117話 VSゴリーユ 後編
「水流斬撃」
「ふん!」
やはり防がれるか…………
「宝魚、あのときどうやって切ったんだ?」
と俺がきくと言った。
「いやぁ、あれは落下補正があったわけで……………」
あぁ、なるほどね。
「いくよ小魚!!」
「うん」
お、ベーゼトゥーテン・竜を撃つようだ。
もしゴリーユが魔王軍5軍王よりも強いなら完全体のベーゼトゥーテン・竜が撃てる。
「「ベーゼトゥーテン・竜!!」」
「グオオオオオオオオオオオ!!!!」
そのとき、ゴリーユは片腕の再生を完了し、両腕で耐えきった。
どうやら完全体になれなかったらしい。
「ドゥルフ シュフルーファスト!!」
真正面から突っ込めばまた顔をつかまれる。
左右に飛び回り、相手を混乱させてから…………
「オラ!!」
スカッ………
「あ…………」
ドオオオオオオオオオオオン!!!!!
「ぐはっ」
「「「雷魚!」」」
くそっ、あんな図体してるくせに動きが速い。
しかも腹パンだけで…………
「ゴハッ………」
吐血するとは………………………
巨体、動きが速い、再生する、攻撃を見切るのがうまい、怪力。
あまりにもチートすぎる。
「雷魚、むやみに突っ込んでも反撃を食らうだけだ。ここはみんなで力をあわせよう!!」
宝魚が言う。
「宝魚……」
小魚はなぜかジーンとしている。
まぁいい。
宝魚の言う通りだ。
「わかった。」
「作戦は頼むぜ、リーダー。」
「おう!」
「雷魚を守ろう!」
「「「おっけー」」」
みんなで俺を守る形になった。
これでゆっくり作戦を考えれる。
さて、どうしようか?
まず、総攻撃はだめだ。
不完全体とはいえ、ベーゼトゥーテン・竜を防ぎきれる防御力。
恐ろしい。
だが、防御力が高い分、攻撃を食らったとき、奴はめちゃくちゃ痛そうにしていた。
だから、まず腕を切り落とすなど、高ダメージをたたき出す必要がある。
大師匠の解放魔法………………撃ってもらうか……?
いや、解放魔法は危険だ。
普通の魔法連発で魔力切れを起こしても何ともなく、少し違和感があるだけだが、解放魔法で魔力切れを起こすと、眩暈や呼吸困難などの症状が現れる。
じゃあどうやって大打撃を与えるか…………うーん………………
ドオオオオオオオオオオオ!!!!!!!
「カハッ………」
ノエルが腹パンを食らった。
そして吐血。
まずい…………みた感じ晴魚も肩に打撃を食らっている。
消耗していっている…………時間は無限にあるわけじゃないんだ。
なんならもう俺の解放魔法でぶっ倒そうか?
俺なら別に…………
「ふははははははは!!!!!実は俺は反律連合で3番目に強いんだよな。そしてプルプは一番弱い。」
え?え?うっそでしょ?
もしかしてまだ本気出してないパターン?
「本気でいくぜ?」
\(^o^)/オワタ
バアアアアアアアアアアアアアン!!!
バアアアアアアアアアアアアアン!!!
バアアアアアアアアアアアアアン!!!
バアアアアアアアアアアアアアン!!!
小魚、晴魚、宝魚、ノエルが吹っ飛ばされる。
ムッシーは当たり判定が小さくて運良く吹っ飛ばされていなかった。
「雷魚、作戦思いついたむし?」
ムッシーがきいてくるが、俺は首を横に振る。
「水流斬撃 瞬尖殺!」
ブシャッ!!!!!!
「グオオオオオオ!?!?」
おぉ!!大師匠のおかげで切断とまではいかないがかなり深い傷がはいった!
「ここで総攻撃だ!!ドゥルフ グランド!!」
「アンフェルフラム ラージ!!」
だが、ダメージの影響で4人は魔法を出せなかった。
俺は総攻撃だ!
と言った時にムッシーに目で訴えかけた。
傷口をねらえ。
と。
ドゥルフ グランドとアンフェルフラム ラージは狙い通り、大師匠がつけた傷に命中。
「グアアアアアアア!!!!………………………っていうとでも思ったか?」
「「「なに!?」」」
バアアアアアアン!!!!!
パンチではムッシーに当たりにくいからデコピンでムッシーは吹っ飛ばされた。
「ぐはははははは!!!!馬鹿だなぁ、」
ビチッ!!
「「「!?!?」」」
再生が速い!!
「くっ、水流斬撃 連斬乱!!」
大師匠が数で押し切ろうとする。
「くくく、実はこんなこともできるんだぜ?グオオオオオオ!!!!!!!」
ゴリーユは巨大な口を開き、叫び始めた。
その咆哮で水流斬撃はかき消されてしまった。
「うっそ!?」
大師匠は驚愕する。
「ふはははは!!!グオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!」
うるっさ!!
くそ、魔法学校のペペパタージュを思い出す………………
「そろそろしまいだ。」
次の瞬間、ゴリーユは俺の目の前に現れ、俺の首に手刀を狙う………
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!
「!!!!!」
気づけば目の前に大師匠がおり、ゴリーユの手刀を食らっていた。
バアアアアアアアアアアアアアン!!!!
大師匠は吹っ飛ばされ、地面にたたきつけられた。
大師匠が…………戦闘不能に……
「ぐはははははは!!!!!馬鹿だな!」
いまの手刀を食らって無事だとは思えない。
くそっ!!!
こうなったらもう…………
「雷速…………」
バアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!
「いってぇ………」
と言ったのはゴリーユではなく俺。
頭が痛い。
もちろんゴリーユの体に激突したからだ。
「おっと、いまのは悪くない威力だった。だがいったはずだ。真正面から突っ込んでくるのは馬鹿だってな!!!」
バアアアアアアアアアアアアアン!!!!!
「く………」
そして俺は意識が遠のいて行った。
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まずい…………雷魚までも戦闘不能になっちまった。
ムッシーはデコピンで気絶、大師匠も首に手刀を食らって気絶、雷魚もぶん殴られ、気絶。
希望があるこの3人がダウンしちまった…………意識があるメンバーの中で俺が一番強い。
「宝魚、どうする?」
小魚が俺にきいてくる。
が、わかるわけない。
ちなみに治癒固有魔法は出血量が多ければ発動する。
つまり、打撃では治癒固有魔法は発動しないのだ。
まぁ、打撃でも大量出血してれば発動するけど………
「剣舞・氷 冷空裂!!」
ノエルが空気を切り裂いて突っ込むが、ゴリーユが拳を突き出す。
すごい勢いで突っ込んだノエルは止まれず、拳に激突した。
「う………」
気絶した……!!
「ふぅ、賭けにでて正解だったぜ」
「ノエちゃん!!」
「グオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!」
「「「うわっ」」」
耳を塞ぐ。
くそ…………うるさすぎる…………
く………突っ込んでくる…………俺と小魚は辛うじて飛び、ゴリーユから距離をとったが、晴魚が逃げ遅れた。
バアアアアアアアアアアアアアン!!
「う………………」
晴魚も気絶!!
俺と小魚だけになっちまった!!
これはもう………どうすることも……………
「宝魚、がんばるぞ!」
「小魚………」
こんな状況でも諦めないのか………すごいな。
………………………負けてられない!!
「エーデルシュタイン ゼーリエ!!!」
「ベーゼトゥーテン!!!」
もう剣舞・炎は無理だ。
自爆技。
遠距離から攻撃するしかない。
「どうした?痛くも痒くも……………はあるけどダメージが低いぜ?グオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!」
うわぁ!!!
くそぉ………この咆哮が強すぎる…………
そしてまたゴリーユは突っ込んでくる。
俺は耳を塞いでいる手をはなし、小魚を抱えて遠くにジャンプした。
キィィィィン!!!!!!
「ぐあぁ!!」
うるさすぎる…………
でも、なんとか2人とも無事だ。
「ありがとう、宝魚」
「いいぜ、それより、遠距離はもう無駄だ。」
「じゃあ、剣舞・炎で突っ込むの?」
「あぁ、それしかない。」
「そっか………」
小魚は一瞬不安な顔をしたが、すぐに言った。
「僕、後ろから硬鋼防で援護するよ」
「そうか、ありがたい!よし、いくぞ!!」
そうして俺は突っ込む。
もちろん、無策ではない。
真正面から突っ込むのは馬鹿。
それはもう十分分かっている。
ゴリーユの腕に触れるギリギリで方向転換、攻撃をよけてから足に剣を振る。
「く………」
やっぱり固い……切れない…………
「ふん!!」
ガアン!!
小魚の硬鋼防でパンチを逃れる。
だが………バキン!!!
「「えぇ!?」」
まじか!!割りやがった!!
だが、パンチのインパクトから4秒後くらいだったから俺は違うところに移動している。
「すばしっこいな。」
「剣舞・炎 削炎焔!!!!!!」
足に全力の振り下ろしを叩き込む。
ブシャッ!!
「!!!!」
刃が通った。
だが浅い!
するとゴリーユは突然走りだした。
逃げたのではない。
小魚を狙いにいったのだ!!
小魚はゴリーユの連続パンチを防ごうとするが素早い連打に押されている。
バアアアアアアアアアアアアアン!!
「ぐはっ」
「小魚!!!」
俺はまたゴリーユの相手をする。
しばらく時間稼ぎができたが………
「しねぇ!!!」
バアアアアアアアアアアアアアン!!!!!
痛…くない?
「!!!!」
小魚が………かばってくれた……
ゴリーユは笑みを浮かべて小魚を地面にたたきつけた。
そして……
「くらえぇ!!!オラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」
連続パンチをもろにくらった小魚。
「小魚!!!!!」
「ふははははははは!!!!!!!!」
ゴリーユは勝利を確信し、寝転がった。
宝魚は言った。
「お前さぁ…………不快だなぁ。ヴィルに裏切られてよぉ、いきなりやってきてよぉ、小魚に励ましてもらってよぉ、仲間たちをボコボコにしてよぉ。悲しみにくれてるっていうのにさぁ…………」
俺は悲しかった。
皆にはなるべくバレないようにしていた。
テントでは皆がいたから泣けなかった。
そして今日、宿だから、1人だから泣けた。
悲しみを発散したかった。
「でもよぉ、お前が来たせいで、全然悲しみが取れないんだけどぉ!!!!!」
「何の話をしてるんだ?お前は」
「分からんだろーなー!!!!!!お前には俺の気持ちが!!!ゴミカスゴリラ君!!!悪いけど死んでほしーなぁぁ!!!!!」
宝魚は両手にエネルギーをため始めた。
ゴゴゴゴゴゴゴ………
普通ではないエネルギーにゴリーユは立ち上がり、構えた。
その両手のエネルギーは弓矢の形に変化した。
右手には弓、左手には矢をもっていた。
大量の魔力と炎をまとった弓矢を構える宝魚。
「お……おぉ?なんだそれ?」
「さぁ、ゴリラ君!!!!死んでもらおうかぁぁぁ!!!!!!!!」
バアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!
くる!!
そう、ゴリーユが感じとったときには大量の魔力と炎をまとった矢は、胸を貫通していた。
「ぐはっ……」
ゴリーユは大量の血を吐いて倒れた。
「死んじまったわぁぁ!!!!!ごめんなぁ!!!!!!俺が強すぎたなぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
宝魚の大声はツビンダー王国に響き渡った。




