2 — 4
次の来客はレイストだった。部屋を見回しながら入ってくる。
「まさか家に来るとはな」
「君の叔父様に尋ねたら、ベルドに直接話してくれと言われてね。館に伺いましょうかと申し出たら、ベルドの家は別にあると言われてねぇ?」
「それは期待はずれで申し訳ない」
そんなことないですよとレイストは少し嬉しそうに笑った。
「コーヒーを入れるから座っててくれ」
レイストはリビングのソファに腰掛ける。動揺収まらないマキヨ嬢が向かいにちょこんと座った。ふと、レイストはわたしの方を振り返った。
「あのぬいぐるみ、大事にしてくださっているのですねぇ」
「え、えぇ。可愛いので」
「え? そうですか?」
わざわざソファから立ち上がり、わたしに手を伸ばすレイスト。何気ない感じでわたしの身体を掴み上げる。
「おや、服を作ったんですか?」
汚れるからね。依頼して作ってもらったんだよね。今は夏だから、毛が暑苦しいというのもあるし。半袖のシャツとスカート作ってもらった。
「おや、背中にファスナーが」
わたしを丸洗いする時、音のする機械を出さないと洗えないからさ。ファスナーつけてもらったんだよ。
レイストは何気なくベルドが座っていた椅子の隣の椅子を見た。
「おや、ここにもぬいぐるみが」
丸洗いしている間のわたしの仮住まいに買ったやつ。動くことは動くけど、声は出ない。あと動かしづらいんだよね。結局、洗濯している間は幽霊のまま走り回ってるんだけど。黒服の女の子が家の中をうろうろしているのは慣れないらしく、たまにマキヨ嬢を驚かせる。最近、ベルドも見える時があるようで、ベルドも驚く。
それはさておき。レイストに掴まれたわたしはぬいぐるみらしく力を抜いていた。わたしはぬいぐるみ、わたしはぬいぐるみ。
「ぬいぐるみお好きなんですか? マキヨさん」
「そういうわけでも、なかったんですけど、その子は気に入って」
へぇとレイストはわたしを見て、目を細めた。
「これは売れないと思っていたんですがねぇ。鳴りますか? まだ」
これは……。打ち合わせしておけばよかったかなぁ。こんな風につっつかれるなんて思ってなかったもん。マキヨ嬢は少々迷ったように答えた。
「たまに、気まぐれに鳴ります」
「へぇ。外で迷惑になりませんか?」
「だ、大丈夫、ですが」
ふぅんとレイストはわたしの首に手をかけた。
「このぬいぐるみ、何かあるんですか?」
ひっ。どうしてそう思うの!
「少々妙ですよね」
今日はどうしてこんななの!




