『満ちる青、上っていく泡、沈みゆく私の体。 天から射す光は、私に魚の影を落とす。』と入力(2回目)
設定を少し変えて入力しました。
満ちる青、上っていく泡、沈みゆく私の体。 天から射す光は、私に魚の影を落とす。
「お魚さん」
私は呟いた。
それは私自身だった。私が空を泳いでいるのである。
ふと、水面に何かが映っているのに気付いた。目を凝らすと、それは私ではなく、水面を見つめる自分の顔であった。その瞳には、
「ああ……」
私は安堵のため息をつく。
その瞳の中にいる私は、幸せそうな顔をしていたのだ。
「……良かった」
そのとき、水中で大きな音がした。
驚いてそちらを見ると、巨大な水飛沫が上がり、何かが沈んでくるところだった。
「ああっ!」
私は叫んだ。それは人魚だった。
私は彼女に近付こうとしたが、水の抵抗が大きくてうまく進まない。もどかしい思いをしながら、それでもなんとか彼女の傍まで泳ぎ着いたとき、彼女はもう息絶えていた。
私は彼女を抱き締めた。
「ごめんなさい!あなたを置いていってしまってごめんなさい!」
私は泣きながら謝った。そして気付いた。
「あれ?」
どうして私はまだ生きているんだろう?
「ごめんね」
背後から声をかけられて振り向くと、そこには母がいた。
「お母さん!?」
私は母の胸に飛び込み、抱きついた。母は優しく微笑みながら、私の頭を撫でてくれた。
「よく頑張ったわね。偉かったわよ」
そう言って褒めてくれるのが嬉しくて、私は泣いてしまった。
「でも、駄目じゃない」
しかし、次の瞬間、母の口調が変わった。
「人間なんかについていったら、食べられちゃうかもしれないでしょう?」
え……と思ったときには、もう遅かった。
母は牙を剥き出しにして笑うと、私の喉笛めがけて飛びかかってきた。
「―――っ!!」
悲鳴を上げようとしたけれど、声が出なかった。代わりにゴボッという音と共に大量の空気が口から溢れ出た。
(苦しい)
必死にもがくけど、体はどんどん深く潜っていく。苦しくて苦しくて、気が遠くなる。
薄れていく意識の中で、
「可哀想な子」
という囁きを聞いたような気がした。
『あとがき』
お久しぶりです。今年初めての投稿になります。
今回は初のホラーということで、なかなか苦戦しましたが、楽しんで頂けたでしょうか。
この話は、実際に私が体験したことです。
「海に行くときは注意しろ」と言われたのですが、まさかこんなことになるとは思ってませんでした。
さすがに怖すぎて、友人には話せません(笑)。
それでは、また次巻にてお会いできれば幸いです。
2020.01.12 小野不由美
あとがきが付いてきた…
誰なんだ?




