103話 大穴の戦い
ツビンダー大陸にある大穴。
そこは、半径1000mもある。
中に入った者は帰ってこなかったという。
俺は単純に何があるのかが気になる。
だが、本当の目的はライルトを説得するため。
いま、イフリートとアプサラスとハーピーとエルスト、そして俺が大穴の目の前にいる。
「間違いない、この大穴から微かにライストの気配がする。ライルトはここに入った。」
「いくか…………」
俺達は大穴に飛び込んだ_______
「お、ようやくお目覚めか………」
気づけばうつ伏せになっていた。
俺は念のため、空中浮遊魔法を唱える準備をしていたのだが、なぜか気づけば着地していたのだ。
「おい、起きてるんだろ?立ち上がれよ」
この声は……………まさか……
俺は立ち上がった。
目の前にいたのは…………
「ライルト………」
だが…………気配が違う。
さっきは希望はないが、夢はある、絶望している勇者を表現するような気配だったが、いまはその夢は完全に消え去っていた。
気配だけで分かる。
憎しみ、喜び、怒り、楽しみ、+感情と-感情が混じった歪んだ感情だ。
というかここは……………大穴の底なのか?
暗すぎてよく見えないが、屋敷のように見える。
「英雄精霊たちはどうした?」
ライルトがきく
そうだ!みんなは…………
<<<ガオナ、ここだ!>>>
皆の声が脳内で響く。
これは意思会話。
ここだって言われてもどこだ?
「!?」
上だ。
上でカプセルに入れられている。
声が聞こえないわけだ。
「アトリバーインパクト!!」
カプセルにむかって攻撃するが、ビクともしない。
「くそっ、なら…………」
俺は剣を抜き、カプセルに全力で剣を振ったが、
「ガキン!!」
くそ、切れない……………
「無駄だ。それは”ラウデタイト”様が作ったカプセルなのだからな」
ラウデタイト?誰だそれ?
「ラウデタイトは私です」
コツコツと足音を立てて現れたのは見るからに上級の魔法使い。
ラウデタイトの持つ杖はとても不思議なものだった。
杖の柄は大きく翼を広げた鳥の形になっていて、その周りに赤、青、黄、緑、紫、白の6つの小さなオーブが回っている。
「さて、ガオナさん。いくつか質問に答えてもらいます。」
「あんたは何者なんだ?」
ときく俺を無視してラウデタイトは質問をしてきた。
「さて、まず、あなたは固有魔法を持ちませんか?」
「ああ、もってない」
「使える魔法は炎、水、風、岩、雷の5種類ですか?」
「そうだ」
「あなたは精霊王の生まれ変わりですか?」
「それはわからない。でも……………多分、そうだ」
「ライルトをどうしたいですか?」
「いま、ライルトはどういう状態になっているのかわからないけど、この世を汚したくない。この世を守るために、俺はライルトを説得して契約しにきた。」
「では最後、イフリート、アプサラス、ハーピー、エルストを助けたいですか?」
「助けたいに決まっている」
「ならば、私を倒してみなさい!!」
は?
いやいや、まずこいつが誰なのかを……………
ドゴッ……………
バアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!
杖の柄で腹を叩かれ、壁に激突した。
なんていう威力……………
「ゴホッ……………」
吐血…………人生で吐血なんて初めてだ……………
手加減はできない。
あのライルトが”ラウデタイト様”と呼ぶくらいだ。
強いに決まっている。
「アトリバーインパクト!!」
バアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!
ラウデタイトに確実に直撃したはずなのに……………まったくひるまず歩み寄ってくる…………
「くそっ!!アトリバーインパクト!!!!アトリバーインパクト!!!!!」
「クハハハハハ!!!無駄ですよ。」
う、うそだろ……………
「さて、あなたが精霊王の生まれ変わりですか。いいように使わせてもらいますよ?」
ラウデタイトの杖の小さな6つのオーブが光り輝く。
そのなかで紫がよりいっそう強い光を発した。
「ブハッ………………」
気づけば、口、鼻、目から血が出ていた。
「え?………」
吐血、鼻血、涙血。
「毒ですよ。」
毒!?オーブを光らせるだけでこんな強力な毒を……………
「ボハッ………」
だめだ…………吐血も鼻血も涙血も止まらない……………
「見苦しいですね。ライルト、殺して差し上げなさい」
「はい、さあ、死ねガオナ!!」
ライルトが発生させた雷はどす黒い紫だった。
手に雷撃をためて、
バアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!
「ぐああああぁぁぁ!!!!!」
くらった。
だが、俺はこんな簡単に死ぬわけじゃない。
血が止まった。
「悪いなぁ……………こんな簡単に倒れる男じゃないんだよ……………」
自分でも驚くくらいガラガラの声だった。
まあ無理やり蘇生したみたいな感じだからな。
新能力。
それは強魔蘇生。
強い魔力を捻り出すと一時的に命を取り留める。
そう、”一時的に”だ。
だが、その一時的は約10分とすこし長く、魔力をひねり出すことで通常のステータスを3倍にできる。
ブオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!
自分の魔力がうるさい。
「ふむ、ならばこちらも……………」
ラウデタイトの白いオーブが強く光る。
地面から大量の巨大な白い尖った物体が飛び出してきた。
だが、俺は高く飛び上がってよける。
『ついでに』カプセルを破壊する。
「フェルス」
バアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!
「なんだって!?」
ラウデタイトがめちゃくちゃ焦る。
そしてラウデタイトとライルトにむかって撃つ。
「アトリバーインパクト!!」
「ぐあああああぁぁぁぁぁ!!!!」
ラウデタイトの悲鳴かと思ったが、ライルトの悲鳴だった。
ラウデタイトは今の攻撃を食らってなお傷一つついていない。
どんな威力でも攻撃を通さないなにかがあるのだろうか?
「「「ガオナ!!!」」」
英雄精霊のみんなが駆け寄ってくる。
「みんな、俺は大丈夫だ。戦いに巻き込まれないように召喚の間にいてくれ」
というとみんなは頷き、消えた。
召喚の間は、契約者に召喚される前に来る場所。
精霊自身からいくこともできる。
そこからは契約者の今起きてる出来事を見ることができる。
さらに精霊界と人間界の境目で精霊以外は来ることができない。
そこなら安全だ。
「ライルトを一発で気絶させてしまうとはね。さすがです。」
「お前は焦ってないな。」
「ええ、私は絶対に攻撃を食らいませんから。」
絶対か。
まあ、努力はしてみよう。
「精霊ノ力」
新能力。
アトリバーインパクトよりも威力が高い精霊王のみ使うことができる技だ。
もう俺は10分たてば死ぬ。
だから俺の力を全て出すことができる。
そしてその精霊ノ力でも奴には効かない。
「最後の力を振り絞っているんでしょう?もうしばらくするとあなたは死ぬ。ですが私のいうことを聞けばまだ生きることができます。」
いったい何を企んでいるのかわからないが、俺はこいつの言いなりになるつもりはない。
「あなたは私にダメージを与えることができない。攻撃するだけ無駄です。」
そうだな。
でもやれることはやってみたいだろ?
俺は10分間、ずっと高火力技をこいつに撃ち続ける。
死ぬまで……………………




