表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/193

2 —24

 そしてマキヨ嬢は。


 わたしがベルドと外に出された後に目が覚めた。曰く、結構寝てた。詳しく言えば、次の日の朝に起きたそうだ。ベルドもそうだったし、わたしが起こしても起きなかったからね。村に到着して動きっぱなしだったし、薬打たれたの夜だから仕方ないね。


 起きてからお風呂と朝ごはんを用意され、エンデナ嬢にもろもろを説明された。置いていかれたことについてはマキヨ嬢を守るためと聞いたら、怒るに怒れなかったらしい。暇だし、印章探しを眺めていた。


 ヴェリテたちはベルドがセットしていったペンダントトップに朝日を当て、その光の先を追いかけていたそうだ。


 ところが光が集まったところには何もない。


『お日様を一日追いかけていたから、少し面白かったわ』


 ヴェリテたちは必死なんだけどねぇ。お日様を追いかける発想が面白かったらしい。


 日が沈み、マキヨ嬢は触れることを許された本を読んでいた。アストロの護衛をしていたマットが戻って来て、ベルドから懐中電灯を渡されたと報告した。


『マキヨ嬢、何か思い当たることはありますか』


 そんなこと言われても。そう思いながら、マキヨ嬢はその淡い光を放つ懐中電灯を眺めた。


 ふと、手元の本で読んだことを思い出した。ネックレスのペンダントトップについた、あの宝石。太陽の意味があると。代々伝わる宝石だと書いてあった。

 そもそも『太陽の光』が教えてくれると言ってない。ベルドもそうだ。光が当たれば、と言っているのだ。太陽は宝石のことであって、リアル太陽の光、関係なくないと思ったそうだ。


 マキヨ嬢は許可を取って椅子に座らせてもらった。ベルドなら何を考えただろう。懐中電灯を渡した意味があるはずだ。

 印章は、封蝋に使う。封蝋なんて今はレアだけど、ご先祖様は使っていたに違いない。なら、わざわざ太陽の光を集めないと出てこないようなところには置かない。夜に使いたくなったらどうするのだ。

 しかもそれが緊急事態で、さぁ押すぞということになったら、あまりややこしいところには置くと大変だ。真上からぽとりと落ちてこないかしらとも考えたらしいが、うっかり落として壊したら一大事だ。

 つまり。机の上が一番いい。


 マキヨ嬢は手元に近いところに向くように台座をセットした。懐中電灯で光を当てる。うまく光が集まらなかったので、光を調節する。

 うん、何も変わらなかった。


 そこでマキヨ嬢は、ベルドが紋章を見ていたとヴェリテが話していたことを思い出した。紋章はマキヨ嬢が光を当てたところからそう離れていない。紋章に向けて光が集まるよう、調整してみた。


 すると机の上の、ちょうどマキヨ嬢が手を置いていたところに、すーと穴が現れた。蓋がスライド式で、光が紋章に集まると開く仕組みだったようだ。そこには印章が収まっていた。

 ヴェリテが複雑な顔をしたのは言うまでもない。


 とはいえ、ベルドも言っていた通り、印章のある部屋を教えられたヴェリテが次期領主なのは以前から決まっていたようなものだ。いずれ見つかっただろうしと一生懸命フォローして、エンデナ嬢からの援護射撃とマットの応援により、ようやくヴェリテ自身が認める流れとなったらしい。


「私はまだ頼りない領主かもしれない。だがアストロもいる。いい部下たちもいる。一所懸命、皆に尽くさせてもらう!」


 なかなか声に力がある。わぁっと盛り上がる人々。大歓迎なのは間違いない。いい領主様になるといいね。

 ちなみにアストロはそれでいいのか、と思ったんだけど、どうやら彼は出世欲がないみたい。私は向いてないと苦笑いしていた。


「……戻りましょうか」


 マキヨ嬢がそっと後ずさって歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ