存在は水の如く
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
兎さんの死亡ネタ。墓荒らしネタがあります。
苦手な方はご注意下さい。
何の害にもならず、薬にもならず、体内に多分に存在する無個性な存在。まるで水の様な。それが私だった。何者にでも染まって、どんな形にでもなりうる。それがこそが私だった。
ある日の暖色に塗れた喫茶店の中で、私は彼と静かにお茶会をしていた。流れるのは穏やかな舟歌。ただ緩やかに、時の流れを示す様に緩やかに流れる。まるで川のように。そこで無言にもスマホを弄る私を見て、彼は淡々とこう言った。
「お前、秘密主義の癖によく自分の話をするよな」
顔を上げるとさも不思議そうな彼の顔があった。表情には矛盾の一文字。私はブログを書く手を一度止めて、瞬きを一つ。
「お話、とても長くなりますが、御付き合い戴けますか?」
そう言うと彼は、生粋の珈琲を一口含んで、一度だけ深く頷いた。
「私が小学生とき、クラスの飼育員達が兎を埋葬をしたそうなのです。けれども同じクラスの、人の気持ちさえ汲まない奴らが墓を荒らしたのです。蹴飛ばしたか、墓標を折ったか。それは定かではありません。だってその場に居合わせておりませんでしたもの。全て女の子の口から聞いたのもの。彼奴らは毒にしかならない。でもだからこそ強烈なまでに私の記憶に残っております」
今でもはっきりと覚えている。馬鹿にした様な下卑たニヤケ顔も。憤って腫らした泣き顔も。そんな中でただ唖然として、なんの色彩も得られなかった私の無垢な感情も。全て記憶している。
その時にふと思ったのだ。あぁ、私はこうして誰かの傷になることも無く、このクラスから消えていくのだろうと。
「私がこんなブログを書いたところで、多くの人なんか気にも止めやしませんわ。だから好きに書くのです。……そしてそれが存在証明になるように」
貴方はきっと知らない。存在自体を無かった事にされた者の気持ちなんて。……いいえ知らなくて良い。そんな惨めな気持ち。
だからあの時からずっとこうして書き続けている。クラス中の全ての人から忘れられても、私が此処に居たという事実が残るように。
「居ても居なくても一緒。誰の記憶にも残らない。雷雨に見舞われたら溶けて消えてしまう存在感。それが私なんですよ」
「それでも、お前が残した物には色も形もあると思う。柔軟な水だって、形くらい作れるんだ」
「有難う御座います」
静かに流れる舟歌だけが、過去の記憶を流してくれる。願わくば、私の存在感さえも流されて仕舞わないように。
割と実話です。兎さんの墓荒らし。
学校では情操教育をもっと大切にした方が良いんじゃねぇかな? と仕事中に考えてました。
まぁ、それは学校に丸投げするとして。
誰の記憶にも残らないと思ってるんですよ。後書きも作品も。
そんな振り切れた一面があるせいか、物凄く好き勝手書きます。
でも炎上が怖いので、口調だけは丁寧に取り繕ってるだけです。
この主人公、私の様です。
誰の記憶にも残らず、溶けて消えてしまいそうなところが。
だからこそ、存在証明として書くのです。
そういや私の属性も水でしたね。




