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メリルア・ポジタリアという女性はどんな女性でしたか?
この家の主人でメリルアの夫でもあるふくよかなおじさん、ナイマーは一瞬黙り、可愛くない女だったと言った。酒瓶を持っていた若い男性はメリルアの彼氏でクロヴィス。彼は金蔓としての彼女なら好きだったと答えた。
なんかこれだけで十分、メリルアのことは聞きたくなくなったわたしだ。
女性陣はそれはもう容赦ない。ナイマーの愛人のカナリア(あのふっくらした女性だ)はもう食ってかかる勢いで話をした。
要約すると、ナイマーからの離婚の提案を拒否し、カナリアに対しては小太りの女と自分のことを棚に上げて馬鹿にしていた、上から目線でものを言う女で一つ反論したら百返ってくる、しかも自分に有利なことしか耳に入らない疑り深い最低女、ということだった。
メイドのシェリエとルルは二人ともすらりとした女性で、揃いの黒い制服に白いエプロンをしている。シェリエの方が落ち着いた年上の女性だ。シェリエはそこそこ慎み深い表現をしていたが、ルルは気が強くはっきりした物言いだった。
聞き取りは一人ずつなのに、その二人が口を揃えて言ったのが、妬み僻み嫉みのオンパレードかつ我が儘放題のメリルア。機嫌のいい時は人を馬鹿にし嫌がらせをして、悪口を言う程度で済むけれど、機嫌が悪ければ罵り、物を投げつけたり叩いてきたりと暴力的だったそうだ。
「正直、ここでいいことなんてメイドと執事がまともってとこだけよ。奥様はまるで女王様。旦那様は全面的に降伏してるから嫌がって近づこうとしないし、愛人と過ごして奥様を放置してるでしょ。そしたら全部あたしたちのところに来るのよ。毎日ご機嫌伺いしなきゃいけないんだから」
ルルの言葉に、なんかごめんねぇという気持ちになった。わたしは殺される前のことを覚えていないし、前世の記憶からするととてもそういう振る舞いはできないと思っていたから予想外だ。
シェフ兼メイドのエスタは、他のメイドたちほど関わりはなかったようだ。だが。
「何かあったら不味いとか言って皿をひっくり返すのさ。別に料理に不満がなくったって、メイドの誰かがご機嫌を損ねたらダメでね。で、新しいのを作ってこいって言うわけ。食べ物をなんだと思ってんのさって言ったら、ジェナとルルに床に落ちたものを食え、お前らがわたしの機嫌を損ねたんだからねって言い出して、慌てて落ちた料理を回収したよ。まったく、冗談じゃなかったね」
しかもエスタもふくよかな体型だから、メリルアには色々体型のことを言われたようだ。結構しつこく。シェリエたちメイドと同じデザインの服を着ているから比べられて、大きく見えるとか言われたそうな。前世で言えばモラハラ、パワハラとかに当たるのだろうか。




