108話 ツビンダー王国へ………
「どうぞ」
とシェフが出してくれた料理を見て宝魚は目を輝かす。
「うまそぉ!」
「美味しそうでしょ?私もお願いできますか?」
「ええ、すぐにお持ちいたします」
どうやらほんとにヴィルも食べるようだ。
先に食べるわけにはいかないので、ヴィルの料理をまった。
「どうぞ」
「よし、たべよう。いただきます!」
「そうだね。いただきます」
そして出てきた料理を食べた。
めちゃくちゃおいしく感じた。
いや、美味しいんだろうけど久々の食事で手が止まらなかった。
ようやく止まったのは……………
「はい、あーん」
とヴィルがスプーンをこっちにむけたときだ。
え?いきなり?
でもヴィルは結構本気の顔…………
てかこのスプーンさっきまでヴィルが使ってたやつだよね?
間接キスってこと!?
まあ、でも断ることはできず。
「あむ」
食べた。
「ウフフ………」
常時顔を赤らめている。
かわいい……………
ノエルはガールフレンドでヴィルは彼女………………いやいや、早まるな。
現実はこんな甘くないのだ。
この世はブラックコーヒー。
なろう主人公みたいにモテモテになんかなれない。
うん。
「ラブラブだな」
ミットが言う。
「ミ、ミット様!?いつからそこに?」
「え?さっきからここにいたけど」
周りが見えてないだと!?
(ちょっと宝魚に気を取られすぎて気付かなかったです…………)
ヴィルは宝魚に好意を寄せているのだった。
―――・・・―――
食事を終えた俺は、ヴィルとミットに別れを告げた。
「なにからなにまでありがとうございます。では、もういきますね」
「うん。気を付けるんだぞ」
とミットは言うが、ヴィルはプルプルしていた。
「ミット様。」
「ん?」
するとヴィルはミットになにかを囁いた。
そしてミットはしばらく俯いて、うん。
と頷いた。
するとヴィルの顔がパァ!と明るくなって俺の隣に来た。
「宝魚、これからよろしくね!」
「え?もしかして俺についてくる?」
「うん!」
まじか!
「宝魚、許してくれ。ヴィルは最近ちょっと働きすぎだと思うんだ。連れて行ってくれないか?」
多分、適当な理由だろう。
ヴィルが俺といっしょにいたいだけなのでは?
でもさすがにこの笑みは無視できない。
守りたい、この笑顔。
ってやつだ。
「いいですよ。引き受けます!」
「やったぁ!」
ヴィルはめちゃくちゃはしゃいでいる。
「あ、手を出すのは……………まぁ、ヴィルがいいっていうんならいい。ってか宝魚って何歳だ?」
「えっと…………17歳です」
「あ………じゃあ手出すのはなしで」
「はい。」
さすがに手を出すことはない。
だがなぜかヴィルがガッカリしていた。
「じゃあ、いってらっしゃい!」
「「いってきます!」」
ミットに見送られてツビンダー王国に出発した。
―――・・・―――
ツビンダー王国に歩きだしてしばらくたった。
「あ」
魔物だ。
俺が剣を抜こうとしたのだが、ヴィルが自信満々に言う。
「ここは私にまかせて。」
たしかに、ここでヴィルの実力を確認しておきたい。
ちなみに相手は魔豚族。
強くも弱くもないかな。
ヴィルが手を前に出すと、水色のキラキラしたものが出現。
そのラメのようなものは超巨大な大剣の形になり、それが具現化。
ヴィルは体に似合わないめちゃくちゃでかい剣を持っていた。
いまのは魔法ポケットから物をだすエフェクト(?)だ。
多分、大剣を魔法ポケットにしまっておいて戦闘時のみだして戦うのだろう。
「ふん!」
ズシャ!!
ヴィルの大剣は気づけばオークの体を切断していた。
「グオオ…………」
オークは紫の霧に包まれてきえた。
「す、すごい…………」
「ふふん!」
ヴィルが手を腰にあてて威張る。
「ヴィルの固有魔法ってなんなの?」
「えっと、私の固有魔法は武器浮軽扱っていう武器を軽くするんだよ」
「なるほどね。だからこんな大剣も扱えるのか」
ヴィルは大剣を魔法ポケットにしまいながらきいた。
「宝魚の固有魔法は?」
「俺は鋼宝石飛っていう固有魔法で、生み出した宝石を飛ばすんだ。」
「へー。でも大体剣使うでしょ?」
「うん、まあね」
この出来事でヴィルはめちゃくちゃ強いってことを確信した。
―――・・・―――
その夜…………
「おやすみ、ヴィル」
「おやすみ」
俺達は洞穴で一夜を越そうとした。
「宝魚、手を出さなくてもいいの?」
「うん。さすがにそんなことはしないよ」
「そっか…………」
やっぱりどこか悲しそうだ。
まあ、どんな態度をとっても俺はそんなことはしない。
次の日…………
俺達は順調にツビンダー王国に近づいて行った。
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「いいよ、乗っていきな」
「ありがとうございます!」
「いやいや、聖魔軍の1軍王 アオイさんもいるからな。乗せないわけにはいかないさ。」
ノエルとムッシー、そしてアオイは港町でなんとか船に乗せてもらった。
そしてツビンダー王国に一番近い港町に降ろしてもらった。
「「「ありがとうございました」」」
「ああ、いい旅を!」
親切な人がいて助かった。
「よし、このままツビンダー王国にいこう!」
「「おー!」」
私を先頭に歩き出す。
アオイさんが先頭だったら道に迷うからね。
常識になりつつあるけどアオイさん方向音痴だし。
冒険厳密機はあの町にあるのなら取りに行きたいけど……………多分、ジオかバデンに取られてるか……………それともバッキバキにされてるか。
まあ、とりあえず全員が合流できたらいいや。
ってことで勘を頼りにツビンダー王国にむかって歩き出した。
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遺跡を脱出した小魚と晴魚はツビンダー王国にいく途中にある町に滞在していた。
栄えているから、情報も集まるだろう。
「すみません。ツビンダー大陸の地図もってませんか?」
「あ、ごめんね。もってないんだよ」
「そうですか…………」
どこにいったらいいのか、方角がわからないから地図が欲しい。
僕たちは、地図を持っている人を探しているんだが、これで18人目。
みんな冒険厳密機を持ってるから紙の地図はないのだろう。
無理もない。
「ショップにでもいこうか」
「そうだね」
ショップならあるかもしれない。
「あ!」
あった。
しかもかなり安い。
だが、この時気付いた。
僕たちお金もってない!!!!
そういえばお金は全部雷魚兄ちゃんがもってるんだ。
アオイさんならもってるかもしれないけど…………
どうしよう…………
「よし、方角分かったからいこっか」
「え?」
「え……?」
うわ!考えすぎた!
たしかに僕らは方角が知りたかっただけでどうしても地図が欲しかったわけじゃない。
晴魚、頭が柔らかい!
いや、僕が硬すぎるだけか。
ということで僕たちはツビンダー王国にむかって歩き出した。
地図を見た感じ、ツビンダー王国までかなり近い。
30分くらいあるいたらつくだろう。
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魔王都城~
「こんにちは、魔王シュルドル。久しぶりですね。」
魔王城に客がきていた。
「お前は……………ラウデタイト…」
シオンに占領させていた東の大陸をラウデタイトに無理やり奪われて、シュルドルはラウデタイトを憎んでいた。
ちなみにシオンは部下たちがいる豪邸でのんびり過ごしている。
用事があるときのみ働いてもらう。
なぜラウデタイトはいまごろ魔王城にきたのだろうか?
「なんのようだ?」
「伝えたいことがあるのですよ」
「伝えたいこと?」
「はい。」
「なんだ?いってみろ」
ラウデタイトは顔を上げて話し始めた。
「……………………なんだと?」
話を聞き終えたシュルドルは信じられない。
という表情でラウデタイトを睨む。
「事実ですよ」
「なぜお前がそんな情報を知っている?」
「それは企業秘密です」
「………………………証拠は?」
ラウデタイトは赤い液体が入った瓶を取り出した。
「これは雷魚の血液です。」
「ほほう……………では預かっておく。あとで調べておこう」
「はい、では失礼」
そう言ってラウデタイトは消えた。
「奴がいったことが事実なら………………………我々の動きは大きく変わることになる」
シュルドルは雷魚の血液を調べ始めたのだった。




