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真横に位置する扉のノブを回す。鍵がかかっているらしく、彼は持っていた鍵を一つずつ試していった。かちゃりと音が鳴り、扉が開く。隣の部屋もまた豪華な部屋だった。ベッドがありソファが置いてある。
「鍵はかかっていたけど、誰かがここで暮らしているらしい。ここの人に助けを求めようとしたんだろう」
なるほどなと、ベルドは扉を閉めて鍵をかけた。鍵束を眺め、今度は鏡台の引き出しの鍵に挑戦している。
マキヨ嬢は退屈そうに、鏡台の椅子に腰掛けた。足をぶらぶらさせている。
「他には?」
「凶器がない」
左側の引き出しを開けて、今度は中央の引き出しの鍵を探すベルド。マキヨ嬢の後ろから覗き込むようにして、鍵を試している。マキヨ嬢は確実に邪魔だが注意はしないようだ。
「凶器は開いてる窓から捨ててしまったんじゃないかしら」
「そうかもしれない。あの窓のせいで死後大体どれくらいかも分からないし、迷惑な窓だな」
わたしには分からないけれど、部屋の中は相当寒いらしかった。暖炉もついてないしね。ベルドもマキヨ嬢もしっかり今は着込んでいる。
中央の引き出しにも何もなかったらしい。右側の少し大きな物入れには謎の物体が多数入っていたが、関わりあるものはなかったようだ。早々に見切ると今度は暖炉側の棚に取り掛かっている。
こちらは飾り棚のようで、ガラスの扉がついている。中には宝石箱のようなものが見える。
ベルドは棚の扉に手をかけて、おやと言った。
「鍵が開いてる」
「大したものが入ってない鏡台の引き出しには、鍵が全部かかってるのに」
一番上の宝石箱を持ち上げた。ひょいと開いた宝石箱の中には……!
見えない。ベルドの持ってる高さじゃ見えないのだ。わたしはぴょんぴょん飛び跳ねた。見せてって言っても相手には聞こえないんだし。
「ネックレスが一つ、足りないな」
「不自然に空いてるものね」
「最初からなかったんだろうか」
わたしは小さなクッションの乗った台に飛び乗った。おぉ、見えた。なるほど。開けると二段になる仕掛けの宝石箱。四角い区画に区切られた宝石箱の中に、指輪が綺麗に整列している。わたしはつま先立ちで一段目を見た。細長く三つに区切られた一段目、二つの区画には細いネックレスが入っているけど、一つが空だ。
丁寧に宝石箱を戻すベルド。そして他の宝石箱を開けようとする。こちらは鍵がかかっていた。
「何か持って行かれていて、その目的のものは一つだったようだ。そういえば、クローゼットでこれを拾ったんだが」
ベルドがポケットから取り出したのは、暗い色のブローチだった。百合の花の細工がしてある。
「これがさっきの宝石箱に入ってたのかしら」
「違うんじゃないか。この細工はさっきの隙間には入らない。押し込んでも蓋が閉まらないだろうな」
「そう言われてみればそうね」
どうやら、とベルドはわたしの方を見た。え、わたし?




