺達じゃ、力不足じゃないか?
「そこは三代勇者も行った場所でな。」
「「「!?」」」
「勇者育成のためだけに造られたと言っても過言ではない所なのだ。」
「ちょ、ちょっと待ってください!僕たち勇者でもなんでもない………あ、でも一応フェテンの子孫か………」
「安心するがよい。禁忌死域は勇者以外でも可能性のある者を育てる。その可能性のある者というのが君たちと言うわけだ。」
可能性のある者…………たしかに、俺達は魔王を倒す。というのを目標にしている。
すでに魔王軍は4人も倒している。
「だが、魔王が復活したことにより、以前より魔物が強くなっている。さらにはこの我、王でさえも法律により4層までしか行けない。そんな危ない所に突然連れていくわけにはいかない。そこでだ。君たちの師匠を用意した。」
「「「え!?」」」
もしかして師匠きちゃう!?シェイきちゃう!?
「紹介しよう。トゲートだ。」
違いました。
横から老人が言った。
「ワシが、今回君たちを特訓するように言われている、トゲートじゃ。」
老人だが、侮れない。
常人ではないオーラを放っている。
「あいつ……シェイより強いむし……」
「マジ!?」
ノエルが驚く。
「飽くまで僕の勘むしけど。」
―――・・・―――
そういうわけで、トゲートと特訓をすることになった。
「よっ」
「あ、キャリックさん!」
「なんか特訓に付き合えとか言われてよ。まぁ、めんどいから見守っといてやる。」
ちなみにここは俺達のためだけに造られた修行場らしい。
優れた固有魔法を持った人がいるなぁ…………
それほど広いというわけでもない。
だが、すごい。
本当にすごい。
「さて、まずは力を見極めなければならん。全員でかかってくるといい。もちろん。遠慮はなしじゃ。」
「え?いいんですか?」
晴魚がきくが、トゲートは余裕の笑みで言う。
「余裕じゃ。」
「それじゃあ遠慮なしに………行きます…………よ!!」
俺が雷杖を持って襲い掛かるが、トゲートに振り下ろそうとした雷杖がとてつもなく遅く見えた。
いや、遅いのだ。
「はっ!」
「ゴハッ…………」
ドゴオオオオ!!!
腹に手刀をくらい、吹っ飛ばされた。
「アンフェルフラム エペ!」
次はムッシーが魔法を飛ばすが、やはり、トゲートの近くにくると遅くなる。
トゲートは軽々かわしてムッシーに近寄った。
ムッシーは大きく後ろに飛び下がろうとしたが、なんとムッシーの動きまで遅くなった。
「お前は悪いが手加減する。」
トゲートは手首だけを使ってムッシーに手刀を入れ、吹っ飛ばす。
「剣舞・炎 削炎焔!!」
トゲートはどこかから取り出したフレイルで宝魚の剣舞・炎をはじいた。
「えっ……」
宝魚はもう一度剣を振り下ろすが、やはりスロー。
宝魚は接近戦では勝ち目がないとわかり、離れる。
宝魚が離れようとするとき、フレイルで攻撃してきたが、宝魚はスローだが、ギリギリでかわす。
「どうする?」
ノエルが皆にきいた。
「多分、トゲートに近づいたら動きが遅くなっちゃうんだよ」
と言った晴魚に小魚がいった。
「じゃあ、スローになっても速く動ける技がいいよね」
ノエルも言った。
「もしくは、スローになるのも関係ないくらい莫大な攻撃範囲の技か。」
「「「うーん……」」」
宝魚が言った。
「とりあえず、スピードに全振りした魔法を撃とう。」
「「「うん。」」」
「エーデルシュタイン シュネル!」
「シュネーシュトルム シュネル!」
「ベーゼトゥーテン・速!」
「ベーゼトゥーテン・隼
ノエル、宝魚は速さに特化した魔法、小魚は新技の速度に特化したベーゼトゥーテン、そして晴魚は最速の動物、ハヤブサ型のベーゼトゥーテンを放った。
さっきよりは何倍も速かったが、単純な動体視力でトゲートに全てはじかれてしまった。
「ほれほれ!もっとこい!」
「噓でしょ……」
「これで無理ならもう無理だよ…………」
「なんだ。もう終わりか。まだまだ課題があるな。」
トゲートはゆっくり近づいてくると
ドゴオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!
気づけば全員吹っ飛ばされてノックアウト。
―――・・・―――
戦いが終わって早々、反省点を言われる。
「まず雷魚、初手のスピード。先手必勝と言われるし、悪くなかったが、もう少し様子見をしろ。」
「はい。」
「ムッシー。実力は悪くないが、単純に反応速度をもう少しあげろ。」
「はいむし。」
「……………………まあ後は言うことなしだ。強いて言うならもう少し判断を速くしろ。ワシはお前らが作戦会議してるとき、ずっと待ってたんだからな。本物の敵ならとっくに襲い掛かっておる。」
「「「はい。」」」
「では、本格的に修行といこうか。」
ここからが地獄の始まりだった……………………




