131話 各地の動き
「皆の衆!噂で聞いた者も多数いるだろう。半年前、魔王が復活し、魔王軍の勢力が大幅に増加した。だが、そこで現れた救世主こそが雷魚一行である。雷魚一行は人々の依頼をこなしながら、すでに魔王軍を半壊させている。」
ここは南の大陸の首都、ゲハーツェン王国。
ゲハーツェン王国の王、ルイーネ王が国民にこれからの活動について話している。
「我々、ゲハーツェン民は古くから可能性のある者を育ててきた。三代勇者は全員、あの禁忌死域を攻略している。そして今!三代勇者と同じような逸材が現れたのだ。我々のやる事は1つ!!雷魚一行をさらに強い”勇者”にするために活動するのだ!!!!」
「「「おおおおおおおおー!!!!!!!」」」
「国民たちよ!雷魚一行をもてなせるように準備するのだ!!そして情報屋よ!雷魚一行は今どこでなにをしているのかを探るのだ!道具屋よ!雷魚一行が満足できる防具や物をそろえておくのだ!!」
「「「おおおおおおおおおおー!!!!!!!!」」」
指示を終えたルイーネ王は満足した顔で城に戻った。
大臣のアウスはルイーネ王に尋ねた。
「ルイーネ王、我々家臣はどうしたら?」
「うむ、それを今から伝えるところだ。皆を会議室に集めろ。」
「はい、畏まりました。」
―――・・・―――
「皆、集まったな。では話すとしよう。我々は南の大陸で高戦闘力を持った者の寄せ集め。あの”禁忌死域”に入れるのは我々のみだ。ただし、あそこには10層作りになっているが、我々は法律により、4層までしか入ってはだめだ。それほど危ないということだ。いきなりあそこに挑ませるのではさすがの雷魚一行でも敵わないだろう。だから訓練士が必要だ。」
ルイーネ王は会議に出席している老人をみた。
それに気付き、その老人は頷いて言った。
「私がお引き受けいたしましょう。」
「ああ、よろしく頼む。トゲート。」
ルイーネ王は続けた。
「では次だ。雷魚一行がそもそも南の大陸に来ないかもしれない。雷魚一行を迎えに行く係も必要だ。これはワープ魔法を唯一扱える大臣のアウスに任せたい。」
「お任せください。」
「さて、残りの者は禁忌死域の下見や勉強をしもらいたい。魔王の封印が解かれた今、禁忌死域にも影響があるかもしれない。たった1つの判断を間違えたら死ぬような場所だ。しっかり準備を整えてくれ。」
「「「はっ!!」」」
こうして会議は終わった。
「さて、ワシも禁忌死域を下見にいこうかな。」
「お供いたします。国王。」
アウスが言うが、ルイーネ王は断った。
「いや、いい。」
「ですが……」
「禁忌死域は罠もある。2人より1人のほうが罠にかかりにくいだろう?それに4層までは大丈夫のはずだ。いざって時にはこれもある。」
ルイーネ王は、鳥の形をしたネックレスを見せた。
「………………そうですか……では、気を付けてくださいね。」
「あぁ、いってくる」
「いってらっしゃいませ。」
―――・・・―――
禁忌死域の洞窟の前にきたルイーネ王。
「ふむ、久々にきたな…」
ルイーネ王は慎重に探索を進めた。
「………む!!」
ガキン!!!
物陰からモグラの魔獣、土竜牙が飛び出してきたが、ルイーネ王は気配を感じ取り、持っていたクナイで土竜牙を吹き飛ばした。
だが、土竜牙はすぐに体制を立て直して牙を向けて走ってきた。
「はっ!はっ!」
クナイ二刀流で土竜牙の連続攻撃を防ぐが、これじゃ、一行に勝負が終わらない。
「仕方ない。あまり使いたくないが……………くらえ!十文字!!」
ルイーネ王がクナイを横と縦、同時に振るうと、距離が届かないはずの土竜牙の体に傷が入っていた。
「ヒュン!?」
土竜牙はビビッて逃げ出した。
「ふう。前ここに来た時よりも魔物が強くなってるな……だがまだ1層目だ。ここは奥に進むごとに広くなり、魔物が強くなる。さらには罠も分かりにくく、殺傷能力が高いものになってくる。4層まで行くつもりだったが………厳しいかもしれんな。」
ルイーネ王はブツブツ言いながら奥に進んだ。
2層目~
「一文字!!」
グシャ!!
巨狂熊を真っ二つにする。
「よし。」
―――・・・―――
結局、3層目までしか行かなかった。
魔王が封印から解き放たれたからか、魔物が非常に強くなっていたのだ。
「帰られましたか。ルイーネ王。無事で何よりです。」
アウスが出迎える。
「あぁ、だが、今までよりも魔物が強くなっている。ワシももう年だ。3層目までしかいけなかった。」
「そうですか……」
―――・・・―――
次の日……
情報屋、道具屋、家臣などは、雷魚一行の来国に備えてせっせと働いている。
ルイーネ王はそれを見回っていた。
「準備は順調のようだな。」
「ところでルイーネ王、これで何度目になるか分かりませんが、本当に私が大臣兼、近衛兵でいいのですか?」
「あぁ、学校も一緒だっただろう?」
「はい。あのときは先輩と呼んでいましたよね。」
「はっはっは!そうだな。先輩……懐かしい響きだ。後輩よ。」
「はははははは!!やめてくださいよ!」
―――・・・―――
「うむ、順調だ。この調子で精心するよう、皆に伝えてやってくれ。」
「はい。」
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魔王都城にて…………
「なに!?雷魚一行がレーゲルの洞窟に入ったり出たりしている!?」
監視係のバングの報告に魔王シュルドルは驚きを隠せない。
「雷魚達にレーゲルまでもが味方に付いたら終わりだ。絶対に阻止しろ!」
というシュルドルにバングは困って言う。
「具体的に何をすれば………?」
「ううむ………言われてみれば確かに…………まあいい。味方についたところでレーゲルが浮かれてるところを暗殺でもすればいいだろう。」
「はい、ではこの後の動きを確認します」
「ああ、任せたぞ」
―――・・・―――
後日………
「ふむ………?レーゲルの反応は洞窟深部から動いていないのか……そして、雷魚一行はどうなったのだ?」
「はい、雷魚一行は船を出しました。方角的に東の大陸、ズースイト大陸に向かっているのではないかと。」
「あそこは元々シオンが侵略していたが………あの忌々しいラウデタイトとやらのせいでガオナの物になってしまった………ラウデタイトがいきなり”ガオナを魔神官に入れてやってほしい”と言うもんだから迷ったが、力はたしかだ。だから魔神官にいれてやった。」
「お優しいのですね。」
「フハハハハハ!!!そうだな。で、雷魚一行は魔神官のガオナに勝てるわけがないと。」
「どうします?たしか雷魚は死んじゃいけないんじゃありませんでした?」
「そうだ。だが、東の大陸に魔力探知を全集中させてみろ」
「は、はい……………………ん!?聖魔軍が東の大陸にいる!?」
「そうだ。その聖魔軍が雷魚達を助けるだろう。少なくとも、4軍王以上の魔力量とみた。さすがのガオナも消耗するだろう。そして、ガオナは消耗を恐れて退散する。」
「さすがの読みです!」
「だろ!?っと、そうじゃなくて、シオンを呼んでこい。」
「はっ!」
しばらくするとシオンがクッキーと紅茶を持って魔王の前に現れた。
「ふぇっ!?本当にシュルドル様だったの!?」
「は?なぜ我じゃないと思った?」
「い、いえ!バングに嫌がらせをされたのかと!申し訳ありめせん!あ、嚙んだ、申し訳ありません!」
シオンは急いでクッキーと紅茶を魔法ポケットにしまった。
「はぁ、ちゃんとしろ。さて、要件だが、雷魚一行が東の大陸に行くそうだ。」
「本当ですか!?」
「お前も行け。と命令するわけじゃない。」
「そうですか…………」
肩を落とすシオン。
「我はお前にききたいことがあるのだ。」
「なんでしょうか?」
「お前、東の大陸をもう一度支配したいか?」
「うーん…………確かに、東の大陸での生活も悪くありませんでしたけど、今のほうが楽です。」
「つまり、今のままがいいと?」
「はい。」
「そうか、分かった。作戦を練りたかっただけだ。もう下がっていいぞ。」
「はい!失礼しました!」
シオンは魔法陣に入って去った。
「さて、じゃあ作戦を練ろうか…………」




