ピッコロさんと二人で歩くのは気まずいんですけども
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私はピッコロさんに連れられて、細い路地を歩いた。
背後で私の緊張を察したのか「安心しなよ。客人に手を出したりしない」と、後ろも見ずにピッコロはボソッと告げた。
とりあえず危害は加えないんだ。
「この毛皮を着て、ハデス像の前で立っててって言われただけなのに」
怖すぎてついて来ちゃったけど、なんでこんなことになっちゃってるんだろう。
「コンシリエーレ以外、そんな毛皮が誰も持ってない」
「でもこれ知り合いが貸してくれただけなんです。コンシリなんとかという人のじゃないと思います」
もしかしてハデス像の角に立ってても誰も近づいてこなかったのはそう言うことなの?
一般客の男の人も近づかなかったこの毛皮ってってマフィアのものだから?
「そうか…」
「そうか…」って!?
会話切られちゃったんですけど!?
「……」
「……」
…聞きにくい。
…気まずい。
ジメジメとした裏路地を静かに歩き、ピッコロさんの革靴と私の吐きなれてないヒールの音しか聞こえない静かな時間が流れた。
「あ、あの!実は私こんな格好だけど、一般人で、像の前で商人さんを待ってただけなんです!」
「そうか…」
そ、う、か、やめて!
私は心が折れそうになったけど、頑張って続けた。
「そのコンシリっていう人もロレンツォさんっていう人も、どちらも初耳で聞いた事ない方です」
「誰か知りたいのか?」
その時初めてピッコロさんは真顔で振り返った。
余計な事を聞いた怒りの顔でも、自分達の情報に首を突っ込まれた挑発の顔でもない。
当然自分の知り合いの事を聞かれた笑顔でもない。
真面目な顔つき。
ただ、それが一番怖い。
「いえ、知りたくないです。もう、大丈夫です」
マジョルカはHPがマイナスな上、今心が折れました。
それから私は何も言わず、何も聞かず。
魂が抜けたように、ただただピッコロさんの後について行った。
「着いた。ここだ」
気がつくと寂れたドアの前にいた。
どこかの店の勝手口のようで、潰れた段ボールやタバコの吸い殻が落ちていた。
ドラム缶に麻袋が突っ込まれていた。
そこから赤黒い大きなシミがついていた。
血なの?
血なんですか?
何が入ってるんですか?
「入らないのか?」
「いいえ!入ります!入らせてください!」
私は慌ててドアを開けて中に入った。
すると、そこには裸電球に照らされた使い古しの丸テーブルと、簡素な椅子が数脚あった。
その風景に似合わない、存在が一つ。
真っ白いスーツを着た男の子が、口の前で手を組んで座っていた。
ピッコロさん、なんかしゃべって…。
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