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ある希少種の日常 その後━  作者: 紅林雅樹
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第六話 『英雄の扱いは難しい』

『カールセン邸』の裏手には、ダインが作った小さな村『七竜村』がある。

小屋が七つと噴水、広場と簡素ながらも丁寧に整地されたその村の離れには、さらにもう一つの小屋が建っていた。

木々の中に佇む木組みの小屋には看板が立てかけられており、『パパの隠れ家』と彫り込まれている。

ジーグお手製の小屋のようで、その小屋にたったいま、沢山の“ツマミ”を抱えたジーグがドアを開けて中に入っていった。


「持ってきたぞ」


小屋に入ると同時に、室内のソファにかけていた人物に声をかける。


「ああ、わざわざ運んできてもらってすまんな」


ブロンドの長い髪をした、エル族の男性はそういってジーグに礼をいう。

彼の名は『クラフト・アーカルト』。

ダインたちが通っている学校『セブンリンクス』の教員であり、そのダインの担任でもある。

ジーグとは旧知の仲であり、つい先日、「今度の休みに昼呑みでもどうだ?」とジーグに誘われてやってきたのだ。

小屋は簡素な作りだが所々にボトルシップや水晶細工が置かれており、ジーグの小粋な趣味も窺える。

秘密基地というものは大人になっても胸躍るものらしく、グラスを打ち付け合ってツマミを口にする男二人はとても幸せそうだった。


「で、最近どうなんだ?」


天気や芸能など、適当な世間話が落ち着いたところでクラフトがジーグにきいた。


「“事業”のほうは順調だときいたが…」

「おかげさまでな」


満足げな様子でジーグは答える。


「これまで販売ルートに制限がかかっていたのだが、再来週にさらに拡大することになりそうだよ」

「そうなのか?」

「ああ。『ロディ』殿のおかげで、内向きだったエンジェ族の経営陣を説得させることができたようで、“ある方”と業務提携が結ばれるそうだ。そこに我々も便乗していいらしくてな」

「良く分からんが、何だか大きな話になってきたな」


酒を飲む手を止めたクラフトは、「それで結局お前たちは何を作ってるんだ?」、とジーグにきいた。

エレイン村の新事業が軌道に乗っていることはクラフトもきいていた。が、なんの事業かまでは知らされてなかったのだ。


「そ、それは追々な。もっと有名になり始めたら説明するよ」


何を作っているのか正直に言い出せなかったジーグは、最後にぼそりと呟く。


「もしかしたらお前も必要になることがあるかも知れんし…」

「? まぁ、お前がそういうなら別に深追いするつもりは無いが」


不思議そうながらも素直に従ったクラフトは、「しかしそうなるといよいよ戻りづらくなるな」、と続けた。


「この土地へ“大移動”してからもう半年以上経つだろ。どうするんだ?」


尋ねられたジーグは、「それなのだよな…」、と難しそうな表情になって考え込んでしまう。


ここエレイン村はトルエルン大陸の地下都市にある。が、ここが彼ら本来の住処ではない。

本来の住処はオブリビア大陸にある『聖地アガレスト』付近の森の中で、彼らヴァンプ族は静かな生活を送っていた。

しかし色々あって移動を余儀なくされ、村ごと引っ越すという大掛かりな作戦を実行し、この地にやってきたのだ。


「旧エレイン村の跡地があった“大穴”は、ようやく埋め立て工事が完了したそうだな」


クラフトがいう。


「あれは悪意の絡んだ事件だったと国王が認め、あの土地の所有権は引き続きお前たちヴァンプ族にあると明言してくれたんだろう?」


そう。戻ろうと思えばいまからでも戻れるのだ。

いま現在、エレイン村は『リステン家』が所有していた土地を間借りしているという状況であり、ヴァンプ族のものではない。

普通に考えれば、いつかは戻らなければならないということになるのだが…。


「何か戻るに戻れない事情でもあるのか?」


ジーグの微妙な表情に気づき、クラフトが声をかける。


「弱みでも握られたか?」


冗談交じりな台詞に、「そういうわけではないのだがな…」、とジーグは笑うこともなく真面目に答える。


「どうにも、妻もサラも戻る気が無いように思えてな…」

「というと?」

「我々の工場がこの近くに建てられたり、その周辺にコンビニを設置されたりして、()()()()()()()()()()()村の開発が進められているようなのだ。それに何より、オブリビア大陸に戻るかどうかの議論すらしてこない」


ジーグはやや訝んでいるような表情だ。


「確かに利便性の上では便利なのは間違いないのだが…」

「お前から聞いてみないのか?」


クラフトがいった。


「お前たちが本来住んでいたあの土地は、ヴァンプ族という種族が生まれ育った土地なんだろ? 思い入れもあるだろうに」

「それはまぁ…」


『ウマアサリ』の佃煮を口に放り込んだジーグは、「しかし話したとしても、あやつらは当分戻る気はないのだろう」、といってワインを口に含んだ。


「しーちゃんもサラも、もしかしたら村の連中までもが、“何がしか”の術中にはまってしまったのやも知れん…」

「お、陰謀論か?」


興味ありげにクラフトは身を乗り出した。


「良ければ聞かせてくれ」


その目つきは、数ヶ月前の“カラー大裁判”で最強の弁護士『ハイドル・ヴィンス』を相手取ったときのように鋭い。

内容によっては解決に助力しようと意気込んだ様子だが、「いや、そんな身構えるほどの内容ではないよ」、とジーグが笑い出した。


「ドワ族は相当な世話焼きで有名だからな。我々はその世話焼き体質に見事に当てられてしまったということだ」

「どういうことだ?」

「新工場やコンビニの設置といった案は全て“リステニア工房側”から出されたことなのだよ。いわれるがままに建物を建ててもらい、資金の援助までされ、何かと我々の世話をしようとする。作業中にお菓子や飲み物の差し入れは頻繁にやってくるし、夕飯の誘いもほぼ毎日だ」


そこでジーグのいわんとしていることが分かり、クラフトは「あー」と声を漏らす。

ドワ族とは仲良くなったが最後、“世話の餌食”になる、というのは有名な話だ。

それほどまでにドワ族は世話欲というものが強く、人によってはどこまでも深みにはまってしまう。


「我々ヴァンプ族は、この“特異体質”ゆえ他種族に優しくされることにあまり慣れてなくてな…。だからどうにも断りきれずに、ずるずるとここまできてしまったというわけだ」

「なるほどな…」


頷いたクラフトは、ふと新事業が誰の提案で始まったのかを思い出す。

確か、ニーニアの母である『シディアン・リステン』から提案があって始まったとジーグから聞いた。

それから色々あってオブリビア大陸からトルエルン大陸に大移動してきたらしいが、そのシディアンからの提案に同意した時点で、こうなることはもはや決まっていたことなのかも知れない。


「“何がしか”の大きすぎる愛情に当てられた結果、このエレイン村の人たちは元の場所に戻る気が起こらないように()()()()()()()、というわけか」


クラフトがそういうと、ジーグは困り笑顔のままゆっくりと頷く。

クラフトはニーニアの担任でもあるので、保護者のシディアンのことは挨拶を交わした程度には知っていた。

子供のように小さな体格でとても優しそうな婦人だったが、あの優しそうな笑顔の裏には、エレイン村ごと世話しようという、とてつもない野心が秘められていたようだ。


「その“何がしか”の娘から一心に愛情を注がれているダインは大変かもな」


あえて主語を隠しつつクラフト。


「ははっ、そうかもな」


同様のことを思い浮かべたのか、ジーグは今度は豪快に笑った。



「ところで学校のほうはどのような感じなのだ?」


いま食べている料理と酒の話題から一転して、ジーグが話を振った。


「『レギオス事変』のことは、世間ではやや落ち着いてきた感があるようだが…」

「いや、まだ熱は冷めてない」


少し真面目な顔に戻り、クラフトがいった。


「学校には未だに雑誌記者やらテレビ関係者からインタビューの申し込みが殺到している。個人情報保護の観点からいち学生をメディアに出すわけにはいかないと、事務員が断るのに苦労しているよ」

「そうなのか?」

「ああ。あいつ等の活躍を書籍化したいそうで、映像化も視野に入っているとか」


困ったようにクラフト。

しかしそうなるのも無理はない。世界中の誰もが御伽噺として耳にしていた『エレンディア創世記』だが、シンシアたちは当時の功績以上の大偉業を成し遂げたのだから。


かつての力を取り戻した凶悪強大な七竜と対峙し、圧倒的な力でねじ伏せたシンシアたちの姿は、きっと数十年先の未来でも語り継がれることとなるだろう。

いや、もしかしたら教科書に載るかもしれないほどの大偉業だ。

当時のエレンディアや七英雄以上の力を持つシンシアたちのことを、メディア界隈が放っておくはずがない。


「まぁでも、どんな好条件を提示されようが、あいつ等は誰一人として表舞台に立つつもりはないようだし、このまま沈静化するのを待つ他無いだろうな」


クラフトが続ける。


「注目されるのが良いことばかりだとは限らんし、予期しないトラブルの種にもなり得るからな」

「沈黙が余計な憶測を呼んでさらに盛り上がってしまう気もするが…まぁ、それ以外にメディアを退ける方法はないか」


各国の首脳たちに事の顛末を“必要最低限”に報告しただけで、シンシアたちは公の場では完全な沈黙を続けている。

トラブルの種になるかも知れないという、クラフトの言葉どおりのことを危惧していたシンシアたちは、近しい人以外に真相を明かさないことを相談して決めた。

それは自分たちや親族を守ること以上に、七竜であるセトたち、そしてルシラやレフィリスが好奇の目に晒されないためにと決断したことだ。

ソフィル女王神の“お願い”もあって、首脳たちも必要以上のことをシンシアたちに迫ったり勝手に調べるようなことはしなかった。

おかげでセトたちは自由に空を飛べ、“姉ルシラ”やレフィリスも自由に宇宙船とダインのところを行き来できている。


「マスコミはまぁ、俺たち大人がしっかり押さえ込めているからまだいいんだ。それより問題は学校のほうなんだよ」


クラフトは突然困り顔になる。


「かつての七英雄以上の英雄が同じ学校にいるんだ。気にしないほうがおかしいよな」

「学生らのことか?」

「ああ」

「まぁ、確かにそうか…」


ノマクラスの教室内の様子を想像したジーグは、「まだ避けられている感じか?」、と尋ねた。


「避けられているというより、意識されすぎているといったほうがいいかもな」


クラフトはいう。


「決して触れてはならない、会話はおろか視界に入れることすら恐れ多いといったようにな。あいつらは…シンシアたちは神聖視されすぎている。おかげで授業にも色々と差支えが出てしまっているんだよ」


こちらのほうが深刻だとクラフト。


シンシアたちがクラスメイトに話しかけようものなら、彼らは飛び上がって逃げ出してしまう。

休み時間でも授業中でも誰も彼女らと視線を合わせようとはせず、近づこうとすらしない。

一見避けられているようだが、しかし遠くからシンシアたちを見る目は輝いている。

まるで憧れのヒーローを目の前にしているようだ、とクラフトは続けた。


「なるほど、それはいろいろと不憫だな…」


とジーグはシンシアたちに同情を寄せる。


「ああ。教諭の俺から見ても不憫だと思う。班分けや共同作業など、どうしても会話しなければならないときでも、シンシアたちに対しては何故か敬語だしな。あいつ等の戸惑いっぷりはこちらにまで伝わってくるのが現状だ」

「何とかできないのか?」

「対策といえるほどのものではないが、一応考えてはいた」


空のコップに果実酒を注ぎ、クラフトはいう。


「クラスメイトらのシンシアたちを見る目は完全に変わってしまった。もはや以前のように戻れそうに無いから、いっそのこと新しいクラスを作って、そこにシンシアたちを招いて区分けを図ろうとな」

「ああ、いいんじゃないか? きっちり分ければ生徒たちの緊張も解かれて授業に身が入るだろうし、お前も授業がやりやすくなる」

「そうだろ?」


ジーグの共感を得てクラフトは少し笑うが、「いい案だと思ったんだがなぁ…」、と呟いた彼の表情はどこか残念そうだ。


「何だ。校長にでも却下されたのか?」

「いや、先生は快諾してくれたよ。ノマクラスと新クラス“レジェンド”を俺が兼任するといったから」

「ではどうした?」

「それが、肝心のシンシアたちが難色を示してな…」


意外だった。


「どういうことだ? 何か引っかかったのか?」


クラスの違う仲良し五人組がまとめて一クラスになる。

他の好奇な目に晒されないという点では、シンシアたちにとっても良いことのはずなのに。


クラフトはいう。


「レジェンドクラスは、英雄の称号を持つシンシアたち“専用”のものだったんだ」

「専用?」

「ああ。それはつまり…」

「…息子か」


何となく察したジーグは、口の端に笑みを浮かべながらソファの背にもたれかかる。


「アレは何の称号ももらってはおらんからな。さすがにあやつをレジェンドクラスに入れるわけにはいかんか」

「そうだ。そのことをシンシアたちに伝えたら、考える素振りすら見せずに「入りません」だとさ」


大きく息を吐いて天井を見上げたクラフト。


「…そうなんだよ。問題はダインなんだよ」


そういって再びジーグを見た。


「レギオス事変の顛末については本人たちから全てきいた。真に賞賛を受けるべきはダインのはずなのに、何故あいつは誰に自慢することも無くノマクラスなんてところに落ち着いているんだ?」


彼の口調はもはや愚痴に近い。


「“七竜討伐計画”が成功したのは裏でダインが動いていたからだし、本物の七竜を軽くあしらうほどシンシアたちを強くさせたのもあいつだ。おまけにあの邪神レギオスをも倒し、エレンディア様ですらできなかったことを成し遂げた。なのになんで黙っていられる?」

「あやつは静かな日常を好んでおるからな」


涼しげにジーグは笑う。


「シンシア殿たちと同じ考えなのだよ。七竜のこともレギオスのことも必要だからそうしただけであって、世の中の平和のためだとか崇高な思念の下に動いていたわけではない。だから表舞台に立つつもりも、真相を世間に公表するつもりもないのだろう」


そのダインの思惑というものをクラフトも一応は理解しているものの、納得した様子は無い。


「おかげであいつをノマクラスの一般学生としか扱えないんだよ、俺は」


アルコールが体内を巡り始めたのか、クラフトの顔はやや赤い。


「なぁジーグ、頼むからあいつが何を成し遂げ、どれほどの功績を収めてきたのか、学校内だけでもいいから公表させてくれないか? ダインの本当の姿というものを知ってもらえれば、あいつをレジェンドクラスに移籍させることに不平不満を口にする奴はいなくなる。シンシアたちも移籍してくれるだろうし、そこでトラブルも無く無事に住み分けが完了するはずなんだよ」

「う〜む、そうだなぁ…」


唸ったジーグは塩気の濃いビーフジャーキーをかじり、度数の高い酒をちびっと飲む。


「真実を話したとして、全生徒の何人が信じてくれるのだろうな」


と、笑った。


「七竜の討伐やレギオスが復活したりと、世の中を震撼させる出来事がいくつか起こったが、世の中はいまだ魔法至上主義だ。お前がいくらダインが成し遂げたことを喧伝したとしても、魔法も使えないあいつにできるわけが無い、何かインチキしたんだと陰口を叩かれるのがオチだろう」

「それは…」


そんなことはない、と否定したかったクラフトだが、似たような場面をいくつも見てきただけに言い返すことができなかった。


「じゃあどうすればいいんだ? シンシアたちを神聖視するあまり、生徒たちは授業に手がつかない状況が続いてる。このままじゃ学校全体の成績が落ちていくことは避けられないんだぞ」


当初の難題に立ち返ってジーグに相談すると、


「私が考えられる限りだが…方法は一つだけある」


いい感じに酔った顔のまま、ジーグはいう。


「意識改革だ」

「改革?」

「ああ。お互いの違いを認め合うという世論の良い流れは出来つつあるが、魔法に頼った生活が主軸になってるいまの状況は変わっておらん。そんなものがなくてもどうとでもなるということを教育すれば、シンシア殿たちを見る目も以前のように戻っていくのではないか?」


呑気にいうジーグに、「本気でいってるのか?」、とクラフトは目を剥いた。


「魔法が全てでは無いということを教えろと? 魔法学校なのに?」

「セブンリンクスは魔法の利便性だけでなく、危険性についても並行して教えているのだろう?」


酒の旨さに気分よくした様子で、ジーグは続ける。


「魔法は確かに日々の生活の上で便利なものだ。しかしそれがなくては生きていけないということはない。“魔法不要論”もまた、魔法の授業の一環になるのではないか?」


彼はさらに続ける。


「現に我々ヴァンプ族は…いや、このエレイン村は大昔から魔法に頼らない生活を送ってきたし、これまで魔法がなくて困ったことも起きてない。無いものを嘆くよりは、いまあるものでどうにか代用や応用ができないかを考えるほうが遥かに建設的だ」

「それは…まぁ…そうかも知れんが…」

「人は誰しも得手不得手がある。魔法が得意だからといって、その人が誰よりも優れているというわけではない。魔法が得意でない者も何か別の得意なものがあるはずだし、その長所を活かし武器として活用できる者こそ輝けるのだ。かつての英雄もまた然りで、彼らは得意分野を活かしただけに過ぎんのだ」


いかにもジーグらしい、“持たざるもの”ならではの意見だった。

そういえばこの小屋はジーグの手作りだったな、と考えたクラフトは、同じく酒を飲みながら小さく微笑んでしまう。

「どうかしたか?」、ジーグの顔が上がる。


「いや…数ヶ月前のことを思い出してな」

「数ヶ月前?」

「ああ。ダインがセブンリンクスに入学し、授業初日にあいつが言い放ったことだ」


天井を見上げてクラフトはいう。


「魔法が使えなくても生活できる。困ったことなんてほとんどない。魔法がこの世の全てじゃないことを知ってもらいたい、などといっていたなと思ってな」

「そうか」


ジーグからまた笑い声が上がる。


「私の息子だからな。あやつと同じ意見になるのも致し方ないことだ」

「お前たちにはいつも頭を悩ませられるよ、全く」


クラフトも笑いながらそういったところで、突然小屋のドアが開かれた。


「失礼致します」


入室してきたのはサラだった。「お客人です」

と、彼女に続いて三人の男たちがぞろぞろとやってくる。


「お、もうやってるんだね」


そういったのはニーニアの父である『ペリドア・リステン』で、その後ろにはニーニアの祖父にあたる『ギベイル・リステン』。


「今日も楽しい宴会になりそうだな」


作業着のままだったギベイルは一仕事終えたような晴れやかな表情をしており、最後に小屋に入ろうとしてきた男を招き入れる。


「すまないな、少し遅れたよ」


現れたのは老人のエル族、『グラハム・シーカー』。セブンリンクスの校長である。


男たちは思い思いの椅子に腰を降ろし、サラが追加で持ってきたグラスを手にして打ち付けあう。


「それで何の話をしていたんだい?」

「ああ、実は…」


定期的に開催されるようになった真昼間の宴会は、夜にまで長引きそうなほどに盛り上がっていた。

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