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夢中

掲載日:2023/12/15


「ここは……」


『ここは夢の中です』


 頭の中に不思議な声がとどいた。優しい声だった。


『何を探しにきたの』


 そう言われて、初めて目をひらいた。今まで目を開けることを忘れていた。

 ふわふわしている。意識だけあるような感覚。


「なんだろう」


 そう言って、何かを探そうとして、手があることに気づいた。

 手があることに気づくと、腕があることに気づいた。

 手を伸ばしても、周りは白い空間だけでした。


『動かないの』


 僕はそこで、足に気づいた。

 地面に力をいれると、軽く煙のように立ち上がれた。そのまま宙に浮かべそうだ。

 歩いてみる。

 でも、ここには何もない。


『上を見ないの』


 僕は翼があることに気づいた。

 羽ばたくことなくエレベーターのように上がった。浮遊感もない。まるで水中にいる気分だ。空気の膜に包まれているような。


「何もない」


『何でそう思うの』


 だって、何もないから。

 ただの白い空間だよ。


『そこで、あなたは成長したよ』


 僕は時間が動いていることに気づいた。




 目覚ましの音で、目を覚ました。

 何かあったような、何もなかったような。

 忘れているのは――――

 時計の針を見る。遅刻の時間だった。

 今日も何もないつまらない日だ。記憶にも残らない。


 僕は手を伸ばして、時計の音を止めた。

 布団から足を出した。

 顔をこすり、カバンを取って、リビングに降りた。


「お母さん、なんで起こしてくれないの」


「んー、気持ちよさそうに寝てたから。寝る子は育つって」


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― 新着の感想 ―
[一言] 幻想的な夢ですね。
2023/12/28 14:21 退会済み
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