124話 悪城決戦 その5
「くらえ!」
「ふん!」
ガキン!!
「シュネーシュトルム!!」
「く…」
攻撃を防ぐ、そして反撃する。
これだけで勝てる。
簡単……………に………
「これならどうだ?」
簡単………………………に…………
ブシャッ!!
「うああぁ!!」
まさか………………鱗を飛ばしてくるなんて…………しかも切れ味が半端じゃない。
止血にも時間がかかる……………
「くらえ!」
また鱗を飛ばしてくる。
「く………シュネーシュトルム シルト!」
雪の壁で防ぐ。
「ふむ、ノエルよ。もうそろそろおわらせるぞ?」
また消えた………でも気配を探れる……
後ろ!
「シュネーシュトルム!」
!?……………いない………?
ドッ……
「こほっ………」
なんで……………なんでそこにいるの?
後ろに気配を感じたのに………私の勘違いか…………それとも私が動いた瞬間に向こうも移動した…………
手強い……………………
「ふふふ………お前も中々の強者だな。」
そう言ってシレーヌははまた消えた…………どうしよう………裏の裏をかこう……
後ろに気配……
私は後ろを振り向く。
そしてまた後ろを向く。
これなら……………
「!!」
ズシャ!
「く……」
爪でひっかかれた…………でも傷口は浅い。
後ろの後ろの後ろに移動した…………ってこと?
あぁ、もう!どうしたらいいのかわかんない!
「シュネーシュトルム ヴィンド!!」
これは本来吹雪が発生する魔法だけど……海で発生させれば………アイツの移動の妨害になるかもしれない……………
「ふむ……っ!!これはまずい………」
シレーヌがボソッと呟く。
まずい?
なんかアイツにとってまずいことでもしたの?
そんな覚えはないんだけど……………でも水流が激しくてシレーヌは戸惑ってる。
私はこの技の被害はうけない。
よし!
「剣舞・氷 手凍斬!!」
手と剣の柄を凍らせて剣が飛んでいかないようにし……………
「シュネーシュトルム!!」
シュネーシュトルムで水を切り開く!
あんまり意味はないけど、そのあんまりで威力があがるならやる!!
なるべく強く、速く、
「はああぁぁぁ!!!!」
ブッシャ!!!!!
「ぐあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「ハァ、ハァ…………」
よし、かなり深い傷を与えた。
「くそ…………もうここまでか……………おまえ、強いな。どうせなら教えてやろう。俺は水のわずかな動きでも感知することができる。だからお前の動きを水の流れや揺らぎで予想していたんだ。」
通りで瞬間移動のようなことができてたわけね……………そして吹雪で水流を発生させることによって相手の動きが先読みできなくなった…………………ってことか…………
「早々に能力を見抜くなんて…………さすがだ。」
まぁ、シュネーシュトルム ヴィンドを発動させて勝ったのはたまたまなんだけどね………
「ぐふ…………じゃ、じゃあな。強者。」
そう言ってシレーヌは紫の霧に包まれて消えていった。
それにしてもこんなにバトルIQを使ったのは初めてだな……………これで雷魚にも近づけたかな…………
ってあれ?これどうやって帰るの!?
―――――――――――――――――――――――――――――
「や、やめて!!はなして!!」
「まあそう暴れんなって、晴魚。」
皆が消えたと思ったら突然壁に大の字の体制で張り付けられてた…………目の前にいるのはバデン。
「な、なにが目的?」
「お前は厄介だ。ベーゼトゥーテン・改という技を使えたり、さらには3代目勇者がつかっていたベーゼトゥーテン・竜を完成させる逸材というではないか。だから殺す。」
「はっ!?」
「と、思ったが、殺す前に少々遊ぼうかとおもった。」
「遊ぶ…………どういうこと!?」
「まぁ、そのうち分かる」
遊ぶってもしかして…………いや、ただの…………遊びだよね……………?
バデンは奥の暗いほうへ歩いて行った。
今がチャンス……………
そう思って暴れるが、まったくとれる気配がない。
しばらくするとバデンが戻ってきた。
片手に巨大なバッグを持っている。
「さあ、遊ぼうか」
「な、なにをするの?」
と言う私を無視してバデンは言った。
「選ばせてやろう。どの薬を飲むか」
薬………?
「おまえ、貧乳だな。」
「う、うるさい!」
「この巨乳になる薬。」
は!?なにそれ!?
「性欲が10倍になる薬」
これは流石に論外……………
「大人の体になれる薬。」
な………なにそれ…………
「どれかだ。選べ。」
「ちょ、なにいってんの!?サイテーなんだけど!?エッチな目的でしょ!!絶対!」
「そんなことはない。」
「…………………」
ど、どうしよう………
「30秒時間をやろう。制限時間以内に選ばなければ全部飲ませる」
はぁ!?こいつサイテーなんだけど!まじで!!ちょ、やばいやばい…………助けとかこない?こんなときアニメなら”私がきた”って感じで助けがくるんだけど…………
「10、9、8、7、」
やばい…………一番ましなのは巨乳になるってやつ…………
「5、4、」
ほ、ホントに助けこないの?
「3、」
「あぁぁ!!わかった!じゃあ巨乳になるやつ!!」
「わかった。」
そう言ってバデンは私の口に薬を押し込んできた。
これ、副作用で死ぬとかないよね…………?
ゴクン
吞み込んじゃった……………
「うぐ…!」
なに!?
体が………震える…………魔力があふれ出して………
「うわっ!」
胸が大きくなってる…………
「ほほぉ!効き目は本当にあるようだな」
え?もしかして私実験台にされてた?
この薬使うの私が初めて!?
っていうかもしかして私薬物乱用!?
「さて、これは実物なのか…………」
「ちょ、ちょっと!?」
バデンが私の胸を触ってきた。
「ふむ、本物だ。」
こいつ………きもい……………
「悪いな晴魚。実験台になってもらった。さて、もう用済みだ。死ね。」
バアン!!!
「!?!?」
バデンはバッグから銃をだし、私に命中させた。
バアン!!!バアン!!
「ぐはっ……」
心臓、肝臓、脳。
的確に急所を狙って………
「よし、死んだな。」
バデンは銃を地面に投げ捨て、玉座の間に戻っていった。
ちなみにここは悪城の端っこの部屋、拷問室だ。
晴魚は死んだ。
バデンはそう思い込んでいるが、重要なことを忘れている。
そう、治癒固有魔法である。
―――――――――――――――――――――――――――――
「さてと」
玉座の間に戻ったバデンは、各状況を整理しようとしていた。
「えーっと………雷魚は……生存!?小魚生存…………ムッシー生存………宝魚生存…………ノエル生存…………………全員………………生存ってこと……………なのか………?うそだろ?」
1人くらいは始末できると思っていた。
「まぁ、晴魚は始末できたし、いいか。」
バデンは足を組んで言った。
「部下じゃ始末できないのなら俺が始末すればいい。さぁ、集まれ、雷魚たちよ!バスルン!」
バデンが唱えると、玉座の間の入口付近に巨大な魔法陣が発生した。
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「!?」
―――――――――――――――――――――――――――――
「!?」
―――――――――――――――――――――――――――――
「!?」
―――――――――――――――――――――――――――――
「!?」
―――――――――――――――――――――――――――――
「!?」
―――――――――――――――――――――――――――――
雷魚、小魚、宝魚、ムッシー、ノエル。
全員が同じ場所、玉座の間にワープさせられた。
目の前のバデンに気づいて全員が叫ぶ。
「「「バデン!!」」」
と叫んだところでようやく全員集合していることに気づく。
「「「!!!!!!」」」
―――――――――――――――――――――――――――――
全員生存している。
宝魚、小魚、ノエル、ムッシー、そしてこの俺、雷魚。
この場にいるのはこの5人。
皆も俺とおなじく敵を倒したんだ。
「無事でよかった!」
小魚が言う。
まぁ、結構無事じゃない傷を負っている人もいるけど………………
そこで俺は気づく。
晴魚は?
「あれ?晴魚は?」
小魚がきく。
それにバデンが応えた。
「晴魚は俺が殺しといた。」
「「「!?」」」
晴魚だけバデンが相手だったのか?
まじ………かよ…………
「おいおい、大事なことを忘れてるぜ。」
と宝魚が言う。
「は?何言ってんだお前?」
バデンは意味がわかってないが、俺達はピンときた。
治癒固有魔法だ。
もう少しすれば回復してここに向かってくる。
だが…………治癒固有魔法には回数制限がある。
そこだけ心配だ。
だが今は目の前の状況に集中だ。
「さあ、決着だ!!」




