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黄昏のミリアム  作者: 雅流
シバニエ
32/33

黒い予感

自分の内部に下から熱い存在感がリズミカルに突き上げてくる感覚に我を忘れそうになる


やがて男は体勢を変えて私の両脚を肩のほうまで押し上げると、今度は全体重を乗せるかのような激しい力強さで天井から撃ちおろすように私の奥底へとぶつかってきた


その暴力的な仕打ちの刺激が脳を麻痺させるのだろうか、私はいつのまにか自分から求めるように男の背中へと無意識に脚を回していた


やがて男は深々と私を支配したままグリグリとその熱い猛りで私の奥底を嬲りはじめる


快感が頂点へと向かって急激に増幅されていく


「あっ、いく、いっちゃう」


私の口からは無意識の言葉が漏れている


なんともいえない浮揚感に包まれると同時に視界が真っ白になったような幻覚を見て、私は自分がびくびくと痙攣するのを朧げな意識の中で感じた


子供のころに唯一の遊び相手であった年上の男の子からいたずらをされていたり、父親から暴力的なしつけを受け続けたトラウマなのだろうか


私は男性というものに性的な欲望を感じたことは一度もなかった


私の体が大人になってからも、そのころには預言者のミコと呼ばれるようになった私に近づこうとする男はいなかった


だからこそ30年以上もそのような経験がないことに私は何の違和感も感じなかったし、望んでも求めてもいなかった


先生は心を許せる唯一の男性だったが、父のような存在であり、神でもあった


先生は私が何も言わなくても私の心の中がすべてわかっていたから、私が先生に対して一度でもそのような感情を抱いたことがないことも知っていたはずだ


神への奏者の沙耶は私よりも年下だが私とは違っていた


彼女は先生を神のように慕っていて、それは私と同じだったが、子供のころからすでに男性としての先生も心の中で求めていた


彼女はいつか先生とそういうことができるか幾度となく私に訊いた


私はすぐに先生と沙耶がそうなることを知っていたが彼女には「わからない」と答えていた


それは彼女に対する嫉妬ではない、たぶん嫉妬とかそういう感情は私の中に存在しないのではないかと思う


先生が言ったからだ、正確には私の中に先生の「それは言わなくていい」という言葉が響いたからだ


先生がどうやって私の頭の中にそうやって語りかけてくることができるのかはわからない


そして先生は私の頭の中が見える


子供のころの私にとってはそれが一番大切なことだった


未来が見えるようになってから私は子供心にもいろいろな経験を通じて、それは隠しておかなければならないことだと悟った


誰にも話せないのであればできれば未来はみたくなかったけれど、それは制御できない

見たくなくても見えるものは見えるのだ


未来が見えることは悪いことだと思っていたし、それは不吉な黒い影をまとっていることも多かった


だから私はそれが見えることを隠しておかなければならなかったし、そんなものが見える自分を呪っていた


先生と出会ってそれが変わった、先生が私を見つけてくれたあの日から


先生には私の頭の中が見える、私に見えた未来が先生にも見えるのだ


最初、私にはそれは大変な恐怖だった


隠しておかなければならない、自分の一番醜い部分をすべて知られてしまうのだから


けれどもそれはすぐに変わった、私は頭の中を先生に隠しておくことはできない


隠すことができないから隠す必要がなくなったのだ


子供ながら私の人生のすべては隠すことに注がれていた、先生と出会ってそれが変わったのだ


私は解放された


自分の忌まわしい運命から


それだけではない、先生は未来が見えることこそが私の役割なのだと言ってくださった


私に生きていく意味を与えてくださったのだ




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