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わたしはソファに座ってしょんぼりしていた。向かいでは、コートを着たマキヨ嬢が優雅な仕草でお茶を飲んでいる。羨ましいけど、わたしは幽霊なのでお茶は飲めない。


 あーあ。せっかく転生したと思ったのになぁ。何が楽しくて死んだ女の幽霊に転生したのか。こう、いろいろとできるだろうと思っていた身としては悲しい。


 転生ってさぁ、シナリオが変わったり好きだったキャラを攻略できたりして、そういうのが楽しいんじゃん。ざまぁしてみたり、そういうのがわくわくするはずなのに幽霊て。

 そりゃね、大変なんだろうと思うよ、シナリオ変えるのもざまぁするのも。でも、もう死んでるのに変えようもないこの状況はひどくない?不当に断罪されて処刑されて子供の頃に戻ってた、みたいなのもあるよねぇ。子供に戻ってるのは違いないけど、死んでるところ変わってないんだよねぇ。


 ひどくない?


 ベルドがクローゼットのドレスを出しては見比べている。全部なかなかのビッグサイズだ。一着だけ丈が短いけれど、あのクローゼットのドレスはビッグサイズが共通点らしい。それを眺めながら、わたしはぼんやりと考える。


 今のわたしにできるのは、わたしがなぜ殺されたか、どうやって殺されたかを追求するくらいしかない。殺された時のことは覚えてないし、殺される前も覚えてないんだから、そこを思い出せということだろうか。

 まぁ一応、そこは探偵がいるんだから。思い出さなくても分かるだろう、そのうち。じゃあ特に何もすることないような。


 ベルドは戸棚の引き出しを下から全部開けていた。死神探偵と言う名の泥棒じゃないよね?


 もしくはわたしが何か、鍵になるようなことを思い出さないと事件が解決しないとかあるのだろうか。だとしたら、探偵は全員霊媒師が必要になるのでは。ベルドってどれくらいできる探偵なのだろうか。


 ちらりと見ると、ベルドはベッドに這いつくばっていた。ダメかもしれない。


 仕方ない。わたしも何か探してみようか。

 とはいえ、前世に何か特技があったわけでもない。何か特殊能力が備わったとかないのかしら。転生者にはつきものだったのに。魔法とかスキルとか何か発動してもらいたいものだけど。

 手をかざしてみたけれど、何も起こらなかった。だよね。殺人事件で魔法ぶっ放せたら証拠隠滅が簡単すぎる。


 でもわたしのような『幽霊』という要素があるのだから、多少は何かあってもおかしくはない。マキヨ嬢だっていることだし、何か協力でもできるかもしれない……。

 見るとベルドは壺の中を一生懸命覗き込んでいた。


「ベルド。中に何かあるのかしら」


 彼は壺から顔を上げた。マキヨ嬢に向けるのは無表情。


「いや?何もない」


 ないんか。動揺するわたしと対照的に、マキヨ嬢は落ち着いた様子だ。


「そのわりには壺の中を気にしてるようだけど」

「中には何もないけど、どういう目的で置いたんだろうと思って」


 推理してねーじゃねーか!ダメだ、これはわたしがなんとかしないと。これはもう、前世であった探偵よろしく、マキヨ嬢を通して探偵を操り推理するしかない。

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