99話 水の精霊 アプサラス
「ところでこれからどこに向かうのだ?ガオナ」
イフリートが訪ねてくる。
イフリートと契約してからしてからしばらく歩いているが、行先はいってない。
「まあ、行ってからのお楽しみだ」
これからどこに行くか言ったら怒るだろうな…………
だって行先は底なし湖なのだから。
ちなみにイフリートが睨むだけで魔物はみんな逃げて行って戦闘になることはなかった。
楽なことだ。
「むむむ………遅い!じれったい!」
いきなりイフリートが叫ぶ。
「ガオナ。俺は飛べる。お前が行こうとしているところなんぞひとっ飛びだぞ。いきさきを教えろ」
えー……………しかたないな
「底なし湖だよ」
「なに!?あそこは俺のライバルの水の精霊、アプサラスがいるところではないか!」
うん、なると思った。
「そんなとこ、俺はいかん!」
プイッとなっちゃった。
「じゃあ、お前はここで待ってるといい。」
「ああ、一人でいけばいいさ!」
と強がるのでほんとにおいていこうと思う。
「じゃ」
当たり前のようにイフリートを置いて歩き出す。
しばらくイフリートも意地を張っていたが、
「ちょ、ちょっとほんとに行くのか?」
「え?いかないって思ったの?」
「い、いや!いけばいい!」
「あっそ」
「………………………ちょ、ちょっとまってくれー!」
結局付いてくるイフリートだった。
またしばらく歩いたが、
「あー!もういい!」
とイフリートが叫んで俺を炎で包んだ。
熱くはない。
みるみるうちに景色が変わっていき、気づけば目の前には底なし湖があった。
「ふん。アプサラスと会うのは気が進まんが、ガオナに絶対服従だからな。」
こいつさてはツンデレか。
「っというか、アプサラスと契約するためにここに来たのか?」
「まあ、そうなるな。俺は底なし湖に絶対なにかあると思うんだ。そしたらこの水をどうにかしなきゃだろ?この量の水をどうにかできるのはアプサラスしかいないし」
「ふん!好きにするがいい!」
ということでアプサラスと契約を結びたいと思う。
だがどうやってやろうか?
うーん……………あ、そうだ。
「イフリート、ちょっと力を貸してくれないか?」
「ん?なんだ?」
「ごにょごにょごにょ」
「なに!?なんで俺がそんなことを言わなければならないのだ!」
「絶対服従だ!」
「ぐぬぬ…………」
ふふふ、反論しても意味がないというのに。
イフリートは大きく息を吸い、叫んだ。
「アプサラス!!このイフリート様が来てやったぞ!姿を現したらどうだ!俺は相性が不良なのにお前を超えたぞ!!」
すると、底なし湖からブクブクと泡が上ってき、渦巻きが発生して、そこから美しい青髪の女性がでてきた。
「なんだって!?私を超えた!?そんなわけないでしょうが!」
下半身には白いローブのようなものがまかれてあって足はない。
いや、かくれてるだけであるのかもしれない。
宙に浮いている。
上半身は貝殻のみ。
別に下心とかはないんだけどなんかいいな……………
決して下心とかはない!
「だまれ!俺は言わされたんだ!ガオナに!」
「ガオナ?誰のことをいってるんだ!」
「こいつだ!見えんのか?老けてきたのか?老眼か?」
「だまれ!!誰がおばさんじゃ!」
なんかめちゃくちゃ口喧嘩し始めた。
「ちょいちょいちょーい!!確かに俺がイフリートに言わせた!イフリートは悪くないんだよ」
なんとか仲裁したが、やはりこの2人は仲が悪いみたいだ。
「っというか、イフリート。お前が人間のいう事を聞くとは、何の真似だ?」
「ああ…………そのことだが………………………」
とイフリートがこれまでのことを話した。
「なんだって?つまり世界が危機的状況にあるってこと?」
「そういうことだ」
なんかそういうことにされてる。
「馬鹿なのか?イフリート。」
「なに!!」
「そのお前が言っている代々受け継がれてきた書物、同じようなことを書かれた書物を炎の精霊の他に、水の精霊、風の精霊、雷の精霊、大地の精霊にも代々受け継がれてきているのだぞ」
「え?」
え?そうだったんだ。
ってことは、もしかして俺、英雄精霊全員と契約できちゃったりする?
アプサラスがいった5つの精霊は英雄精霊。
まず、炎の精霊は、草魔物騒動の英雄。
そして水の精霊は炎魔物騒動の英雄。
風の精霊、雷の精霊、大地の精霊は、三代勇者とともに魔王を倒したと言われている。
「っというかあんた、炎魔物騒動の時はよくもやってくれたね。まだゆるしてないぞ」
「い、いや、俺は悪くない!」
「黙れ!お前がストレス発散で魔力を爆発させたせいでその魔力で炎系の魔物が大量発生したんだろうが!全員倒すのにどれだけ苦労したことか……………」
そうか、それは苦労人だな。
一応、イフリートは悪ではある。
「そんなことより…………ガオナといったか。この私、アプサラスは貴方様の契約者になることを誓います。」
勝手に契約できるって思いこんでやがる。
「そうだな。その代わり、イフリートと同じように友達関係ってことでね。」
「え?ほんと?」
「ああ、堅苦しいのは嫌いだからさ。」
「じゃあ…………ちょっと失礼。」
アプサラスは俺の手の甲にあるイフリートとの契約の証の上に印をつけた。
今回は痛くなかった。
「な、こいつ、俺の契約の印の上に…………」
と言うイフリートを無視してアプサラスは言った。
「じゃ、これからよろしく」
「ああ、よろしく」
「ガオナは私と契約するためにきたの?」
そうだ、本題に入ろう。
「アプサラスってこの底なし湖の底、見たことある?」
ときくと、アプサラスは自慢げにこたえた。
「もちろんあるさ。80㎞も下だけどね!フフフハハハハハ!!!」
まったく、なにが面白いのやら。
「なにかあった?」
「いいや、何もなかったね。」
なんだ、無駄足か。
「ガオナの旅の目的ってなんなんだ?」
ときくアプサラスに俺はこたえた。
「まあ、俺が固有魔法を持たずに生まれた訳と、俺自身の謎を研究するため…………かな。」
「なるほど。それは私も気になるところだ。」
「じゃあ、常時俺と一緒にいてね」
「え?」
「うん」
「う、うん!」
イフリートと反応にてるなこいつ。
そこでイフリートが言った。
「ところで、次はどこに行くんだ?」
「そうだな………………」
決めてなかったな…………………どうしよっか?
「全ての英雄精霊と契約を結んだほうがいいのではないか?」
イフリートはどうやら俺を英雄精霊全員と契約させようとしているようだ。
ちなみに、精霊は英雄精霊のほかにも属性はいっぱいいる。
なかには属性をもたないものもいる。
いや、半分が属性をもたない精霊だ。
その属性を持たない精霊は、聖なる光線が撃てる。
無属性とはちがって属性をもつ精霊はかなり強い。
精霊の半分は属性持ちの精霊を羨ましく思っている。
「そういえば西南西にある島に風の精霊、雷の精霊、大地の精霊がいるってきいたことがある。」
とアプサラスが呟くと、俺は顔を上げて言った。
「まじか!三点セットじゃん。」
よし、次の目的地が決まった。
「よし、イフリート、アプサラス。次は西南西の島へいこう!」
「うむ。ガオナがいうのならいってやろう。」
「いいよ、契約しちゃったからにはついていくしかないっしょ!」
「よし、いくか!」
っということで、俺は水の精霊 アプサラスと契約を結び、次の目的地にむかうのだった。




